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道路の主役「アスファルト舗装」の特徴と施工方法を知ろう

道路は私たちの社会生活を支える大切なインフラのひとつです。家から一歩外に出ればそこはもう道路ですから、私たちにとって道路は「そこにあって当たり前」の存在。まるで空気のように身近なインフラとも言えるでしょう。

そんなに身近な道路ですが、それがどのように造られているかはあまり知られていません。毎日、必ずと言っていいほど遭遇する道路工事の現場も、そこでどのようなことが行われているのか興味を持って見つめる人は少ないはずです。

そこで今回は、日本の道路がどのように造られるのかについて解説します。特に、日本の道路の90%以上を占めると言われる「アスファルト舗装」について、それがどのようなもので、どのような工程を経て道になっていくのかについてわかりやすくまとめました。道路工事の現場で働く人や道路業界を目指す人だけでなく、多くの人にアスファルト舗装の技術について紹介しましょう。

舗装道路にはどのようなものがある?

ひと口に舗装道路と言っても、その種類はさまざまです。その分類方法についても、下記のようにいくつかあります。

舗装表面に使う“材料”による分類

アスファルト舗装、コンクリート舗装、ブロック舗装など

もっともよく使われる分類法は材料による分類です。一般的に日本の舗装道路は、アスファルト舗装とコンクリート舗装の二択。また、そのほとんどがアスファルト舗装です。

舗装の“機能”による分類

排水性舗装、透水性舗装、遮熱性舗装、保水性舗装など

機能による分類とは、舗装道路にどのような機能を持たせるかということ。それは例えば、舗装面に雨水が溜まらないよう、排水機能を持たせたものが〈排水性舗装〉、舗装内部に雨水を浸透させるものが〈透水性舗装〉、舗装表面に赤外線を反射させる遮熱性樹脂を塗布したりするものが〈遮熱性舗装〉、舗装表面の水分が蒸発する時の気化熱で舗装表面の温度を下げるものが〈保水性舗装〉になります。

適用“個所”による分類

道路舗装、空港舗装、橋面舗装、トンネル舗装など

適用個所による分類とは、その名の通りどこに舗装するかということ。場所によって材料や求められる機能が変わってきます。

舗装道路の下はどうなっている?

道路の下(中)がどのような仕組みになっているか、ご存じでしょうか? 毎日使っている道路なのに、工事関係者以外はその中身をほとんど知らないのが現実でしょう。ここでは、舗装道路の下がどのように構成されているかについて説明します。

舗装された道路の表面、すなわちアスファルトやコンクリート、ブロックなどの部分を「表層」と言います。私たちがふだん、実際に目にするのはこの部分だけで、その下に「基層」と呼ばれる部分があります。基層部分は、表層のアスファルトよりも混合量が少なめのアスファルト混合物で作られています。

そのさらに下には「路盤」と言われる層があります。路盤は「上層路盤」と「下層路盤」で構成されますが、通常は人工的に粒径を調整した砕石で作られます。そして一番下には「路床」と呼ばれる地盤があります。路床はもともとの地盤を掘削して使う場合と、盛土などをして人工的に作って使用する場合があり、どちらを用いるかはその場所の条件によって異なります。

私たちは目に見える部分、すなわち表層だけをもって舗装と言っていますが、実は「表層・基層・路盤」の3つの層を合わせて舗装と呼ぶのが正しい概念です。そしてその道路が長持ちするかどうかは、舗装の下にある路床の強度(つまりその地盤がどれだけの支持力を持っているか)によって左右されます。

そもそもアスファルトって何?

日本の舗装道路のほとんどがアスファルト舗装だと前述しました。では、このアスファルトとはいったい何でしょうか。説明できる人は案外少ないのではないでしょうか。

アスファルトは原油に含まれる炭化水素類のひとつで、中でも最も重質のものです。日本語では土瀝青(どれきせい)と呼ばれます。常温時は半固体や粘性の高い液体状態になり、加熱すると融解して軟らかくなる性質があります。この性質を活かして道路舗装用の骨材の接着剤として多く用いられています。また、油分でできているため燃料や原料、防水材、防腐剤、熱可塑材、電気絶縁材、断熱材、高真空用シーリング材、衝撃吸収材、潤滑剤、顔料などとしても利用されています。

アスファルトは大きく分けて、天然に存在する「天然アスファルト」と、原油を精製して製造する「石油アスファルト」の2種類があります。日本で単にアスファルトという場合は、一般的に石油アスファルトを指します。

天然アスファルト

天然アスファルトは、非常に古くから使用されていました。紀元前に栄えたメソポタミア文明やインダス文明の遺跡で、建材や防水材などとして天然アスファルトが使用されていた形跡が確認されています。また、紀元前のエジプトでは、防腐材としてミイラの保存に使用されていました。

国内でも全国各地の縄文時代の遺跡から、天然アスファルトが付着した矢尻やアスファルトで補修された土器、土偶等が多数出土しています。日本書紀には、天智天皇の即位式に「燃える土」として献上されたと記録されており、これが天然アスファルトだと考えられています。

道路の舗装用として国内で初めてアスファルトが使われたのは、明治11(1878)年のこと。東京神田の昌平橋に、秋田県産の天然アスファルトが使われました。

石油アスファルト

石油アスファルトは、原油を生成することで作られます。原油を250〜300℃に加熱し、常温蒸留するとガソリンや石油などができます。さらに加熱することで重油や潤滑油などが精製されます。この時、最後に残る残留物が石油アスファルトになります。

アスファルト舗装のメリットとデメリット

もっともよく使われているアスファルト舗装ですが、その特徴にはどのようなことがあるのでしょうか。ここでアスファルト舗装のメリットとデメリットについてまとめてみます。

アスファルト舗装のメリット

・養生が不要なので、施工後すぐに交通開放が可能

・コンクリート舗装に比べ、初期費用が安い

・成形が容易なため、舗装表面の平坦化が容易

・車両走行時の騒音が比較的小さい

・簡易な方法で補修が可能

アスファルト舗装のデメリット

・高温になると変形しやすい

・わだち掘れができやすく、寿命が短い

・飛行機など、重量分によった負荷がかかる空港エプロンのような場所には向かない

アスファルト舗装はどう造る?

ここで、アスファルト舗装道路がどのような工程で造られるかについて説明しましょう。道路は「表層・基層・路盤・路床」で構成されることを前述しましたが、道路はこれらの層を下から造っていくことになります。

1. 路床の施工

舗装道路を造る時、最初に行われるのがもともとの地盤、路床の施工です。凸凹した場所にいきなり舗装を施工することはできませんから、まずブルドーザなどの重機で均一にならします。次にロードローラでその路床を転圧し、所定の密度が得られるまで締め固めます。路床が均一に締め固められていないと、のちに道路が崩壊するなど、大きな事故につながる恐れがあります。

2. 路盤の施工

路床の上には路盤が施行されます。路盤は上層路盤と下層路盤に分けられ、通常は上層路盤のほうが強度の高い材料が用いられます。

下層路盤には「クラッシャラン」(岩石や玉石などの原石を破砕機で割り、粒度調整をしていない砕石)などを用います。このクラッシャランを路床の上に撒き散らし、その上からロードローラなどで締め固めます。道路の端の部分など、固めにくい部分は重点的に締め固めるなどの作業をします。

上層路盤の施工には、砕石の一粒ずつを一定のサイズに揃えた粒度調整砕石、砕石にセメントや石灰を混合して改良した安定処理材料などが用いられます。この施工も下層路盤と同様の手順で行われ、撒き散らした材料の上からロードローラなどで締め固めます。

この後、表層の施工に移りますが、その前に上層路盤表面に「アスファルト乳剤」が散布されます。これは路面表面の強化、雨水の浸透防止、表層に使うアスファルト混合物との接着力の強化などの目的を持っています。

アスファルト乳剤とは、通常は加熱して使用するアスファルトを、常温で取り扱えるように工夫した液体のことで、アスファルトは油のため、水と交わることはありません。しかし、これを微粒子状に分散させ、乳化剤を含む水の中に分散させることで、混ざり合って液体状にできます。これによりアスファルト本来の粘性が大幅に低下し、常温でも取り扱えるようになります。これを散布すると水が蒸発し、アスファルトと分離。アスファルトは本来の粘性を取り戻して強度が生まれるのです。

3. 基層・表層の施工

路盤の上に基層、そしてそのさらに上に施工されるのが表層です。通常、表層・基層ともにアスファルト混合物で造ります。基層は上層路盤の上にある層です。路盤表面の不揃いな面をより滑らかにならし、表層表面の平坦化に役立ちます。表層に加わる荷重を、均一に路盤に伝達する役割を果たします。

表層はアスファルト舗装において最上部にある層。一般的に私たちが目にする舗装道路の表面のことです。表層に施工されるアスファルト混合物は、温度が低いと固まります。固まった状態では、道路表面に敷いてならしたり、締め固めたりする作業が不十分になりがちです。そのため表層の施工を行う場合は、アスファルト化合物を運んでくるトラックの到着時間をきちんと把握するなど、工程管理が重要になってきます。

アスファルト混合物っていったい?

前述したように、アスファルトは原油を精製して石油や重油を作った後に残る残留物です。アスファルトはいわゆる接着剤ですから、それ単体では道路としての強度を保つことができません。そこで強度や耐久性に優れる骨材などを混ぜ合わせて使用します。これがアスファルト混合物です。

一般的に、アスファルト混合物は「骨材」「フィラー」「アスファルト」で構成され、その重量比は「90%程度が骨材」「5%程度がフィラー」「残りがアスファルト」になります。こうして見ると「アスファルト」の割合が非常に少ないことがわかりますが、翻れば、大部分の割合を占める「骨材」の品質が、アスファルト混合物の品質に大きく影響を与えることは言うまでもありません。

「骨材」(粗骨材・細骨材)とは、アスファルト混合物やコンクリートを造るときに用いられる、砂利や砂などのこと。粗骨材は2.36mmのふるいで止まる骨材、細骨材は2.36mmのふるいを通過して0.075mmのふるいに止まる骨材に大別されます。また、祖骨材はアスファルト混合物の骨格をなすもので、道路にかかる荷重を支える大切な役割を担っていて、粗骨材の隙間を埋めて安定性を高める働きをするのが細骨材で、同時に水密性を高める働きもします。

「フィラー」(石粉)とは、石灰岩を粉末にした石粉などの鉱物質微粉末のこと。フィラーを適度に混ぜ合わせることによって、アスファルトの粘り気が高まり、骨材同士の接着力を強化し、アスファルト混合物の耐久性を高める役割を果たします。

舗装工事で活躍する重機を知ろう

道路舗装工事の現場では、さまざまな重機が活躍します。これらの重機なくして舗装工事は進めることはできません。前述したように、舗装は何層にも分けて施工されますから、各層を平坦に仕上げることがとても重要になってきます。したがって、舗装工事の現場では表面を平坦にするための重機が中心となります。

ブルドーザ

誰もが知っている、もっとも有名な重機のひとつ。ブルドーザは、トラクタの前面に可動式のブレードが装着され、進行方向に土を押し出します。砂や砂利を押し出して敷きならすには最適ですが、仕上げの精度はさほど高くありません。

モーターグレーダ

モーターグレーダはブルドーザに似ていますが、前後の車軸の間にブレードがあり、さらにスカリファイヤ(掻き起し用爪)などを装着することができます。路面の敷きならしに加え、かき起こしなどもでき、ブルドーザより滑らかに成形できます。

アスファルトフィニッシャ

アスファルト混合物を敷きならすための機械です。アスファルトフィニッシャは、大きく分けてホッパー(アスファルト混合物を積載する部分)と、スクリード(アスファルト混合物が固まらないように一定温度に加熱しながら敷きならす装置)とで構成されています。

タイヤローラ

タイヤローラは、大きなタイヤを前後にそれぞれ3~4個持ち、重機自体の重さで圧力をかけ、路面を締め固めるための機械です。

ロードローラ

ロードローラは、鉄でできた車輪を三輪車型に配置し、重機自体の重さで路面を締め固めるための機械です。一回の転圧の幅を広くとることができ、アスファルト舗装の仕上げの平坦化作業などに用いられます。

アスファルト舗装道路の変状とは?

舗装道路は、工事が終了して完成し、一般共用が開始されると同時に傷み出し、徐々にその本来の機能を失っていきます。そのため、その道路を継続して使用していくには常に維持・修繕を行う必要があります。アスファルト舗装の道路の変状(共用によって本来の状態が変わっていくこと)は、大きく分けて2つあります。「わだち割れ」と「ひび割れ」です。

わだち割れ

わだち割れとは、多くの車が通行することによってタイヤの通る場所が変形し、くぼみができる現象です。大型車の交通量の多い道路や交差点手前、一時停止個所、バス停など、車が頻繁に停車したり発進したりする場所はその傾向が顕著となります。

アスファルトは高温になると軟らかくなり、変形しやすくなる性質を持っているため、特に気温の高い夏季にはわだち割れができやすくなります。さらに近年は、地球温暖化によって夏季の気温が異常に上昇する傾向にあります。これによりアスファルト舗装の道路は、以前より傷みやすい環境にさらされていると言えます。

わだち割れが進むと、わだちの部分が凹み、その両脇が盛り上がる現象も起きるようになります。この現象によって走行する車のハンドルが取られ、大事故につながる事態も。また、雨天時にはわだちに水が溜まり、歩行者に水をはねるなどの被害が出る可能性も高くなります。

ひび割れ

ひび割れは、舗装面が割れる現象です。その原因としてはアスファルトの劣化、路盤や路床の強度不足、計画段階よりも交通量が増加したことによる舗装の厚さの不足などが考えられます。

ひび割れと言っても、綿状のもの、亀甲状のものなどさまざまな形態があり、その発生方向は道路を横断する方向のもの、縦断する方向のもの、全面に入るもの、わだち部分に入るものなどがあります。それらは発生原因によって変わりますが、一般的に綿状のひび割れは「軽症」、亀甲状のひび割れは「重症」と判断されます。

ひび割れが入るとそこから舗装内に雨水が浸透し、アスファルト混合物の剥がれ、沈下、飛散など、さまざまな悪影響が出てきます。ひび割れが確認された場合は、できるだけ早期の補修が必要です。

アスファルト舗装道路の維持管理

わだち割れの量やひび割れの状況などを測定するためには、走行しながらそれらを測定できる路面性状測定車が使われることが一般的です。わずかな傷みをできるだけ早期に発見し、修繕することで、道路の寿命は伸びていきます。アスファルト舗装道路の保守管理は、日々の道路パトロールや定期点検がもっとも重要なのです。

わだち割れを維持・修繕する方法としては、わだち部分にアスファルト混合物を重ねて平坦にするオーバーレイや、盛り上がり部分を切削機で削り取って平坦にする切削工法などがあります。これらの方法で、比較的簡単に路面の平坦を取り戻すことはできますが、表層より下の部分にもともとのアスファルトを残した状態であるために、わだち割れが再発するリスクも残っています。

わだち割れを根本的に修繕するためには、路盤の層まで取り除いて新たにアスファルト混合物を敷いて、工事をやり直すことが必要です。この時、再びわだち割れが起きにくくするため、アスファルト混合物の種類を変えたり、強度を上げたりすることもあります。

ひび割れに対する維持・修繕方法としては、シール材注入工法があります。発生したひび割れにシール材を注入することで、舗装内部への雨水の侵入を防ぎ、路床や路盤の支持力の低下を防止します。根本的な修繕方法としては、わだち割れの場合と同様に、ひび割れが生じている層まで取り除き、新たにアスファルト混合物を舗設する工事をします。

── ニューノーマルと呼ばれる新しい時代に突入し、昭和の時代に一気呵成に造り上げたインフラの各所に痛みが生じていることが社会問題になっています。新しい道路を次々と建設する時代は過ぎ、既存の道路をいかに長持ちさせるかを真剣に考えていかなければいけない時代に突入している日本だからこそ、アスファルト舗装の特性を知り、どのように保守点検していくかがますます重要になっていくことは間違いないといえるでしょう。

参考:一般社団法人 日本アスファルト協会

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