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自動車の進化に伴って進化する、タイヤのパラダイムシフト

今、自動車が大きな変革期を迎えている。これまでガソリン一辺倒だったものが、EV(電気自動車)、HV(ハイブリット車)など、新しい燃料で駆動するエンジンが搭載される自動車が増えているのだ。この傾向は、今後もますます拍車がかかっていくに違いない。

加えて、自動車を取り巻く環境も大きく変わりつつある。情報通信やエレクトロニクスといった新技術を活用するITS(高度道路交通システム)が、われわれと自動車との関係性をも変えていく時代になっているのだ。

そして、自動車環境の大きな変化に伴って、自動車のタイヤも進化していることにお気づきだろうか。
これまでのように単に自動車をスムーズに動かすためだけでなく、タイヤにもこれまでにない機能が搭載されるようになっている。これからタイヤはどのように進化していくのだろうか。

自動車タイヤの基本機能に加え、新たな機能も求められている

自動車が量産されるようになって1世紀を過ぎた。その間、自動車は大きくそのスタイルを変えてきたが、その足下を見ると、常に4本のドーナツ形のタイヤがボディを支えてきた。もちろん、素材や品質は大きく向上しているはずだが、そのカタチは時を経ても大きな変化はなく、タイヤの進化というものはなかなか実感しにくいのではないだろうか。

タイヤの基本機能は以下の4つあると考えられる。

1.自動車の荷重を支える(負荷荷重機能)
2.駆動力・制動力を路面に伝える(トラクション・ブレーキ機能)
3.方向を転換・維持する(操縦性能、安定性能)
4.路面からの衝撃を緩和する(乗心地性能)

基本機能は上記の4つだが、時代の変化とともに、タイヤにはこれ以外の新しい機能も要求されるようになっている。それは例えば「タイヤの磨耗による道路環境悪化の防止」、あるいは「騒音による生活環境の悪化防止」など。基本機能に加え、それらの問題をも解決すべくタイヤは進化し続けているわけだ。

地球温暖化問題などに端を発する環境問題は、自動車業界に大きな影響を与えていることは間違いない。その流れに沿って、大手タイヤメーカーは各社がそれぞれの視点を持ち、さまざまな新技術にチャレンジしているところだ。各タイヤメーカーが掲げる、新しいタイヤのコンセプトに迫ってみよう。

ダンロップが目指す、スマートタイヤとは?

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進化するタイヤへのひとつの回答として、ダンロップが導き出したものが「スマートタイヤコンセプト」。その核となる方向性は、以下の5つだ。

1.センシングコア
ソフトウェアをブレーキのコンピュータに組み込むだけで、タイヤがセンサーとして機能する新しいセンシング技術。路面の滑りやすさなどの状況、タイヤ自体の摩耗状況、負荷荷重、空気圧などを検知し、そのデータが車両のコントロールのために使われたり、クラウド経由で社会的なビッグデータとして使われたりする。

2.アクティブトレッド
濡れていたり凍結したりする路面状況の変化に反応し、タイヤのゴムの機能がアクティブ(能動的)に変化する技術。路面や気温などの状況変化に応じて最適な性能を発揮し、安心・安全なドライブを続けることができる技術の確立を目指している。

3.性能持続技術
タイヤの新品時の性能を長く持続させるための技術の実現を目指している。タイヤの摩耗で起こる性能変化を予想できる新技術「Tyre Lifetime Simulation」を活用し、摩耗と劣化による性能低下を抑制することで性能を持続させる。一部のスタッドレスタイヤではすでに実現している。

4.エアレスタイヤ
空気を入れなくても走行できるタイヤである「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」の実用化に向けた技術開発を進めている。空気を使わないことで、ドライバーはパンクの心配がなくなる。2015年の東京モーターショーで発表されたコンセプトタイヤの実用化を目指している。

5.エナセーブ技術 LCA(Life Cycle Assessment)
LCAとは、製品やサービスに対する環境影響評価の手法のこと。そのLCAの観点から、循環型社会の実現に寄与できる商品の開発を推進する。原材料や製品使用時だけにとどまらず、製造、運搬、リサイクルなど、商品ライフサイクル全体で環境性能をより高いレベルに引き上げることを目指している。市販タイヤにおいては「エナセーブ・テクノロジー」として展開中

以上のようなコンセプトのもと、自動車の変化、環境の変化に対応した新しいタイヤが続々と誕生している。

グッドイヤーは、自動運転車向けタイヤに注力

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グッドイヤー(Goodyear)が開発に力を注いでいる自動運転車向けコンセプトタイヤ「Eagle 360 Urban」「IntelliGrip Urban」は、AI(人工知能)やIoT技術を搭載していることが大きな特徴となっている。

「Eagle 360 Urban」
AI技術を採用しており、その形状も独創的。一般的なドーナツ型ではなく球体型のタイヤで、車両が真横に動くこともできるようにしている。360度どの方向にも、自由自在に走行できるタイヤというわけだ。その表面にはセンサーが搭載されており、路面や天候、気象の状況などを感知。そのデータをもとにAIがタイヤ表面の凹凸を自動的に形成させるという。

「IntelliGrip Urban」
高性能なセンサー技術を採用しており、設置した路面や気象の状況のデータを収集。電気自動車のコンピューターシステムに送信する。それにより、スピードやブレーキ操作、ハンドル操作などを最適化するとともに、エネルギー効率をも向上させるという。

自動運転車が、さらに身近な存在となるためには、タイヤの技術も重要な役割を果たしていることがわかる。

ブリヂストンは、省エネとエコロジーを考えたタイヤ

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ブリヂストンは、タイヤを軽量化し、転がり抵抗を大幅に低減する新技術「エンライトン」を開発。これはパターンブロックの動きを最適化し、接地形状の最適化による運動性能やタイヤ磨耗性能を維持しつつ、タイヤに使用する部材を削減する技術を指す。従来の乗用車用タイヤ(225/40R18の場合)に比べて約20%の軽量化を実現し、転がり抵抗を約30%低減できる。

これによってガソリン車のタイヤに起因するCO2排出量を約30%削減。また電気自動車の航続距離をのばすこともできるため、環境負荷低減とモビリティ社会に貢献。自動車が走るということは、そのまま地球温暖化につながる行為なので、少しでもCO2排出量を削減しようと、タイヤメーカーも涙ぐましい努力を重ねているのだ。

横浜ゴムは、得意のスタッドレスタイヤで新技術

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冬用スタッドレスタイヤで強みを持つ横浜ゴムは、主力商品の「アイスガード 6」で、「プレミアム吸水ゴム」と名づけられたゴムを採用した。

濡れた路面や凍結路面でタイヤがスリップするのは、氷の表面に浮くミクロの水膜によってタイヤが路面に密着しにくくなり、トレッドゴムの摩擦力を十分に発揮できなくなるから。ミクロの水膜の除去こそが、スタッドレスタイヤの最重要課題なのだ。

プレミアム吸水ゴムは、トレッドゴムに「新マイクロ吸水バルーン」というバルーン状の穴を施し、吸水材「エボ吸水ホワイトゲル」を採用した技術だ。この2つの工夫を施したことで、水を吸い上げ、路面とゴムとをより密着させる技術となっている。新マイクロ吸水バルーンは、単にバルーン状の空間を施したから水を吸い上げるわけではなく、吸水材を配合したプレミアム吸水ゴムとの相乗効果で水を吸い上げるのだ。

これにより、人が歩いてもすぐに転びそうな凍結路面でも、きちんと氷をつかんで走行できるという。Uターンでも狙ったラインをトレースできるようにもなる。
滑りやすい路面での安定走行も、自動車の大きな課題のひとつ。それを解決するための機能も、大きく進化しているのだ。

── 現代は、自動車の進化とともに、タイヤの素材、配合、パターン、そして形までもが大きく変化を遂げている時代だ。自動車メーカーやタイヤメーカーの社員だけでなく、自動車整備等に関わるすべての人にとって、常にチェックしておきたいコンテンツといえるだろう。

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