3人の日本人科学者が成し遂げた世紀の大発明。LEDのディープな世界に迫る!
2020.09.25家庭用の照明器具をはじめ、街のイルミネーションや液晶ディスプレイなどの光源として、ここ10年ほどで急速に普及した「LED(発光ダイオード)」。LEDは世紀の大発明とも言われ、日本人の科学者3人(赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏)が、2014年にノーベル物理学賞を受賞したことでも大きな話題となりました。
そんなLEDといえば、「省エネルギー」「寿命が長い」といったエコロジーなイメージがありますが、そもそもLEDとはどんな明かりで、なぜノーベル賞級の価値があるのでしょうか……? 今回は、身近な存在でありながらも意外に知らない、ちょっとディープなLEDの世界に迫ります。
そもそもLED(発光ダイオード)とは何か?
LEDとは「Light Emitting Diode(発光ダイオード)」の略称で、その名の通り、電圧をかけると光を放つ半導体(電子回路部品)のことです。ちなみに、物質には銅やアルミニウムのように電気を通す「導体」と、ゴムやガラスのように電気を通さない「絶縁体」があり、半導体はその中間の性質(与える条件によって、電気を通したり、通さなかったりする)を持っています。
そんな半導体の構造をもつLEDは、「ガリウム(Ga)」「窒素(N)」「インジウム(In)」「アルミニウム(Al)」「リン(P)」「ヒ素(As)」などの元素を合成して作られ、構成する材料によって発光色(放出する光の波長)が異なります(図表参照)。
青色LEDの発明・普及に尽力した日本人3氏の功績
上記のように、LEDの光は基本的に単一色なため、一般的な照明として使う(フルカラーの白い光を作る)ためには、光の三原色である赤色、緑色、青色の光が必要となります。
すでに1962年には赤色のLEDが、1968年には緑色のLEDが開発されていましたが、青色だけはなかなか実現されませんでした。青い光を放つ半導体の材料「窒化ガリウム」は、LEDを作るための結晶化が非常に難しかったからです。そのため、世界中の多くの研究者が手を引いてしまい、「今世紀(20世紀)中に青色LEDは実現しない」「照明用のLEDは不可能」とまで言われていました。
そうした中、名古屋大学の教授だった赤崎勇氏は、物理学者の天野浩氏とともに窒化ガリウムの研究を重ね、特殊な層の上に窒化ガリウムの結晶を作成することに成功。1989年、世界で初めて高輝度の青色LEDを実現させました。その後、1993年には日亜化学工業の技術者だった中村修二氏が、窒化ガリウムの大量生産技術を独自に開発。青色LEDの実用化・製品化につなげたことで、LEDは照明用の光源として世界中で急速に広まっていったのです。
そして2014年、赤崎氏、天野氏、中村氏の3氏は、青色LEDの発明・普及に貢献したとしてノーベル物理学賞を受賞。受賞の発表を受けてスウェーデン王立科学アカデミーは、「21世紀はLEDによって、明るく照らされるだろう」と、その功績を大きくたたえています。
従来の光源とは大きく異なるLEDの発光原理
こうして、青色が実現したことで照明用として広まったLEDは、ロウソク、白熱電球、蛍光灯に続く「第4の明かり」とも言われています。では、なぜLEDのランプは、白熱電球や蛍光灯より消費電力が少なく、長持ちするのでしょうか。その理由は、従来の光源との発光原理の違いにあります。
【ロウソクの発光原理】
ロウソクのロウに含まれるパラフィンが、炎の熱で融解して芯に浸透し、蒸発・分解を繰り返しながら燃焼する光で持続的に明かりを灯す。電力は不要だが、その寿命(ロウが燃え尽きるまでの時間)は数十分~数時間と短い。
【白熱電球の発光原理】
電球内のフィラメント(電気を通すと光や電子を放出する細い金属線)に、電気を通して熱することで発光させる。よって、フィラメントが切れると寿命が尽きる。
【蛍光灯の発光原理】
蛍光管に電気を通して熱することで、両端に付いたフィラメントから放出される電子と、管内に充てんされた水銀の原子がぶつかり合って紫外線を出し、管の内側に塗られている蛍光塗料に当たって発光する仕組み。白熱電球と同じく、フィラメントが切れると寿命が尽きる。
【LEDの発光原理】
電圧をかけると半導体の中でプラス(+)とマイナス(-)の電子が結合し、その時に発生するエネルギーが光となって放出される仕組み。
このように、白熱電球や蛍光灯は、電気をいったん熱に変えてから光を発生させる仕組みなので、その分多くの電力を必要としますが、 LEDは熱を介さずに電気をそのまま光に変換するため、エネルギー効率が非常に良いのです。また、半導体のLEDには基本的にフィラメントがないため、ランプとしての寿命も長いというわけです。
LED照明の特長・活用メリット
では、LED照明の特長や活用メリットについて、まとめて見ていきましょう。
◎寿命が長く、取り替えの手間がかからない。定格寿命4万時間タイプの場合、1日10時間の点灯で約10年使用可能(一般的な白熱電球の約20倍、蛍光灯の約4倍)
◎トイレや洗面所など、ON・OFF切り替えの激しい用途でも寿命が縮まない
◎少ない消費電力で明るく点灯するので効率がよく、電気代が安くすむ(一般的な白熱電球の6分の1程度、蛍光灯の2分の1程度の電力で、同程度の光束が得られる)
◎点灯中も高温に発熱しないので、やけどや引火などの危険が少ない
◎低温下でも瞬時に点灯し、気温に左右されずに安定した明るさが保てる
◎電圧に対する反応が速く、点灯した直後から最大の明るさが得られる
◎水銀などの環境負荷物質を含まず、二酸化炭素の排出量も少ないため環境に優しい
◎紫外線・赤外線をほとんど放射しないため、紫外線による美術品・商品などの退色や、赤外線による熱的ダメージを軽減することができる
◎虫を寄せつける紫外線をほとんど放射しないので、街灯・門灯などの屋外照明にも好適
◎LED単体でさまざまな色の光が作れる
さまざまな用途・分野で活用が進むLED照明
このように、省エネルギー&エコロジーという環境面だけでなく、さまざまなメリットを併せもつLED照明。ここ近年は、家庭や施設の照明器具にはもちろん、自動車や交通機関のライト、液晶ディスプレイ、農業・園芸用ランプなど、多様な用途・分野で活用が進んでいます。
【照明器具】
LED電球、LED蛍光灯、屋外照明(街路灯、防犯灯、水銀灯)、業務用照明(投光器、作業灯、防犯灯)、電飾演出(イルミネーション・ライトアップ)など
【自動車・交通機関のライト】
自動車用ライト(ヘッドライト、ルームライト、テールライト、ウインカー、フォグランプ)、信号機、踏切の遮断機、標識・警告灯など
【液晶ディスプレイ】
液晶モニター、液晶テレビのバックライト、電光掲示板、駅の発車標、施設の大型ディスプレイなど
【農業・園芸用ランプ】
野菜や植物の室内栽培用ランプ(光合成を促したり、野菜の栄養価や植物の生育を高めたりする特殊な波長のランプ)など
コロナ禍の中で世界各地に広がった「青い光」
そして今── 世紀の大発明となった青色LEDの光が、コロナ禍の中であらためて存在感を示しています。新型コロナウイルスに立ち向かい、現場の最前線で命を支える医療・介護従事者へのエールを込めて、2020年4月ごろから、建物などを青い光で照らす「ブルー・ライトアップ」という動きが世界中に拡散。ここ日本でも、東京タワーや東京スカイツリー、札幌市時計台、東京都庁、大阪城、レインボーブリッジ、明石海峡大橋といったランドマークをはじめ、電力会社の鉄塔や火力発電所の煙突なども青い光で染められました。
ちなみに「ブルー・ライトアップ」の青色は、英国の国営医療サービス事業(NHS)のテーマカラー。その「Clap for Carers(医療・介護従事者のために拍手を)」という支援プロジェクトの中で、首都ロンドンの観覧車や高層ビル、スタジアムなどを青くライトアップしたことが始まりとされています。
こうして、コロナ禍の真っただ中にあって、世界各地に広がった鮮やかなブルーの光景。もし青色LEDが発明されていなければ、これほど鮮明に青く照らし出すことはできなかったかもしれません。青い光に込められたメッセージとともに、人々が国や地域を越えてリアルにつながり、笑顔でふれ合える日々が戻ってきますように……。いま世界中の誰もが、そう願っているに違いありません。
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