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「All in one=つなぎ」。作業着、防護服、子ども服、パジャマ、おしゃれ着まで!

車の整備や塗装業、工場での業務など、作業着の定番「つなぎ」は主に服が汚れやすい作業に着用されます。つなぎは上衣とズボンがつながった服を指し、上下がつながっていることで、ウエスト部分から汚れや破片などが衣服に侵入するのを防ぎ、機械を使った作業の際には機械に巻き込まれる危険からも守ってくれる機能性を備えています。

安全性が高いうえに、体形に合った柔軟な素材のつなぎなら、どのような動きにも適応してひざや袖が突っ張るようなこともありません。
また、作業着のほかにも、消防服、ライダースーツ、子ども服、パジャマ……と、おしゃれなファッションに取り入れられることもあり、色やデザインも豊富です。オーバーオール、サロペットなどもつなぎの一種で一般にも親しまれていますね。

今回は、作業着としてのつなぎの特徴や機能を学び、動きやすくてカッコいい「つなぎ」を楽しむコツをご紹介しましょう。

つなぎ=オールインワン

つなぎは英語でオールインワン(All in one)と呼ばれ、一枚の生地でできていいます。トップスとボトムスが縫い合わされてつながった衣服を指し、下衣がスカートの場合にはワンピースと呼ばれます。

「All in one = オールインワン」とは「すべてがひとつに含まれたもの」の意。

通常、首元から股までの前立て部分が1本のファスナーで開閉でき、ファスナーは上下どちらからも開くダブルスライダー式が多いようです。体を保護するため丈夫な布や皮革で作られ、防水、防炎……など、作業上において必要な特殊加工が施されたものも数多くあります。

つなぎの歴史/始まりはオーバーオールだった

つなぎの誕生は、アメリカ開拓時代(1860~1890年代)のゴールドラッシュの頃。

ゴールドラッシュとは、新しく金が見つかった土地に人々が殺到することを指しますが、1848年、アメリカ・カリフォルニアで金鉱が発見され、その噂はまたたく間にアメリカ全土に広まります。その噂を聞きつけた移民が世界各地から集まり、当時、2万人にも満たなかったカリフォルニアの人口が翌年1849年には10万人、1852年には25万人、1860年には38万人……と急増。一攫千金を夢見る人々がカリフォルニアに群れをなして集まったのです。

金の採掘作業は、常に土と水にさらされる過酷なもの。作業着はすぐボロボロになり、「丈夫な作業着がほしい」という労働者の要望によって作られた、テントなどに使われる丈夫なキャンバス地の胸当てパンツ(ズボン)(=オーバーオール)が「つなぎ」の始まりだといわれています。
当時、擦(す)り切れにくい丈夫なオーバーオールは、金鉱探しに明け暮れていた労働者にとって、非常に重宝する作業着でしたが、その後はキャンバス地よりも丈夫なデニム素材が出まわるようになり、労働者の間に定着していくことになります。

オーバーオールから、胸当てのないオーバーオール、そして「ジーンズ」へ

画像はイメージです

1870年代に製造されたジーンズは、もともと胸当てのないオーバーオールをリベット(鋲=びょう)で補強を施した「ウエスト・オーバーオール」が原型とされています。ほどなく1880年代になると、デニム生地が使用されるようになりますが、このときは「ウエスト・オーバーオール」=「(胸当てのない)腰の高さまでのオーバーオール」に、つりひも(サスペンダー)機能がついたものだったようです。

さらに、その頃はまだ「ジーンズ」という言葉が誕生していなかったので、当時はまだ「ウエスト・オーバーオール」という商品名で販売されていました。胸当てのないオーバーオールを含め、作業に用いられるズボンを、鉱山労働者たちは「ジェンズ」などと呼び、1920年の頃からそれが転じて「ジーンズ」と呼ばれるのようになったといわれています。
つなぎ(オーバーオール)の歴史が、アメリカのゴールドラッシュにさかのぼることに驚く方も多いと思いますが、それは同時に、つなぎの作業着としての機能性や着心地が、いかに優れているかを証明することにもなりますね。

意外にたくさんある、つなぎの種類

オーバーオール

オーバーオールから進化した作業着としてのつなぎの歴史がわかったところで、どのようなものがあるのか、つなぎの種類をみていきましょう。

〇オーバーオール
一年を通して着用できる、胸当てにつりひもがついたズボン。デニム生地を使用しているものが多く、普段使いに適したカジュアルウエアのつなぎです。

〇長袖仕様のつなぎ
一年を通して着ることができ、暑い夏には速乾性や通気性に優れたもの、寒い冬には生地の厚い防寒つなぎ……というように、季節、気温などによって使い分けられます。

半袖仕様のつなぎ
体温を逃しにくいため熱がこもりやすいつなぎですが、春夏用の半袖は生地の素材に薄めのものもあり、この場合、暑い夏でも快適に着用できます。ただし、危険をともなう作業場では半袖仕様は安全性に欠けるため、作業で半袖を着用する場合は十分な配慮が必要です。また半袖のつなぎは、肌寒い季節にインナーで調節したり、冷凍庫などの室温が低い場所に入る時はパーカーやジャンパーを羽織ることができるフレキシブルさも利点。このように作業環境ごとの気温(温度)差によって自在に体温管理できる点もメリットのひとつです。

〇サロペット
サロペット(salopette)はフランス語で、オーバーオールのような胸当てと、つりひもが付いたズボンのこと。オーバーオールとの違いは、つりひもが背中でクロス(交差)している点になります。生地もデニム以外に、コーデュロイやサテン、パイルなど柔軟性のあるものも多く、おしゃれ度も高いようです。オーバーオールは主に男性仕様、サロペットは女性仕様……という傾向もあるようです。

○ファッションアイテムのつなぎ
最近では、女性用のおしゃれなつなぎを多く見かけるようになりましたが、作業着ではなくファッションアイテムとして着用する場合、肩ひもをあえてはずして着崩したり、ジャケットを羽織ったり、小物をあしらったり……と、着こなしも個性豊かですし、色合いもデニム生地に限らず、さまざまなタイプが増えてきているようです。

つなぎのメリット

ここからは、つなぎのメリットとデメリットをまとめてみましょう。

●動きやすい
背伸びしたり、しゃがんだり、這いつくばったり……と、作業によってはさまざまな動きをすることがあります。こうした点を考慮して、体に合った柔軟な素材のつなぎを選べば、どんな作業をしても体にフィットして、突っ張るようなことはありません。

安全性が高い
上下がつながっているため、ウエスト部分からほこりや破片など余計なものが侵入しません。また、機械などに巻きこまれるリスクも軽減されます。さらに、ひざやひじにプロテクター仕様が施されたつなぎもありますし、屋外でつなぎを着て作業する人にとっては、急に雨が降ってきても体が濡れず、体温を適切に維持する機能性を発揮します。風、雨、土ぼこり、昆虫や害虫などの小さな虫、破片といった作業を妨げるものから体を守ることは、業務を安全に継続していくための基本となるため、つなぎには危険回避服の別名もあります。

周囲の物を傷つける心配が減る
上下が分かれている作業着ではベルトやファスナーの留め具に硬い材質が使われていることが多く、体と対象物がぶつかった際に傷つけてしまうリスクがありますが、上下がつながっていることで腰まわりに余計なものがなくなることがつなぎの大きなメリットです。つまり、意図せずに車やバイクのボディに当たったとしても傷がつく心配は減り、商品に傷をつけてしまった場合のトラブルや事故を軽減する効果も得られます。

汚れが気にならない
つなぎは、主に服が汚れやすい作業に着用されます。汚れを気にせず業務することができ、使い込んで汚れたつなぎは労働した証し! 新品のつなぎより、体にフィットしたつなぎのほうがカッコいいことは間違いないでしょう。

社名やブランド名、仕事中の緊張感をアピールできる
社名やブランド名などが背中部分に大きくプリントされたつなぎを着て作業している姿は、見ていてインパクトがありますね。プリントされた社名やブランド名は印象に残りますし、広告効果も備えています。さらに、つなぎを着ているだけで“仕事中”という緊張感を醸し出す効果があります。ヘルメットにも同様の働きがありますが、100メートル先や高い場所で作業している作業者に対して、遠くから見てすぐ判別できるよう、役職や扱うブランドや業務内容、取得資格によってつなぎの色が異なる職場も多くあります。

●収納力が高い分、作業効率も高い
腰まわりだけでなく、胸や左手上腕部にもポケットがあるため、工具、携帯電話などの必需品や部品、筆記具など持ち歩くことなく収納できるため、作業を効率的に進める機能があります。

つなぎのデメリット

●熱がこもりやすい
夏場や気温が上がりやすい環境では、メッシュ生地を使用したものを選ぶのがおススメです。脇下や股下など、蒸れやすく熱がこもりやすい部分にメッシュ生地を使用したものを選ぶといいでしょう。

トイレが面倒
上下がつながっているため、トイレに行くときは上衣部分からひざ下まで脱がなければなりません。こうしたデメリットを避けるため、なかにはヒップ部分にファスナーが付いているタイプのつなぎもあります。

慣れるまでは脱ぎ着しにくい
体形にピッタリ合ったつなぎは、着る際には問題なくても、脱ぐ際に腕と肩部分が脱ぎにくいこともあるようです。だからといって、余裕のあるゆったりしたつなぎでは着用時にダボダボ感があるため見た目が好ましくありませんし、太ももが直接擦れてしまうことで股ズレが起きやすくなることも……。何度か着たり脱いだりするうちに生地は自然に伸びるので、慣れるまでは多少のがまんは必要かもしれません。

厚手のものは重い
冬物の中には重いタイプの生地を使用したものがあり、そうした場合は着ているだけで肩が凝る人もいるようです。したがって、寒いからといって、あまり厚手のものを選ばずに、ほどよい厚さのつなぎとインナーで調節するのがいいかもしれません。

つなぎの選び方のポイント

つなぎのメリット、デメリットを確認したうえで、つなぎの選び方のポイントを押さえましょう。

身長よりも大きめのサイズを選ぶ
ジャストサイズでは肩や胸、腰が入らない場合があります。ひざを曲げて腰を下ろす動作のときや、腕を伸ばす動作のときに、肩、腕、膝が生地に引っ張られて窮屈に感じることや、作業をするうえで可動域が狭められることもあるので、試着するときは、着丈に余裕があるサイズを選ぶようにしましょう。

着用目的に合ったつなぎを選ぶ
つなぎには、制電、防水、防炎、吸水、速乾、冷感、防塵……と、さまざまな機能を備えたタイプがあります。なかには、夜間の視認性(目で見たときの確認のしやすさ)を高めるために、反射テープ(夜間や暗い場所での事故防止のため使用される、光が当たると反射する粘着テープ)が付いたつなぎもあるので、使用目的に合わせて選ぶようにしましょう。

つなぎ着用時のポイント

つなぎの下にインナーを着用する
つなぎには汗を吸わないタイプがありますが、この場合、汗を吸ってくれるインナーを身に着けていると作業上での不快感を減らす効果が得られます。また、その日の天候や気温によって、インナーで暑さ寒さを調整することもできます。つなぎのインナーも、長袖からノースリーブまで各種販売されています。

裾や袖はしっかりと締める
隙間から汚れや作業で使用する塗料、破片、虫、土ぼこりなどが侵入することがありますが、裾や袖をしっかり留めておけば、そうした異物の侵入リスクを減らせますし、冬期には防寒対策にもなります。

●上半身まできちんと着用する
つなぎの安全性や快適性を高めるためには、面倒がらずに正しく着用する必要があることはいうまでもありませんし、作業着としても、着心地がよく機能性に富んだ好みのつなぎなら、仕事のはかどり具合(作業効率)にも大きな影響がおよびます。

── 今回ご紹介した通り、安全で動きやすく、多彩な機能を備え、生地の素材、色やデザインのバリエーションも豊富であり、メンズ、レディース、男女兼用、キッズ……までと、カップル、ファミリー、チームで楽しめるつなぎ。そういえば、リーゼントのヘアスタイルにつなぎを着用した、おしゃれでカッコいいロックバンドもいましたね(笑)。

屋外、屋内を問わず、さまざまな環境に置かれた現場で活躍する方は、一着でさまざまな働きをしてくれる機能的なつなぎの意味をきちんと理解して、賢く上手に、ワークウエアであるつなぎを着こなして、業務の安全性、効率化を図って用いていきたいものですね。

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