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まな板は俎?真魚板?真菜板?意外と知られていないまな板トリビア

料理や調理を仕事にしていないかぎり、「まな板」にこだわりがある方は少ないと思います。どのご家庭にもある調理の必需品なのに、包丁や鍋に比べるとないがしろにされがちな「まな板」……。でも日本料理の調理人は“まな板の前にいる人”というところから「板前」と呼ばれるように、調理は「まな板」を置くことから始まるとも言えるのです。

板前の語源を探っていくと、調理人とまな板の関係性の深さが見えてきますね。そこで、本記事では、意外と知られていない「まな板トリビア」をご紹介しましょう!

「まな板」という言葉のルーツは諸説ある!

「まな板」は漢字で「俎」とも書きます。「俎」は、へんが「肉」を、つくりが「台」を意味し、古代中国では“神様に供える生贄(いけにえ)をのせる台”でした。日本でも弥生時代の遺跡から木製のまな板が発見されていて、はるか昔から人々の生活に存在していたことがわかります。

ちなみに奈良時代のまな板はヨコ1m×タテ65cmもあり、分厚く、約15cmの脚がついていました。でもなぜ脚がついていたのでしょうか……。その理由は、当時は座った状態で使われていたから、とされています。そのため「切机(きりづくえ)」と呼ばれていたようですが、平安時代に入ると庶民にも広く使われるようになり、「まな板」と呼ばれるようになりました。

「まな板」という言葉のルーツは諸説あります。

一説では、魚(な)に、接頭語の真(ま)を付けた「真魚(まな)」を料理するための板だから「まな板」という説。

異なる説では、優れたという意味の真(ま)と、おかずという意味の菜(な)で、「真菜(まな)=優れたおかず」を作る板だから「まな板」というものもあります。

わが家にぴったりの「まな板」って?

かつて、まな板は脚がついた机のようなものだったのですが、それは魚や肉の硬い骨を断ち切るため、思いきり体重をのせて使うこともあり、加重に耐えうる分厚さが求められたから。やがて調理を立って行うことが一般的になると、調理台の上にまな板を置くスタイルに変わり、まな板の脚はなくなりました。また大きさは小さくなり、厚さは薄くなりました。

現在、一般的とされるまな板は、ヨコ50cm×タテ25cmくらいの長方形で、厚さは3cm前後でしょうか。

大きいまな板は、大きな食材やたくさんの量を調理することができ、さらに切った食材を端に寄せておくこともできて便利ですが、調理台に収まることやシンクで洗うことを考えると、おのずと大きさは制限されてしまいます。

一方、切った食材をそのまままな板から鍋やフライパンに投入できる利点から、小さくて薄いまな板をお使いの方も増えてきています。単身者や普段たくさんの食材を使って料理しない方も同様に小さめのほうが便利かもしれません。

そう、家族構成やよく作る料理によってそのご家庭にふさわしいまな板があるのです。

形もいまや長方形だけでなく正方形、丸形、オーバル形などさまざまな形状があり、収納場所やインテリアに合わせて選ぶことができます。まな板をキッチンの目立つところに置いているご家庭なら、あえてユニークな形のものを選べば、キッチンがオシャレな空間に様変わり! 楽しい気分で料理ができると、手順や手際もはかどりそうですね。

まな板を選ぶうえで最も重要なこと、それは材質

ここまでまな板の大きさ形状に触れてきましたが、実は、まな板の使い勝手を左右するのはそれだけではありません。むしろ最も大事な点は、材質といえます。

材質によって調理のしやすさやお手入れ方法などが異なりますので、それぞれの特徴を理解したうえで正しく使うことが大切ですが、まな板の材質は主に木製、プラスチック製、合成ゴム製、樹脂製などがあり、それぞれ大きな違いがあります。

■木製:包丁の刃あたりがやわらかく切りやすいが、手入れが大変

■プラスチック製:手入れが楽で衛生的だが、刃あたりが悪く、熱に弱い

■合成ゴム製:包丁の刃を傷めず手入れが楽で衛生的だが、比較的重く、ゴム臭がある

■樹脂製:衛生的だが、包丁の刃を傷めやすい

一般的に最も使われているのは比較的安価なプラスチック製のもの。軽くて扱いやすく、水分を吸収しない機能性から、表面をしっかり洗うことで衛生を保てるお手軽感はうれしいポイントとなります。

ただし、プラスチック製のまな板の難点は色うつりしやすい点にあります。この点をクリアするためには週に1回程度、漂白除菌をするとよいでしょう。最近では抗菌加工やすべり止め加工されているものもあり、使いやすさが格段にアップしています。ただし、包丁との相性はイマイチで、刃を傷めるほか刃こぼれや切れ味低下の心配もあります。

調理のプロの多くは木製まな板を使っていますが、それはやはり「食材を切る」という本来の目的に照らしてみて、木製のまな板が最も適しているからに他なりません。それはつまり、食材が滑りにくく、包丁の刃のあたりがやわらかいので、切れ味が持続する点にあります。さらに、食材を切りやすいので、長時間作業しても疲れにくいという利点もあります。

ところで、ひとくちに木製といってもさまざまな種類があることをご存じですか?

■ヒノキ:ほどよいかたさと耐水性、抗菌作用があり、香りがよく腐食にも強い

■オリーブ:木目模様が美しい

■イチョウ:油分を適度に含み、水はけがよく復元力が高い

■ホオノキ:水切れがよく乾燥が早い

木製のまな板なら、どの素材でもヒビや節目がなく木目が揃っているもの、また反らないよう3cm以上の厚みがあるものがオススメです。厚みがあれば、削り直しをして長く使うこともできます。

まな板のお手入れ、間違っていませんか?

調理時にまな板を使う前にぜひしておきたいことがあります。それは、さっと水で洗ってから清潔な布巾(ふきん)で水気を拭うこと。

このひと手間で、食材を切る時にすべりにくくなり、切りやすも向上します。同時にまな板の表面の給水速度が鈍くなることから、食材のにおいや細菌がつきにくくなる効果も期待できます。

一方、使い終わったまな板は、水洗いだけで済ませてはいけません。たとえば肉を切ったまな板についた菌(大腸菌やサルモネラ菌)は、水で流しただけでは除去できないからです。

しっかり洗わずそのまま野菜を切ると、まな板に付着した菌が野菜に移ってしまうことにも……。魚も同様に、夏場などの季節は食中毒の原因菌がつく恐れがあるので、肉・魚と野菜は別のまな板を使うようにしましょう。特にサラダなど生食野菜は、野菜専用のまな板を用意すると安心ですね。

まな板の正しい洗浄法

まな板を洗う際は、台所用中性洗剤とスポンジでしっかり洗います。その際、小口(側面)も忘れず隅々まで洗いましょう。洗剤を流す際にお湯を使う人がいますが、この方法は汚れを落ちやすくするどころか、肉や魚のたんぱく質を固めることになり、かえって逆効果! 必ず水で洗いましょう。

また、とにかくお手入れの時間や手間を省きたい!という人には、食洗機対応のまな板がオススメです。

洗い終えたまな板は、菌の繁殖を抑えるためにできるだけ早くしっかり乾かします。汚れが落ちてから熱湯をかける、台所用除菌スプレーをかける、漂白剤に漬ける、太陽光にあてるなどといった殺菌効果もありますが、まな板によっては耐熱温度が低いものや漂白剤が使えないもの、太陽光で反り返ってしまうものもありますので、購入時にそうした点を確認するようにしましょう。

お手入れが大変。でも木製まな板を使いたい!なら……

調理のしやすさを重視するのであれば、やはり木製まな板を選ぶことになりますが、木製まな板の最大の欠点はキズがつきやすく、細菌やカビが繁殖しやすい点にあります。

それを防ぐために日々のお手入れが欠かせませんが、そのポイントは4つあります。

【1】    クレンザーなどの磨き粉とたわしでゴシゴシ洗うこと

たわしといっても金属たわしはNG! また、野菜しか切っていない場合は、台所用中性洗剤でスポンジ洗いすればOKです。

【2】    磨き粉の粒ひとつ残さないよう、しっかり水で流すこと

実はカビの原因の中には“洗剤の洗い残し”もあるんです。小口(側面)の洗い残しチェックも忘れずに。

【3】    熱湯をまな板全体にかけ、熱湯消毒する

木のまな板は水分を吸収するので漂白剤が使えません。食中毒を引き起こす菌(サルモネラ菌など)は70度以上のお湯を1分以上かければ死滅するので、熱湯消毒が有効です。

【4】    布巾などで水分を拭き取ってから、風通しのよい日陰でしっかり乾かす

乾かす時はまな板をときどきひっくり返して上下逆にするとよいでしょう。“木のまな板は天日干ししなきゃ”と誤解している方も多いようですが、まな板が反る原因になりますので、必ず陰干ししましょう!

「反る」といえば、まな板の片面だけを使い続けている方は要注意! 気づかぬうちにまな板が反ってしまっているかもしれません。食材をスムーズに切ることができないばかりか、包丁の刃を傷めることにもなりますので、まな板は両面をバランスよく使いましょう。

木製のまな板は丁寧に使っていても中央部がへこむ、黒ずむなどわかりやすく劣化します。そうした場合は、専門店で削り直してもらえば美しく蘇りますよ。

── あたり前のようにキッチンにあってね常日頃お世話になっているまな板。ですが知らないこともあったのでは? まな板を適切に使えば食卓の安全と健康が守れるうえ、料理がもっと楽しくなるかも! まずはご自宅のまな板をよ~く観察して、使い勝手や汚れ、不具合などがないかチェックしてみてくださいね。

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