金属をさまざまなカタチに加工する「鋳造技術」について徹底解説!
2020.04.06「鋳造(ちゅうぞう)」とは、高温の溶けた金属を型枠に流し込み、それを冷やして固める金属加工法のこと。自動車や家電、日用品や住宅建材など、身近にあるさまざまな製品には、鋳造で作られた鋳物(いもの)が多く使われています。
ただ、私たちが鋳造の作業現場を目にする機会はほとんどないため、実際にどのような方法で何を作っているのか、意外に知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、鋳造の基本的な知識として、さまざまな鋳造の技法・素材をはじめ、その特徴やメリット・デメリットについて解説します。
紀元前までさかのぼる鋳造の歴史
金属加工法のひとつとして誕生した「鋳造」の歴史は古く、紀元前4000年頃に中東のメソポタミア地方で始まったといわれています。
日本においては、紀元前300年頃に鋳造技術が朝鮮から伝来し、鉄器や青銅器に代表される弥生文化が開花。1世紀~奈良時代に入ると、鋳造技術を使った銅鐸や銅鏡、刀剣、仏像、鐘などが作られるようになり、平安時代の中期以降、農具や日用品などの鋳物づくりが日本各地に広まっていきました。
鋳造の基本的な技法は、融解金属(高温で熱した液体状の金属)を鋳型(いがた/内部が空洞の型枠)に流し込み、それを冷やして目的の形状に固めるというもの。型枠となる鋳型を一度作れば、同じサイズ・形状の製品を容易に量産できるため、古代~近代産業の発展において、その技術は大きな役割を担っていたといえるでしょう。
幅広い分野で利用されている鋳物
もちろん、モノづくり産業が高度に発展した現代においても、多種多様な鋳物製品・部品が幅広い分野で利用されています。
【鋳造で作られる鋳物製品・部品の一例】
◎産業用・工業用部品……自動車、電車、船舶、航空機、工作機械など
◎家電部品……炊飯器、洗濯機、デジタルカメラ、携帯電話、ストーブ、ガス器具など
◎キッチン用品……フライパン、鍋、カトラリーなど
◎レジャー用品……釣りのリール、スキーストック、ゴルフクラブのヘッドなど
◎エクステリア・建材用品……ドアレバー、サッシ、門扉、フェンスなど
◎その他……仏像、釣鐘、銅像、工芸品、水道・ガス管、街路灯、マンホールのフタ、ポストなど
このように、私たちの身のまわりには、鋳物の製品・部品が意外に多くあることがわかります。
では、鋳造に使われる素材や製法にはどのようなものがあるのか、その種類や特徴、メリット・デメリットなどを見ていきましょう。
鋳造に使われる金属素材・特性について
【鋳鉄(ちゅうてつ)】
鉄・炭素・ケイ素を主成分とした合金で、炭素の含有量が2.1%以上のもの。強度・防振性に優れています。
【鋳鋼(ちゅうこう)】
耐食性・耐熱性・耐摩耗性に優れた鋼(はがね・こう)の特殊合金。炭素鋼鋳鋼と合金鋼鋳鋼に大別され、合金鋼鋳鋼は添加元素の量により、低合金鋼と高合金鋼に分類されます。
【銅合金】
銅を使った有色の合金で、黄銅・高力黄銅・青銅などさまざまな種類があります。電気伝導・熱伝導性と耐食性に優れ、外観・質感も美麗です。
【チタン合金】
純チタンとチタン合金の2種類があり、軽量で高融点、強度・耐食性に優れています。
【アルミニウム合金】
Al-Cu(アルミニウム+銅)系、Al-Si(アルミニウム+ケイ素)系、Al-Mg(アルミニウム+マグネシウム)系の合金があり、電気・熱伝導性と耐食性に優れています。軽量でリサイクル性が高く、外観・質感も美麗です。
【マグネシウム合金】
実用金属の中で最も軽いマグネシウムを使った合金。Mg-Al(マグネシウム+アルミニウム)系、Mg-Zr(マグネシウム+ジルコニウム)系、Mg-希土類元素系の合金があり、比強度・振動吸収性・電磁シールド性に優れています。
【亜鉛合金】
主にZn-Al-Cu(亜鉛+アルミニウム+銅)系の合金があり、低融点で鋳造しやすく、切削性にも優れています。
多種多様な鋳造の製法・特徴について
【砂型鋳造法】
砂を材料とした鋳型(砂型)に、融解金属を流し込んで成形する鋳造法。砂型は成形の自由度が高いため、複雑な形状の鋳物製品に適しています。また、砂は手に入りやすい安価な素材なので、低コストで鋳型が作れる点もメリットです。
ただし、砂型を使用した鋳造法では、1回ごとに鋳型を壊して鋳物を取り出す必要があるため、ひとつの砂型から製造できる鋳物はひとつに限られます。よって、試作品や小ロットの鋳造には向いていますが、同じ形状の製品を大量生産する場合には適しません。
【ロストワックス精密鋳造法】
ロウ(ワックス)を利用した砂型鋳造法のひとつ。まず、ロウで鋳物の原型を作る ⇒ その周りを砂や石膏で覆い固めて加熱する ⇒ 中のロウをすべて溶かして除去する ⇒ 内部の空洞に融解金属を流し込んで成型する── という手順により、ロウの原型と同じ形状の鋳物を製造する仕組みです。
通常の砂型鋳造に比べて寸法精度が高く、鋳物の肌も滑らかに仕上がるというメリットがあります。
【金型鋳造法】
金属を材料とした鋳型(金型)に、融解金属を流し込んで成形する鋳造法。金型は何度も繰り返して使用でき、冷却速度も速いため、機械的性質に優れた鋳物を大量生産することができます。
一方、金型は切削・成形しにくく、複雑な形状の鋳物製品には適さないというデメリットも。また、砂型と比べると鋳型の制作コストは高めとなります。
【ダイカスト法】
融解金属を高速・高圧で鋳型の凹部に充填する、金型鋳造法のひとつ。寸法精度の高い薄肉鋳物がハイサイクルに生産でき、鋳物の肌も滑らかに仕上がるというメリットがあります。
【シェルモールド法】
砂型と金型の特性を組み合わせた精密鋳造法のひとつ。細かいケイ砂と熱可塑性の樹脂(モールド)を混ぜた粘着剤を、熱した金型の内側に吹き付けて硬化層(シェル)をつくり、そこに熔解金属を流し込んで成型します。
寸法精度が極めて高く、鋳物の肌も滑らかに仕上がるというメリットがあります。
【消失模型鋳造法】
製品と同じ形状の発泡スチロール模型と接着剤を乾燥砂の中に埋没させ、そこに融解金属を注ぎ込むことで、模型と同じ寸法・形状の鋳物を作る鋳造法。熱分解によって発泡模型が消失するため、この名で呼ばれています。
寸法精度が高く、複雑な形状の製品にも適しているため、自動車部品や工芸品などの分野で広く活用されています。
【遠心鋳造法】
高速度で回転する鋳型に、融解金属を注入する鋳造法。中子(内部に入れる型)を使わすに、パイプ状の鋳物が大量生産できるため、水道管やガス管など鋳鉄管の製造に多く利用されています。
鋳造によってモノを作るメリット
以上、鋳造に使われる主な素材や製法について見てきました。そのメリットをまとめると、以下のようになります。
【低コストで量産が可能】
同じ鋳型を何度も使用できる金型鋳造の場合、同じサイズ・形状の製品を短時間で大量生産でき、鋳造にかかるランニングコストも抑えられます。また、1回ごとに鋳型を壊す砂型鋳造の場合、鋳型自体の制作コストは低く、鋳型の基本モデルを作成すれば、中・小ロットの量産にも対応できます。
【製品の強度が高い】
鋳造では鋳型に流し込んだ金属が圧縮されることで、金属内部の結晶が整い、強度も非常に高くなります。そのため、とくに高い強度が必要となる自動車や航空機の部品などにも、鋳造技術を生かした鋳物が多く利用されています。
【金属の特性が生かせる】
鋳造の素材に使われるさまざまな金属には、耐食性・耐熱性や美麗・軽量といった独自の特性があり、目的・用途に合わせて、それらの金属特性を生かした多様な形状の製品が製造できます。
モノづくり産業とともに進化する鋳造技術
一方で、鋳型に金属を流して固めるだけだった従来の鋳造には、「製造工程で空洞や亀裂などが生じやすい」「肉薄・微細な形状の製品には向かない」という難点がありました。
しかし、現代ではこれらのデメリットを解消する高度な製造法が次々と開発され、先述した「消失模型鋳造法」「ロストワックス精密鋳造法」「シェルモールド法」などを用いることで、精度・品質ともに優れた肉薄製品や、デザイン性の高い工芸品の製造も可能になっています。
このように鋳造の技術は年々進化しており、今後もさまざまな新技術の開発が進んでいくことは間違いないでしょう。デジタルテクノロジー全盛の時代にあって、鋳造はひと昔前のアナログな技術に見えるかもしれません。しかし、現代のモノづくり産業と私たちの暮らしに欠かすことのできない、重要な先進技術のひとつでもあるのです。
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