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知っているようで意外に知らない?── 自動車のシートベルトにまつわる雑学

現在、世界中のほとんどの国で、自動車の乗車中に装着が義務づけられているシートベルト。ご承知の通り、日本でもシートベルトを着けていないと、道路交通法違反で警察に切符を切られますし、万一の事故の際にも負傷するリスクが非常に高くなります。思わぬ事故から身を守るためにも、クルマに乗ったらまずシートベルト── これは常識ですよね。

そこで今回は、自動車になくてはならない安全装置“シートベルト”にフォーカス。その歴史や種類、作動の仕組みをはじめ、日本国内における装着率や罰則の対象・内容など、意外に知らないシートベルトにまつわる話題をまとめてご紹介しましょう。

ドライバーや同乗者の身を守る“命綱”

自動車に設置されているシートベルトは、乗員の身体を座席に拘束することで、事故の際に座席外へ投げ出され、負傷することを防ぐための安全装置です。

自動車が衝突・追突した時や、とっさにハンドルを切ったり急ブレーキをかけたりすると、乗員の身体には減速・加速による大きな慣性力が加わります。その際、身体が座席に固定されていないと、頭部が車内のハンドルやフロントガラスに激突したり、車外へ放り出されたりする危険があります。そうしたリスクを回避・低減するシートベルトは、まさに乗員の身を守る“命綱”でもあるのです。

また、事故に遭わなくても、カーブを曲がった時、ブレーキをかけた時、加速した時など、走行中は乗員にさまざまな衝撃が加わります。そうした際にシートベルトを着けていないと、惰性で身体が前後左右に揺さぶられ、乗り物酔いを起こしやすくなってしまうのです。さらに、ドライバーにとってはなおのこと、身体があちこちに揺れてドライビングポジションが安定しないと、安全・確実な運転操作ができなくなってしまいます。このように、通常の乗車時・運転時の支障を防ぐうえでも、シートベルトは重要な役割を果たしているのです。

ちなみに、シートベルト以外の安全装置として普及している「SRSエアバッグ(Supplemental Restraint System/補助拘束装置)」ですが、その名称(SRS)が示す通り、あくまでも「シートベルトを補助する装置」と位置づけられています。エアバッグはシートベルトと併用することで、その効果を発揮する設計となっていますので、その点はしっかりと理解しておきましょう。

シートベルトの種類とそれぞれの特徴

シートベルトは身体を固定する支点の数によって、2点式・3点式・フルハーネス式の3種類があります(以下参照)。

【2点式シートベルト】

腰の両端から下腹部に装着する2点支持のシートベルト。上半身が支えられないため、衝突時の拘束性は3点式より劣ります。主に観光バスや飛行機の座席に設置されています。

【3点式シートベルト】

2点式に加え、肩も含めた3点で支持する形式のシートベルト。乗員保護性能に優れ、最も実用的とされることから、現在の自動車用シートベルトの主流となっています。

【フルハーネス式】

1本の腰部拘束用ベルトと、2本以上の胸部拘束用ベルトで支持する形式のシートベルト。4点式・5点式・6点式などがあり、衝突時の拘束性は最も優れています。主に自動車レースなどの競技用途で使われています。

3点式シートベルトの機構と作動の仕組み

では、現在の自動車の主流である3点式シートベルトの基本的な機構・作動する仕組みについて、詳しく見ていくことにしましょう。

みなさんご存じの通り、3点式シートベルトはゆっくりと引けばスムーズに引き出せますが、一定以上の勢いで引っ張るとロックして引き出せなくなります。この機構は「ELR(Emergency Locking Retractor/非常時固定及び巻き取り式)」と呼ばれ、事故を起こした時、大きな慣性力で進行方向へ引っ張られる乗員を、ロックした状態のベルトが支えてくれる仕組みになっています。

加えて、近年の多くの自動車には、車両が衝突などの衝撃を感知した際、シートベルトを自動的に巻き取る「プリテンショナー機能」も搭載されています。単にベルトをロックするだけでなく、火薬などでベルトを瞬時に巻き取ることで、事故直後の乗員の移動量を大きく軽減し、シートベルトの拘束効果をより高めることができるのです。ただし、プリテンショナーによる拘束は身体への負荷が大きいため、多くの場合、作動後にベルトの巻き取りを段階的にゆるめる「ロードリミッター機能」がセットになっています。

シートベルトの歴史に名を残すボルボ社の貢献

自動車用のシートベルトは、1903年、フランスの技術者であるギュスターヴ・ルボーが開発した、高い背もたれと交差式ベルトからなる「防御用ベルト」が原型といわれています。その後、1946年には、タッカー・トーピード社(米国の自動車メーカー)が、世界で初めてシートベルトを搭載した市販車を発表しました。

その当時、自動車用シートベルトの形態は、両腰部で支える2点式が主流でした。しかし、2点式は上半身が拘束されないため、衝突時に上体が大きく揺さぶられ、頭部を負傷するケースが多かったといいます。そうした問題を受け、1959年にはボルボ社(スウェーデン)の技術者ニルス・ボーリンが、肩部の支点を加えた3点式シートベルトを開発。特許を取得し、同社の市販車「PV544」に搭載されましたが、安全は独占されるべきものではないという考えから、ボルボ社はこの特許を無償で公開したのです。

これにより1960年代以降、3点式シートベルトは全世界の自動車に搭載される安全装置として広く普及し、交通事故から100万人以上の命を救ったといわれています。のちにプリテンショナー機能などの改良は加えられましたが、3点式シートベルトの基本的なレイアウトは、開発から半世紀以上を経た現在も踏襲され、クルマに乗る世界中の人々の命を支え続けています。

国内のシートベルト装着率と違反の罰則について

ちなみに、2019年秋に行われた警察庁とJAF(日本自動車連盟)の合同調査によると、日本国内におけるシートベルトの装着率は、前席は一般道・高速道路ともに90%以上。後部座席は高速道路で74%、一般道では40%以下となっています。

運転席と助手席の前席は、道路交通法でシートベルト装着が義務づけられており、違反すると罰則の対象となるため、比較的装着率が高くなっています。一方、後部座席も装着が義務づけられているものの、罰則の対象となるのが高速道路のみということもあり(図表参照)、一般道ではまだまだ装着が徹底していないのが現状のようです。

ただし、罰則がないからといって、一般道なら後部座席はシートベルトを着けなくてもいい、というわけではありません。一般道でも後部座席のシートベルト装着義務があり、未装着のまま走行すると違反になりますが、罰則は定められていない(警察官による注意のみ)という扱いです。

もちろん、走行する道路の種類や罰則の有無に関わらず、クルマに乗ったら全席でシートベルトを着ける── その重要性・必要性は言うまでもありません。運転するドライバーも、同乗者の命を預かっているという自覚をもち、発車前に全員がシートベルトを着けていることを必ず確認すべきでしょう。いつ・どこで起こるかわからない交通事故から、一人ひとりの大切な命を守るために、しっかりとシートベルトを着けて安全運転を心がけてくださいね!

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