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防水工事とは?施工方法の種類から資格まで徹底解説!

建物を雨水などの侵入から守る防水工事。防水工事には様々な種類があり、施工箇所や目的に合った工事を行うことが必要です。防水工事とは何か、施工方法の種類や流れなどを解説したうえで、防水工事に関する資格などについても触れていきます。

防水工事とは

防水工事とは、建物の内部に雨水などの水が侵入しないようにするために行う工事をいいます。雨水が侵入すると、建物の耐久性に影響を及ぼします。そのため、屋根や屋上、バルコニー、ベランダといった場所には防水工事が行われています。また、防水工事は新築時に限らず、定期的なメンテナンスによる改修工事や雨漏りなどによる修繕工事としても実施されています。

防水工事の施工方法の種類

防水工事は施工場所や用途によって、様々な防水材を用いた施工方法があります。防水工事の主なものとして、ウレタン防水とFRP防水、塩ビシート防水、ゴムシート防水、アスファルト防水という種類が挙げられます。

ウレタン防水

ウレタン防水とは、ポリイソシアネートが主成分の主剤に、ポリオールなどの硬化剤を攪拌した液体状の防水材を塗布する工法です。ウレタン防水は、陸屋根や屋上、バルコニーといった場所で用いられています。

ウレタン防水は不定形な液体状の防水材のため、下地が複雑な形状であっても馴染みやすいことや、継ぎ目のない防水膜を形成できることがメリットです。別の素材による防水層があっても、上から施工することが可能です。改修工事の際には工期が短いうえに、廃材が出ないため、産廃処理費用の面や環境にやさしいといったメリットもあります。

ウレタン防水の耐用年数は、一般的にメーカー保証は工法によって5年あるいは10年です。しかし、実際のところでは12年程度の耐用年数があります。

FRP防水

FRPとは「Fiber Reinforced Plastics」の略で、繊維強化プラスチックともいいます。FRP防水とは、繊維のガラスマットを敷いて、液体状のポリエステル樹脂を塗布して硬化させる工法です。FRP防水は、熱や紫外線、薬品に強く、重歩行や車両歩行にも耐えられるほど、耐久性が高いことや、工事期間が1~2日と短いことがメリットです。FRP防水は、マンションやビルの陸屋根や屋上、バルコニーのほか、工場や木造一戸建ての屋上にも用いられています。ただし、材料費が高価なことから、使用されるケースは限られる面もあります。FRP防水の耐久年数は10年~12年程度です。

塩ビシート防水

塩ビシート防水は、塩化ビニル樹脂でできたシートを下地に貼る工法です。ジョイント部分は、シートを熱風で溶かすことで接合していきます。複雑な形状の場所でも施工することが可能です。塩ビシート防水は、主にマンションの共用廊下や障害物の少ない建物の屋上などで用いられています。既存の下地を撤去する必要がないことから、改修工事でも用いられている工法です。

塩ビシート防水は、シートを貼っていくというシンプルな工法であり、シートが柔らかくて曲げやすいことからも、施工性がよいことがメリットに挙げられます。また、色や柄のバリエーションが豊富な商品もあるなど、意匠性が高いことも特徴です。また、工期が短いことやコストが安いことも塩ビシート防水のメリットです。一方で、下地が平らでなければしっかりと接着できない、経年劣化によって接合部分が剥離してしまうことがあるといったデメリットがあります。塩ビシート防水の耐用年数は10~15年程度です。

ゴムシート防水

ゴムシート防水は、合成ゴムのシートを下地に貼る工法です。シートのジョイント部分は、接着剤や粘着テープで接合するため、溶融一体化はしません。ゴムシート防水は、昨今ではあまり使用されていない工法です。

ゴムシート防水は素材が合成ゴムのため、伸縮性に優れていることから、施工性が高く、下地の亀裂に追随しやすいことがメリットです。ただし、下地が平らでなければしっかりと接着することが難しく、複雑な形状の場所には向かないといったデメリットがあります。また、耐用年数は12~15年程度と長めですが、紫外線によって経年劣化が起きやすく、シートが薄いため衝撃に弱いというデメリットがあります。接合部分を貼り合わせる接着年数の耐用年数にも影響を受けます。

アスファルト防水

アスファルト防水は、アスファルトを含ませてコーティングした合成繊維不織布のルーフィングを重ねて貼っていく工法です。アスファルト防水は古くから用いられている工法で、主にビルの屋上などで使われています。

アスファルト防水には、熱工法とトーチ工法、常温工法という施工方法があります。熱工法は釜で溶かしたアスファルトによって、2~4枚重ねたルーフィングを溶着していく工法です。トーチ工法は、バーナーであぶってルーフィングを溶着していく工法です。熱工法は釜でアスファルトを高温で融解させる際に、危険性が高く、周囲への臭いの問題も起こっていました。トーチ工法は熱や煙が発生しないことから、安全性の面の問題が軽減され、臭いの問題も起こりにくいことから、積極的に採用されています。常温工法は自着工法とも呼ばれ、火を用いない工法で、ルーフィングの裏面のゴムアスファルトの粘着剤で貼っていきます。熱や煙が出ないため、環境にやさしく、作業性がよいのが特徴です。

アスファルト防水は防水層が厚く、防水性能を確保しやすいことがメリットです。耐用年数が20年程度と長いことも特徴です。ただし、歩行するためには保護モルタルを塗る必要があることや価格が高いことがデメリットとして挙げられます。また、アスファルト防水は重くなるため、木造建築物には向いていません。

防水工事の流れ

改修工事での防水工事の流れについて、ウレタン防水を例に挙げて紹介していきます。

洗浄

高圧洗浄機を用いて、下地についたコケやドロなどの汚れを落としていきます。汚れが付着したままでは、密着性が低下したり、膨れの原因になったりするため、耐久性が低下してしまいます。

下地補修

コンクリートなどの下地のひび割れや欠けをカチオン系モルタルなどで補修します。また、傷んだシーシーリングを打ち直します。

プライマー

密着性を高めるため、プライマーを下塗りします。

通気マット貼りと脱気筒の取り付け

通気マットをボンドで貼っていきます。また、脱気筒を取り付けて、下地からの湿気を逃がします。

ウレタン主剤の塗布

ウレタン主剤の塗布を2回行い、防水層を形成します。

トップコートの塗布

トップコートを塗布することでウレタン主剤を保護します。

防水工事に資格は必要?

防水工事に携わるためには、特別な学歴や資格は必要とされるのでしょうか。防水工事に関わる作業員になるための方法や資格についてみていきます。

防水工になるために特別な資格は不要

防水工事の作業員は防水工とも呼ばれています。防水工になるためには、特別な学歴や資格は必要とされません。防水工事会社に就職した後、工事現場で見習いとしてスタートして、防水工事に必要な専門知識や技術を身につけていき、一人前の防水工になるのが一般的です。防水工事を行う建築物は多岐にわたり、工事の目的によって合った防水工法は異なります。

また、工業系の専門学校や職業訓練校で専門的な知識やスキルを習得してから、防水工事会社に就職する人もいます。

スキルアップには「防水施工技能士」の取得がおすすめ

防水工に必須とされる資格はありませんが、防水施工技能士を取得することでスキルを証明することができます。防水施工技能士は技能検定制度による国家資格のひとつで、1級と2級が設けられています。

国家資格の「防水施工技能士」とは?

国家技能検定制度による「防水施工技能士」という資格について、概要や取得によるメリットなどをまとめました。

防水施工技能士の資格を取得するには?

技能検定は職種や作業ごとに試験が実施されています。防水施工技能士は都道府県職業能力開発協会が試験を実施する職種で、中央職業能力開発協会が行っています。技能検定は学科試験と実技試験があり、両方に合格することが必要です。試験には前期と後期の日程が設けられています。

防水施工技能士の作業の種類

防水施工技能士には1・2級ともに以下の作業があり、受検の際にはいずれかを選択します。

・アスファルト防水工事作業
・ウレタンゴム系塗膜防水工事作業
・アクリルゴム系塗膜防水工事作業
・合成ゴム系シート防水工事作業
・塩化ビニル系シート防水工事作業
・セメント系防水工事作業
・シーリング防水工事作業
・改質アスファルトシートトーチ工法防水工事作業
・改質アスファルトシート常温粘着工法防水工事作業
・FRP防水工事作業

ただし、試験ごとに実施される作業には違いがあります。令和2年度の場合、前期に実施されるのは、「ウレタンゴム系塗膜防水工事作業」「アクリルゴム系塗膜防水工事作業」「シーリング防水工事作業」「改質アスファルトシート常温粘着工法防水工事作業」「FRP防水工事作業」です。後期には、「アスファルト防水工事作業」「合成ゴム系シート防水工事作業
塩化ビニル系シート防水工事作業」「改質アスファルトシートトーチ工法防水工事作業」が実施されます。

防水施工技能士の試験の受検資格

技能検定を受検するには、2級防水施工技能士は2年以上、1級防水施工技能士は7年以上の実務経験が必要です。ただし、1級防水施工技能士は2級に合格後、2年以上の実務経験で受検することもできます。また、学歴による緩和要件も設けられています。

防水施工技能士を取得するメリット

防水工になるには特別な資格は必要とされません。しかし、国家資格である「防水施工技能士」の資格を取得することで、客観的にスキルを証明することが可能です。資格取得を通じて社内での評価が高まることや、転職の際によりよい条件の仕事に就くためのアピール材料にできることが期待できます。

また、1級防水施工技能士の資格を取得するか、2級防水施工技能士の取得後3年以上の実務経験を積むことで、一般建設業の許可における専任技術者や主任技術者になることが可能です。

一定規模以上の防水工事業を営むには「建設業の許可」が必要

一定規模以上の建設業を営むには建設業の許可が必要であり、防水工事業も例外ではありません。防水工事業における建設業の許可の要件などについてまとめました。

「防水工事業」で建設業の許可が必要な規模

軽微な工事を除いて、建設業を請け負うには建設業の許可が必要です。建築一式工事以外の建設工事では、軽微な工事に該当するのは請負代金500万円以上の工事になります。つまり、防水工事業で請負代金500万円の工事を請け負うには建設業の許可が必要です。

また、建設業の許可には一般建設業の許可と特定建設業の許可という種類があります。元請事業者として発注者から直接請け負った工事で、4000万円以上の下請契約を結ぶ場合には、特定建設業の許可が必要になります。それ以外のケースでは、一般建設業の許可の取得で問題ありません。

建設業の許可における「防水工事」とは

建設業の許可は業種別許可制となっているため、建設工事の種類ごとに取得する必要があります。建設業の業種には、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事と、27の専門工事があり、防水工事は27の専門工事のひとつです。

建設業の許可における防水工事とは、告示によって「アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事」とされています。具体的に例示されているのは建築系の防水工事であり、アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事です。トンネルの防水工事といった土木系の防水工事は、とび・土工・コンクリート工事に該当するため、含まれません。また、防水モルタルによる防水工事は防水工事業のほか、左官工事業の許可でも施工することが可能とされています。

防水工事業で建設業の許可を取得する要件

防水工事業の建設業の許可は、4つの許可要件を満たし、欠格要件に該当しない場合に取得できます。

許可要件の1つ目は、経営業務の管理責任者がいることです。防水工事業での経営経験が通算して5年以上ある人や、防水工事業以外の建設業での経営経験が6年以上ある人などが該当します。

許可要件の2つ目は、専任技術者が営業所にいることです。専任技術者の要件は一般建設業の許可と特定建設業の許可では異なります。どちらもいずれかの要件を満たした人のみが専任技術者になることが可能です。

<防水工事業の一般建設業の許可の専任技術者の要件>
・1級施工管理技士
・2級施工管理技士(仕上げ)
・1・2級防水施工技能士(2級は合格後3年以上の実務経験が必要)
・大学の土木工学または建築学に関する学科を卒業後、3年以上の防水工事業の実務経験
・高校の土木工学または建築学に関する学科を卒業後、5年以上の防水工事業の実務経験
・防水工事業の10年以上の実務経験
・建築工事業と防水工事業で12年以上の実務経験があり、そのうち8年以上の防水工事業の実務経験

<防水工事業の特定建設業の許可の専任技術者の要件>
・1級施工管理技士
・一般建設業の許可の専任技術者の要件を満たし、防水工事業で発注者から直接請け負った請負代金4500万円以上の工事で、工事現場主任や現場監督者として設計や施工の全般における、2年以上の指導監督的な実務経験

3つ目は誠実性です。請負契約の締結や履行において、不正や不誠実な行為をする恐れがある事業者は、建設業を営むことはできないとされています。

4つ目は財産的基礎を持っていることです。防水工事など建設工事を着手する際には、資材や機械・器具の購入、人材の確保などのための準備資金のほか、運転資金が必要となるためです。財産的基礎などに関する要件も、一般建設業の許可と特定建設業の許可では異なります。一般建設業の許可はいずれかの要件を満たす必要がありますが、特定建設業の許可はすべての要件を満たすことが必要です。

<一般建設業の許可の財産的基礎の要件>(いずれか)
・自己資本、すなわち直前の決算期の貸借対照表(決算を迎えていない新設会社は財務諸表)の「純資産の部」の「純資産」の額が500万円以上
・500万円以上の資金調達能力
・(更新や業種の追加の場合)過去5年間に許可を受けて継続して営業した実績

<特定建設業の許可の財産的基礎の要件>(すべて)
・欠損の額(マイナスの繰越利益剰余金の額が資本剰余金や利益準備金、任意積立金の合計額を超えてしまった場合の超過額)が資本金の20%を超えていない
・流動比率(流動資産÷流動負債×100)が75%以上
・資本金2000万円以上
・自己資本(貸借対照表の「純資産の部」の「純資産」の額)4000万円以上

まとめ

防水工事には特別な資格は必要とされませんが、施工場所にあった施工方法を判断するには専門的な知識や経験が必要とされます。防水施工技能士の資格を取得することで、培ってきたスキルを証明することができます。

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