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土木職人のための「基礎からわかるコンクリート」

“コンクリートジャングル”などといった古くさい言葉を持ち出すまでもなく、私たちのまわりは、コンクリートにあふれています。都会のみならず海や山、人の行くところすべてでコンクリートを目にしないことはありません。コンクリートは、あらゆる構造物に活用される現代社会に欠かせないもののひとつですが、なぜあのように強固に固まるのか、どのように工事を進めるのかなど、私たちが知らないことはたくさんあります。

今回は、さまざまな場所で活用されるコンクリートの性質や特徴、工事の進め方、さらには新しいコンクリート技術などについてまとめてみました。

建築や道路工事に携わる人はもちろん、日々コンクリートのお世話になっている私たちも、この機会にコンクリートの基礎知識を学んでみることにしましょう。

コンクリートって何? なぜ固まるの?

建設中の商業用コンクリート床のコンクリート流し込み作業

安価で使い勝手のよさから、コンクリートはこれまで多くの構造物に使われてきました。現在までに使われてきたコンクリートの総量は実に100億立方メートルとされ、これは東京ドーム8100個分にも相当するといわれています。では、コンクリートとは一体何からできているのでしょうか。

コンクリートは、セメント、水、砂、砂利を混ぜて作られる人工の石です。セメント自体も主成分は石(石灰石)ですから、水以外はすべて石の仲間が混ぜ合わせられてできるものということになります。またコンクリートの強度は、セメントと水の割合で決まります。簡単にいえば、セメントの割合が多い = 硬いコンクリート、水の割合が多い = 緩いコンクリートに。

では、コンクリートはどうしてあのように硬く固まるのでしょう。簡単にいうと、セメントに水を加えると、それが徐々に反応してガラス質の結晶を生成します。その結晶が砂や砂利を結びつけ、やがて一体化するのです。つまりは、コンクリートは水とセメントによって引き起こされる化学反応、すなわち水和反応によって硬く固まるのです。

もともとセメントは粉体ですが、これに水を練り混ぜたものをセメントペーストといいます。このセメントペーストは、砂や砂利の接着剤の役割を果たすのですが、急速に乾燥を進めてしまうと、逆にコンクリートの硬化に悪影響をおよぼすことに。

ちなみに、セメントペーストに砂を混ぜたものがモルタル、モルタルに砂利を混ぜたものがコンクリートです。セメントペーストやモルタルは、コンクリートの補修用などとして広く使用されます。

コンクリートのメリット・デメリットは?

多くの構造物に使用され、ひたすら「強い」イメージのあるコンクリートですが、もちろん弱点もあります。ここではメリットとデメリットを確認していきましょう。

●コンクリートのメリット

【圧縮力に強い】

セメントと水による化学反応で砂と砂利がしっかりと結合し、ガッチリ強く固まります。さらに、一度固まると変形しにくい点も大きな特徴です。これにより、外からの圧縮力に対して強大な耐久性を発揮します。

【自由な形に成形できる】

固まる前のフレッシュコンクリートはやわらかく流動性があるので、型枠に流し込むことによってさまざまな形に成形できます。加えて、コンクリートの主成分はセメントと砂、砂利ですから、外部からの火や熱に強い耐久力があります。一般の木造家屋のように容易に燃えることはありません。

【腐食に強い】

コンクリートは水や酸素に触れても腐食することはありません。しかし、鉄筋コンクリートの場合、内部の鉄筋が錆びることがあります。

●コンクリートのデメリット

ひび割れが生じたグランジ・コンクリートセメント壁

【曲げる力や引っ張る力に弱い】

圧縮される力に強い点がメリットですが、逆に引っ張る力や曲げの力には弱い点がデメリットのコンクリート。もちろん人の力で簡単に破壊などできませんが、地震のような強大なエネルギーがかかった場合は脆く壊れることがあります。

【長時間高温にさらされると悪影響が生じる】

木造家屋のように燃えることはありませんが、600度を超える高温にさらされることでその強度は約半分に低下し、1200度で溶解します。また、急激に加熱されることで爆裂することも。

【酸に弱い】

酸性ガスや溶液等を浴びることにでコンクリート表面が化学変化を起こし、脆く劣化することがあります。そのため温泉地等での使用には注意を要します。

【ひび割れしやすい】

変形しにくい点がコンクリートの最大のメリットですが、逆に、乾燥が原因でひび割れが生じることも。コンクリート内部は適度な水分を含み、水和反応を続けていますが、これが乾燥することによって表面が収縮し、ひび割れが起こるのです。

【固まるのに時間がかかる】

コンクリートがある程度の硬さになるには、およそ1カ月の時間が必要といわれています。つまり、固まるまでに時間を要する特性から、ときに建設スケジュールの障害となりえることも。

コンクリートにはどんな種類がある?

ひと口にコンクリートといっても、分類の仕方によってさまざまな種類があります。ここでは4つの分類法からコンクリートの種類を見ていきましょう。

①材料による分類

コンクリートでは、主に使われる材料によってセメントコンクリートとアスファルトコンクリートに分けられます。

セメントコンクリートは、前項で説明した通りセメント、水、砂、砂利を主な材料とするコンクリートのこと。一方のアスファルトコンクリートは、セメントの代わりに石油から生成されるアスファルトを使って砂や砂利を固めます。

アスファルトコンクリートは、最近の道路舗装などによく使用されます。素材が固まるまでの時間を短くすることができるため工期短縮が実現。また、費用もセメントコンクリートより安く抑えられるメリットがあります。しかし、セメントコンクリートに比べて熱に弱く、耐久性も低い点がデメリットとされます。

※一般的に「コンクリート」という場合はセメントコンクリートを指します。

②鉄筋の有無による分類

コンクリートは、鉄筋の有無によっても分類されます。

先に、コンクリートは圧縮力には強いものの、引っ張る力や曲げる力には弱いと説明しました。この弱点を補うため、通常はコンクリート内部に鉄筋を入れ(鉄筋による骨組みを包み込むようにコンクリートを固め)て強度を出すわけです。

近年は、鉄筋の代わりにPC鋼材(鉄筋の5〜6倍の強度を持つ高強度材料)を使った「プレストレストコンクリート(PCコンクリート)」を使うケースも増えています。これは、PC鋼材が元に戻ろう(縮もう)とする性質を利用してコンクリートに圧縮力を与え、PC鋼材を引っ張って張力を与えた後にコンクリートと固定するもの。これによりプレストレストコンクリートは、鉄筋コンクリートよりさらにひび割れに強い特性を発揮することになります。

一方、鉄筋を使わない無筋コンクリートもあります。これはコンクリート構造物そのものの重さで水圧や土圧などに対抗させるもので、代表的なものとして重力式ダムなどがあります。

③使用環境による分類

コンクリートは、使用する環境によって「寒中コンクリート」と「暑中コンクリート」に分類できます。

【寒中コンクリート】

寒中コンクリートは、日の平均気温が4度以下になる地域等で使用するコンクリートのこと。コンクリートはマイナス0.5〜マイナス2度で凍結するとされていますが、気温が低いとコンクリートが固まって強度が高まるまでに時間がかかり、場合によっては養生途中で凍結してしまうことも。それを防止するため、通常のコンクリートに使われる材料に特殊な混和材を加え、凝固までのスピードを速めます。これが寒中コンクリートです。また、寒い日のコンクリート打設では養生時の温度を5度以上に保つなど、凍害に対する細心の注意が必要です。

【暑中コンクリート】

暑中コンクリートは、日平均気温が25度以上になることが予想されるときに使用される特殊なコンクリート(通常のコンクリートの材料の配合を変えたもの)のこと。気温が高いと凝結時間が早くなるとともに水分の蒸発量も多くなり、コンクリートの品質低下に大きな影響を与え兼ねません。骨材や水なども、できるだけ低い温度の材料を使用するなど、高温化や感想などに対するさまざまな工夫が必要となってきます。

④用途や性質による分類

【マスコンクリート】

ダムや橋桁、トンネル、ダムに代表される大規模構造物の大きな壁に用いられる質量や体積の大きいコンクリートです。広がりのある床板(厚さ80~100cm以上)、下端が拘束された壁(厚さ50cm以上)などで打設されます。マスコンクリートは分厚いため、コンクリートの表面部と内部の温度差からひび割れ発生しやすく、温度を下げるなどの防止策が施工時に講じられます。

【高強度コンクリート】

高層建築や大スパン建築などのために開発されたコンクリートです。通常より強度が高く、ひび割れなどの劣化にも強いとされ、建造物の寿命を伸ばします。

【水中コンクリート】

水中に打設するコンクリートです。水の影響で材料の分離を起こさないよう、特殊な混和剤が用いられます。これによって造られたコンクリートを水中不分離性コンクリートといいます。

【海洋コンクリート】

飛沫塩分の影響を受けないような対策が講じられていることから、海水に直に接したり、波しぶきを受ける防波堤などに打設するコンクリートです。

コンクリートの施工は、どのように行われる?

ここでは、コンクリート構造物を建設するときの流れについて説明しましょう。コンクリートの施工には大きく分けて下記の6つの工程が必要です。順に説明していきましょう。

①施工計画

コンクリートの施工を行う場合、施工計画の立案が必須です。予算、工期、コンクリートの品質、施工の具体的方法、施工体制等について発注者の要望をもとに詰めていきます。目的とする構造物の建設場所や用途、形状などによって、コンクリートの種類や機能、性質をしっかり検討・立案することが肝要です。

②基礎工事

コンクリート構造物を建設する際には、建設地の地盤を整えたり、杭を打ち込むなど、その構造物を支える土台を築く基礎工事が必須です。

③鉄筋工事

基礎工事を終えたら鉄筋を組みます。鉄筋を配置するための工事は配筋といい、配筋で使われる鉄筋は、主筋と配力筋があります。「主筋 → 基礎となる重要な鉄筋」「配力筋 → 主筋と直交するように配置する鉄筋」のこと。鉄筋工事の基本的な流れは、まず主筋を配筋し、その次に配力筋を配筋していきます。通常、主筋は下側に、配力筋は下側に設置され、両者の交差部分は鉄線で結束します。

④型枠工事

鉄筋が組まれたら、次は「型枠工事」です。設置した型枠のコンクリートを流し込み、固まった後にその型枠を取り外せば構造物の形が出来上がりますが、型枠がきちんと設置されないと構造物が歪(いびつ)な形になることも。また、コンクリートが型枠内の隅々までしっかり流れ込むようにしなければなりません。

⑤打設

型枠が完成したら、いよいよコンクリートを流し込んで固める作業に移ります。これを「打設」といいます。一般的に、型枠にはレディミクストコンクリート(生コン工場で製造したコンクリート)を流し込みますが、レディミクストコンクリートは時間の経過によって品質が低下するため、いかに新鮮さを保って作業を行うかが重要なポイントとなります。

ミキサー車などで運搬されてきたレディミクストコンクリートを、流し込みを行う個所に運び、流し込むことを「打込み」といいます。この打込みでは、圧力をかけてコンクリートを送り出すコンクリートポンプが主に使われます。他にも、底部に開閉式の排出口がついた容器でコンクリートを運んで、目的の個所で流し込むバケット、高所から低所にコンクリートを流すシュート、作業者が人力で運ぶ一輪車などさまざまな方法が用いられています。

⑥養生

打設が完了したコンクリートは、水和反応による効果を高めるために1〜3カ月の時間が必要ですし、特に乾燥や凍結に注意しながら、適切な「養生」が不可欠です。また、初期段階では湿潤状態を維持しながら養生することが求められますが、これを湿潤養生といいます。

また、乾燥を防ぐ湿潤養生をするためには、コンクリートを水密シートで覆って養生する皮膜養生、コンクリート表面に水をかけて湿潤状態を保つ散水養生、コンクリート表面に養生剤を塗布して内部の水分流出を防ぐ膜養生などの方法があります。

進化するコンクリート技術とは?

私たちの暮らしと密接したコンクリートですが、その技術はいまも進化し続けています。これから大規模工事や、コンクリート技術の開発に携わろうという人であれば、コンクリートの最新技術や未来像について理解を深めておくことも大切でしょう。

●循環型社会への対応

これまで大量消費、大量廃棄といった社会システムの中で進化してきたコンクリート技術ですが、その社会システムはいま大きく転換。今後はゴミを減らす(Reduce)、廃棄物も資源として再利用する(Reuse)、適正に処分して再生利用する(Recycle)の、いわゆる3Rの実践が求められています。このような社会情勢下、コンクリートも循環型社会への貢献が期待されています。

たとえば、焼却灰などの廃棄物を主原料としたエコセメントの利用や、撤去したコンクリートを粉砕して作る再生骨材の利用などがもそのひとつです。

●高強度化

コンクリートの強度を高めることは部材を薄くすることにつながり、それは軽い構造物を造ることにもつながります。となれば基礎の規模を軽減することになり、ひいては全体のコスト減につながるメリットを創出します。そうした点からコンクリートの水分量を減らし、混和剤を加えるなどして強度を高めた高強度コンクリートも誕生。この高強度コンクリートは、コンクリートのデメリットであるひび割れ等の劣化を減少させる点から、建物や建造物の寿命を伸ばすことにも貢献。現在は高層ビルなどで普及が進んでいて、コンクリートを取り巻く技術は、日々進化しています。

●海水使用コンクリート

離島や沿岸部等で、材料調達の大幅なコストダウンが見込める技術として注目されているのが海水使用コンクリートです。これはコンクリートを練り上げる際に真水ではなく海水を使用します。さらに特殊な混和剤を加えることで、真水で作ったコンクリートよりも高い強度になる点に加えて、内部の腐食対策としては、鉄筋にはエポキシ樹脂塗装の鉄筋やステンレス鉄筋を使用します。

この技術は東日本大震災以降に注目されるようになったもので、東北地方の沿岸部の波消しブロックなどに多く活用されるように……。製作コスト低減、工期短縮等で大きなメリットが見込まれているため、今後も利用範囲が拡大していきそうです。

●自然との共生

これまで河川の護岸工事などでは、強度が求められる傾向にありました。しかし近年は、環境に配慮した護岸整備も注目されています。そんな中で開発されているのが環境配慮型ポーラスコンクリートです。これは、通常のコンクリート配合剤に植物繊維を加え、土のような給水・保水・蒸発散・毛細血管作用などの性質を持たせたコンクリートのこと。コンクリートとしての強度や耐久性を維持しつつ、より自然環境に近づけた新素材といえます。

加えて、この環境配慮型ポーラスコンクリートによって、昆虫や植物の生息場所が確保されたり、都市のヒートアイランド現象を防ぐ効果も期待されています。

●自己治癒コンクリート

ひび割れはコンクリートにとって大きな弱点のひとつと先にもご紹介しましたが、ひび割れを放置していると甚大な事故につながるため、トンネル、道路、ダム、橋梁等に代表される大型コンクリート建造物では、人による定期的な診断が欠かせませんでした。しかし、そのひび割れをコンクリート自らが感知し、内部に組み込まれた自己修復機能によって経年劣化で生じたひび割れ等を自ら修復する新たなコンクリートが、注目を集めていることをご存じでしょうか。

その名も「自己治癒(バイオ)コンクリート」。

このコンクリートはバイオ技術の融合研究・開発により、内部にバクテリアを練り混ぜて(バクテリアをカプセルに入れたものもあり)作られたもの。乾燥状態のときにはバクテリアは休眠(寿命200年とも!)していますが、ひび割れが生じてコンクリート内部に水や空気が侵入すると、その刺激によってバクテリアは目覚め、胞子の殻を破って活性化。バクテリアがひび割れ内部を乳酸カルシウムで埋めていくという驚くべき仕組みなのです。

つまり数ミリ程度のひび割れであれば、コンクリートは人の手を介することなく自動修復(治癒)を繰り返すことが可能になるメリットが! 構造物の寿命を大きく伸ばし、ランニングコスト低減から、業界から大いに期待が寄せられ、欧州では2014年に販売が開始。日本でも2018年頃から市場に登場しています。

ひび割れを放置していると構造が崩壊し、重大事故につながる危険性が

コンクリート業界の未来はどうなる?

コンクリートは私たちの社会インフラを支える重要な素材です。ときにコンクリートは大規模災害からの復興の象徴ともなりえますし、世界的イベントの会場の建設や、暮らしを便利にする道路や鉄道の建設など、あらゆるシーンで今後も必要とされていくはずです。そんなコンクリートにかかわる仕事は、今後も決してなくなることはないでしょう。

しかし、前項でも紹介したように、大量消費・大量廃棄の時代は終わっています。循環型社会に対応し、自然環境を守りつつ、いかに便利で、すべての生物にとってやさしい構造物を造っていけるかが問われていることになります。

何より、コンクリート業界がいま以上に社会に貢献をするためには、そこに携わる人々すべてがこれまでにない新たな考え方、新たな技術に敏感に対応していく姿勢が必要となってくるでしょう。

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