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工作機械の代表選手「グラインダー」の種類と使い方

木工、金属加工を問わず、多くのものづくりの現場で必要とされている工作機械があります。そう、グラインダーです。日本語で言えば「研削盤」。研削用砥石を高速で回転させて、ものを削ったり、切断したり、表面を磨いて滑らかにしたりできる工作機械のこと。

このグラインダーは、巨大工場から小さな町工場、あるいはもっと小規模な職人の工房、DIYを趣味とするお父さんの工具箱にも入っているくらいポピュラーな機械です。つまり、プロからアマチュアまで、日本のものづくりシーンには必ず登場する工作機械の代表選手とも言えるわけです。

そんなグラインダーにはどんな種類があり、どのように扱えばよいでしょうか。今回は、ものづくりのマイスターを目指して職人の道を歩み始めたばかりの人に贈る、グラインダーの基礎知識です。

もっともポピュラーなグラインダーは自由研削盤

グラインダーは、素材を研削・切断・研磨する工作機械。旋盤、ドリル、カッターなどと並び、ものづくりの現場に欠かせないもののひとつです。

グラインダーは一度に素材を削る量が刃物よりも少ないため、素材を切断するには少し時間がかかります。しかし、砥石で表面を研削するため、微細な精度で加工面もきれいに仕上がることが特徴です。また、研削砥石を取り換えることで、荒削りから仕上げ加工まで、1台でこなせることも大きなメリットのひとつといえるでしょう。

グラインダーそのものの役割は単純ですが、素材や加工目的によってさまざまなタイプがあります。どのようなものがあるかを見てみましょう。

まず、グラインダーは大きく「自由研削盤」と「機械研削盤」に分類されます。「自由研削盤」は、比較的小型のグラインダーで、個人でも容易に扱うことができるポピュラーなタイプが多くあります。「卓上グラインダー」や「ディスクグラインダー」などが自由研削盤に分類されます。

一方の「機械研削盤」は、比較的大型の工作機械で、主に金属加工工場などに設置されています。機械研削盤には「平面研削盤」や「円筒研削盤」などがあります。

プロからアマチュアまでが使いこなせる自由研削盤

ここからは自由研削盤に分類されるグラインダーについて紹介します。

●ディスクグラインダー

自由研削盤の中でも最もポピュラーなタイプといえばディスクグラインダーです。主軸の先端にディスク状(円盤状)の砥石が付いたもので、それを高速回転させることで素材の加工をします。このディスク状の砥石をさまざまに換えることで、金属の切断、サビ取り、バリ取り、溶接箇所の平坦化などが行えます。あるいは、また別なディスクで木材の表面加工などを行うこともできます。

したがって、金属加工の作業者はもちろん、大工職人などもよく使う道具となっています。作業現場ではこのディスクグラインダーのことを「サンダー」と呼ぶことも多いようです。このように使い道が広いため、アマチュアのDIY作業でも人気の電動工具のひとつです。

●ストレートグラインダー

手に持てるハンディサイズのグラインダーで、ポータブルグラインダー、ハンドグラインダーなどとも呼ばれます。主軸の先に円筒形の砥石を付け、主軸を高速回転させることで素材を加工します。素材の研削、研磨、バリ取りなどに用いられることが多く、近年は使い勝手のよいコードレスタイプも販売されています。

素人でも比較的容易に使いこなすことができるので、プロのものづくりの現場はもちろんのこと、素人の趣味などにも幅広く活用されています。特に小型のものはアクセサリーの加工などにも使われます。

●アングルグラインダー

アングルとは“角度”という意味。ストレートグラインダーに角度をつけたものがアングルグラインダーです。壁面の作業や真っ直ぐにグラインダーを差し込めないような狭い個所であっても、作業を楽に行うことができます。

●卓上グラインダー

卓上に固定し、モーターでひとつ、もしくはふたつの砥石を高速回転させて素材を研削するグラインダーです。ディスクグラインダーやストレートグラインダーは、グラインダーを素材に当てて作業しますが、卓上グラインダーは逆に素材を回転する砥石に当てることによって研削します。卓上グラインダーには、用途によって下記のような種類があります。

    ⬇両頭グラインダー

モーターの左右に2個の砥石を取り付けたグラインダーです。荒さの違う砥石を同時に回転させることができるため、作業の効率化を図れます。金属のバリ取り、荒削りなどに用いられます。

    ⬇ベルトグラインダー

砥石の代わりに研磨ベルト(ベルト状の砥石)を回転させて、そこに素材を押し付けます。主に素材の研磨作業に使用します。ベルト状のために研削用と石よりも軟らかく、素材を押し付ける力加減によって微妙な研磨作業が可能です。

    ⬇バフグラインダー

他のグラインダーで研磨した素材の仕上げ段階に使用するグラインダーです。異なる粗さのフェルトや布製のバフを取り付け、素材表面をより美しく仕上げる鏡面加工などを行います。

●高速切断機

本体に取り付けられた砥石を高速回転させ、鉄パイプ、角材、アングル材などの鉄材を切断します。高速切断機は研削加工ではなく、素材の切断のみに用いられる特殊なグラインダーといえます。

ディスクグラインダーの安全な使い方

グラインダーは砥石が高速で回転する工作機械ですから、一歩間違えば大きなケガにつながります。また、さまざまなタイプがあるので、グラインダーごとに使い方は一様(同じ)ではありません。それぞれのグラインダーごとにしっかりと使用説明書を読み、とにかく安全に配慮して作業することが最も大切です。

ここでは最もポピュラーなディスクグラインダーを中心に、グラインダーの安全な使い方について記しておきましょう。

①安全な服装を心がけよう

グラインダーは研削用砥石が高速で回転します。その回転軸に自分の着ている服の袖口などが巻き込まれたり、誤って手指に砥石が当たってしまったりすることも十分に考えられます。また、素材を削り取るわけですから、その破片が周囲に飛び散ることも考慮しての作業が必要です。

安全に作業するためには、丈夫な長袖長ズボンの作業服を着用し、袖口のボタンなどはしっかりと止めてグラインダーに向かいます。また、作業手袋、作業用グラス、場合によってはホコリの吸い込み防止のための防塵マスクや騒音を和らげるイヤーマフなどをして、手指、目、喉や耳をしっかりと保護して作業にのぞむことが大切です。

②作業は慌てず、一定速度で

ディスクグラインダーに限らず、グラインダーに素材を当てるときは、一定速度で同じ力加減で当てることが上手に仕上げるポイントです。素材を早く動かしたり、途中で動かすスピードを変えたり、あるいは押し付ける力加減を変えたりするときれいに仕上がりません。

③火花を怖がらないこと

金属のバリ取りやサビ取りのためにディスクグラインダーを使うと、派手に火花が散ることがあります。でもこれは、きちんとバリやサビが取れている証拠。火花が飛び散ることを怖がって当て方が弱かったりすると、きれいに取り除くのに時間がかかってしまいます。手袋を着用し、作業用グラスをしっかりと装着して安全を保ちながら、火花が出るようグラインダーを使いましょう。

④業務の場合は講習受講を

業務でグラインダーを使う人は、「研削といしの取替えまたは取替え時の試運転の業務に係る特別教育」を受講し、修了する必要があります。これは労働安全衛生法(労働安全衛生規則)に定められているもので、資格を保持しない者が業務を行えば、会社・労働者ともに罰せられることもあります。講習は全国で行われているので必ず受講しましょう。

グラインダーがビールの味を美味しくすることも!

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洋食器の生産で有名な新潟県燕市には、「©磨き屋シンジケート」と呼ばれる素材表面の研磨作業に特化し、モバイル機器や半導体製造精密装置等の磨きも手がけるエキスパート集団がいます。なかでも彼らが磨き上げたステンレス製のゴブレットは、ビールを最高に美味しく飲める器として評判です。

そんな彼らが素材磨きに使っているものももちろんグラインダー。グラインダーが、ビールの味も変えることを彼らの技術が証明しているのです。グラインダーは、日本のものづくりの現場を支えているとともに、単なる素材を大きな価値あるものに変えることに役立っているわけです。ものづくりの匠を目指すなら、まずはグラインダーの技術をしっかりとマスターしたいものです。

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