【メカの秘密シリーズ】ヘリコプターが自由に空を飛べるのはなぜ?
2021.04.09空を飛べる乗り物といって、真っさきに思い浮かぶのは飛行機でしょう。飛行機は多くの乗客や貨物を乗せ、長時間飛行することができます。しかし、飛行機よりも自由自在に空を飛べるものがヘリコプターです。ヘリコプターは飛行機に不可欠な滑走路がなくても離着陸ができ、前進・後進はもちろん、垂直に上昇・下降することも、空中にとどまることもできます。このようなメリットを活かし、災害救助、急病人の搬送、犯罪捜査、報道など、多方面で活躍しています。
飛行機よりも小まわりがきき、私たちの身近で役立っているものがヘリコプターということになります、ではなぜ、ヘリコプターは空を自由に飛ぶことができるのでしょうか。そもそも、飛行機とヘリコプターはともに空を飛べるという共通点があるものの、機体の構造はまるで違うように見えます。両者の飛行の原理は同じなのでしょうか。今回はヘリコプターが空を飛べる秘密に迫ります。
まずは、飛行機が空を飛ぶ仕組みを知ろう
ヘリコプターが空を飛ぶ仕組みを考える前に、まずは飛行機がどうして空を飛ぶのかを説明しましょう。
飛行機は大きな翼(主翼)と、強力なジェットエンジンやプロペラエンジンを持っています。その強力な動力で飛行機を前進させると、飛行機を取り巻く空気は前方から後方に向かって流れることになります。飛行機の前方から後方に流れた空気は翼のところで上下に分断されますが、その上下に分かれた空気は翼の後方には同時に到達することになります。
一方、飛行機の翼は上側には膨らみがつけられ、下側は平らに作られており、輪切りにするとかまぼこのような形をしています。このため、翼の上側を流れる空気は少し遠まわりすることになり、それでも下側の空気と同時に翼の後方に到達するわけですから、下側を流れる空気よりも速く流れることになります。
このとき、翼の上側の空気は下側の空気に比べて“薄い”状態になります。翼の上側の空気ほうが下側よりも速く流れる分だけ、空気の分子の密度が低くなるわけです。つまり、空気の流れの速さが翼の上下で異なることによって、それぞれ下記のような状態になります。
- 翼の上側……空気の流れが速い=空気が薄い=空気の分子の密度が低い=空気の圧力が低い
- 翼の下側……空気の流れが遅い=空気が濃い=空気の分子の密度が高い=空気の圧力が高い
力は圧力の高い側から低い側へ作用します。このため空気の薄くなった上側に向かって、空気の濃い下側から、翼を持ち上げようとする力が働きます。この力を「揚力」と言い、この力によって飛行機は空中に浮かび上がり、飛ぶことができるのです。揚力を得るためには、飛行機自身が速いスピードで走り、速い空気の流れを作り出して翼に当てる必要があります。飛行機が空を飛ぶためには、強力なエンジンで速度を上げて滑走することが不可欠なのです。
ヘリコプターも飛行機同様、「揚力」で浮かび上がる
飛行機が宙に浮かぶ秘密は揚力にあることがわかりました。しかし、ヘリコプターには飛行機のような翼はありません。空気の圧力の差を作る翼がないのに、どのような原理で浮かび上がるのでしょうか。
実は、ヘリコプターも飛行機と同じように揚力で空中に浮かび上がります。両者はその機体の構造が大きく異なっているため、空を飛ぶ仕組みも違っているのでは……と思われがちですが、両方とも同じ原理で空を飛んでいるのです。
ヘリコプターの上部に大きな回転翼があることはご存じですよね。この回転翼のことを「ローター」と言い、その主となるものが「メインローター」です。メインローターは、付け根の部分(回転軸)にあたる「ローターヘッド」と、一般的にはプロペラと呼ばれている数枚の板状の「ブレード」で構成されています。ヘリコプターはこのメインローターを高速で回転させ、揚力を発生させて宙に浮かぶ仕組みなのです。
水平に対するブレード(翼)の角度を仰角(ピッチ角)といいますが、仰角が0度(水平)であれば揚力は発生しません。ブレードの角度を変えて仰角を大きくしていくと揚力が発生します。しかし、ある角度を過ぎると抵抗の力が揚力を上まわり、仰角が90度(直角)では再び揚力は0になってしまい、飛べなくなってしまいます。そのためヘリコプターのブレードは仰角を任意にコントロールできる構造になっており、上昇する際にはブレードの仰角を大きくするのです。
身近な例として、「竹とんぼ」を思い起こすとわかりやすいでしょう。竹とんぼのブレードもある程度の仰角をつけて削られているため、これを回転させると空気が下に押し下げられ、上に向かって飛んで行きます。このとき、竹とんぼを押し上げている力が揚力です。
ヘリコプターはブレードの角度を変えることで、ローターの回転面の上側と下側に圧力の異なる空気の層が発生させるわけです。プロペラの回転速度が速く、回転面の面積が広いほど大きな揚力を得ることができるため、ヘリコプターは竹とんぼより大きな揚力を発生させるわけです。
回転翼だけで前進やホバリングできるのはなぜ?
ヘリコプターは、竹とんぼのようにメインローターを回転させることで揚力を発生させ、宙に浮かび上がることがわかりました。では、ヘリコプターが前進したり、空中にとどまるホバリングができたりするのはなぜなのでしょうか。
秘密はメインローターの回転面の角度にありました。メインローターの回転面を前に傾けると、力がはたらく方向がやや後方に向き、ヘリコプターは前進します。また、回転面を右に傾ければ右方向に進み、水平にすると空中で停止することができます。
宙に浮かぶヘリコプターには、常に4つの方向に向かう力がはたらいています。ヘリコプターを前方に進めさせようとする「推力」、ヘリコプターを上に引っ張り上げようとする「揚力」、ヘリコプターを下に引っ張る「重力」、そしてヘリコプターを後方に引っ張る「抵抗」です。ローターの回転面の角度を変えて、抵抗より推力を大きくすれば前進し、4つの力がともにつり合えばその場にとどまるホバリングが可能となるわけです。
ヘリコプターはブレードの角度や回転面の角度を常にコントロールし、回転させ続けることによって、自由自在に空を飛んでいるのです。
テールローターもヘリコプターには必要不可欠
ヘリコプターが、メインローターのはたらきによって揚力を得て浮かび上がり、空を飛べることがわかりました。しかし、ここで新たな疑問が生まれます。メインローターが高速で回転したとき、なぜヘリコプター本体もその動きにつられて、ものすごい速度で回転しないのか、ということです。メインローターが高速で回転すれば、ヘリコプター本体はその反動で逆回転するはずです。
これを防止するために、ヘリコプター尾部に「テールローター」という、機体に対して垂直のローターが取り付けられています。このテールローターを回転させ、機体が旋回しようとする方向とは逆方向の力を発生させることで、ヘリコプター本体が回転することを防いでいるわけです。小さく、目立たないお尻のプロペラも、実はヘリコプターにはなくてはならない存在。目立たない存在ではありますが、実はとても大きな役割を果たしていたというわけです。
ちなみに、メインローターが機体上部の前後に2つついている「タンデムローター機」は、それぞれのローターを逆方向に回転させることで機体の回転を防いでいます。また最近はテールローターを使わず、機体の尾部から圧縮空気をメインローターと逆方向に吹き出して回転を防止する「ノーターヘリコプター」という機種も開発されています。
近年、気軽に空中撮影ができる「ドローン」(小型無人飛行機)が人気を集めていますが、ドローンが自由に空を飛べるのもヘリコプターと同じ原理。すでにドローンを使った宅配サービスなども始まっており、“小型ヘリコプター”は今後ますます私たちの身近な存在になっていくでしょう。これからも大きな進化が期待できる空中サービスですが、それが空を飛ぶ原理はちゃんと理解しておきたいものですね。
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