工場の二交代制や三交代制は何が違う?勤務形態のメリットやデメリット
2020.07.20工場では設備を効率よく稼働させるため、製造ラインなどでは二交代制や三交代制よるシフト制の勤務体制がとられていることが多いです。二交代制や三交代制のなかでも、工場によって休日の取り方など働き方には違いがあります。勤務形態によって働きやすさには違いはあるのでしょうか。工場の勤務形態について主に二交代制や三交代制について解説したうえで、勤務形態によるメリットやデメリットにも触れていきます。
日勤と夜勤、交代制の違いとは?
工場の勤務では、主に「日勤」と「夜勤」、「交代制」という働き方があります。「日勤」は昼間が勤務時間で、たとえば休憩1時間を含めて8時から17時といった時間に働きます。「夜勤」は夜間が勤務時間帯で、たとえば休憩1時間を含めて20時から5時といった時間の勤務です。「交代制」は日勤と夜勤を一定の期間で交代して勤務する形になります。
工場の勤務形態は一般的に日勤のみ、夜勤のみ、交代制のいずれかとなります。また、交代制には二交代制と三交代制があります。三交代制の場合は日勤と準夜勤、夜勤を交代で務めます。
労働基準法によって、22時から5時までの勤務は通常の労働時間よりも25%割増した賃金を支払うことが義務付けられています。そのため、夜勤で働く人は日勤で働く人よりも通常の労働時間の賃金が同じであれば、多くの収入を得られるという点でメリットがあります。
工場の交代制の働き方の特徴は?
工場では機械設備を有効に使うため、日中だけではなく、深夜も稼働するなど交代制の勤務とされているところが少なくありません。中には24時間稼働している工場もあります。工場の交代制の働き方や休日について解説したうえで、メリットやデメリットから特徴をみていきます。
工場の交代制の働き方とは?
交代制はシフト勤務ともいい、工場の場合は2交代制や3交代制といった勤務形態があります。一定の期間で勤務時間帯をローテーションして働きます。一つの工場のなかでも配属先によって、二交代制と三交代制に分かれているケースもみられます。
交代制の工場の休日は?
交代制の工場の休日は土日休みのほか、2勤2休や3勤3休、4勤2休といった形態があります。土日休みの場合は1~2週で土日を挟んで勤務時間帯が変わるケースが一般的です。2勤2休は2日勤務して2日休む、3勤3休は3日勤務して3日休む、4勤2休は4日勤務して2日休む勤務形態です。たとえば、3勤3休で2交代制の場合、「日勤3日・休日3日・夜勤3日・休日3日」を繰り返します。
2勤2休は3勤3休は1日の勤務時間が長い工場に多く、休日が1年間の半分あります。4勤2休も1年間の3分の1は休みです。工場の勤務形態では、1日の労働時間が長い場合、休日は多い傾向があります。
交代制のメリット
交代制勤務は夜勤や準夜勤で働く日があり、日勤のみて働く人に比べて給料が高くなる傾向があることがメリットです。22時から翌5時までの勤務に該当する時間は、深夜割増賃金が支給され、さらに深夜や早朝の勤務に対して独自の手当を出している企業もあります。深夜に法定労働時間を超えて残業した場合には残業の割増賃金と深夜割増賃金で、それぞれ25%割増になるため、深夜の残業は時給の1.5倍になります。また、交代制の勤務は休日数が多い傾向にあることもメリットに挙げられます。
さらに生活の面では、夜勤の日の平日の日中を有効に使えるというメリットもあります。土日休み以外の休日も含め、平日の空いている時間にショッピングを楽しんだり、銀行や役所、病院に行くといった用事を済ませたりすることができます。また、子供がいる場合、タイミングが合えば、授業参観などの学校行事に参加できるというメリットもあります。
夜勤のみの場合との比較では、日勤で働く日があった方が体調を整えやすいといわれています。
交代制のデメリット
一方で交代制の勤務は、慣れるまでは生活リズムを整えるのが大変なことがデメリットです。日勤から夜勤に切り替わるときは勤務中に眠気を感じないように、しっかりと睡眠を確保しておくことが大切です。一方、夜勤から日勤に変わるときは、時差ぼけのような状態に陥りやすく、休日を使って体内時計を整えておく必要があります。また、勤務時間が変わることで生活リズムが乱れてしまうことにより、体調を崩すことも懸念されます。
また、土日休み以外の交代制では、家族や友人と休日が合わないといった点もデメリットに挙げられます。
工場の二交代制とは?
工場の二交代制は、2つの時間帯のシフトに分かれて働く勤務形態です。24時間稼働する場合と夜間に稼働を停止する場合では勤務形態が異なります。
24時間稼働する工場の場合
24時間を2つの時間帯に分けると12時間ずつになりますが、労働基準法では原則として1日の法定労働時間は8時間までと定めています。しかし、労働時間8時間が二交代制では空白の時間ができてしまいます。
そこで、労働基準法に即して、二交代制の勤務で24時間稼働とするためには、1ヵ月単位や1年単位の変形労働時間制とするか、労使で36協定を結んで残業を行う形となります。1ヵ月単位の変形労働時間制は就業規則あるいは労使協定で規定する必要はありますが、労働基準監督署への届出は必要ありません。1年単位の変形労働時間制は労使協定を結んだうえで、労働基準監督署への届出が必要です。36協定は法定労働時間を超えて、労働者に残業をさせるために必要なもので、労使協定の締結と労働基準監督署への届出が必要です。ただし、36協定を結んでも残業の限度時間は月45時間・年360時間とされ、臨時的な特別な事情がある場合は、一定の範囲内で労使が合意することで認められます。
24時間稼働の工場での二交代制での勤務は、たとえば、休憩時間を含めて日勤は7時~19時、夜勤は19時~7時という勤務時間になります。残業を前提とする場合の24時間稼働では、「所定労働時間8時間+残業2時間30分、休憩1時間+30分」といった形での12時間拘束になります。
夜間に稼働を停止する工場の場合
夜間に稼働を停止する工場の二交代制は、深夜から早朝の時間帯にかけての勤務がないのが一般的です。たとえば引き継ぎ時間をとる場合のシフト例を挙げると、日勤は8時~17時、夜勤は16時~1時の拘束で、所定労働時間8時間、休憩1時間となります。
工場の三交代制とは?
工場の三交代制は3つのシフトに分かれて働く勤務形態です。通常、24時間稼働の工場では8時間ずつ勤務します。たとえば、休憩1時間を含めて、日勤は8時30分~17時30分、準夜勤は17時~2時、夜勤は1時から9時といった勤務時間になります。
24時間稼働の工場では、引き継ぎの時間をとりやすく、シフトが組みやすいことから、三交代制がとられていることが多いです。なかでも製鉄工場など一度炉を止めると設備を立ち上げるに時間がかかる業種では、三交代制がとられていることが一般的です。
三交代制は一般的に残業が少ないですが、生産量が通常よりも多い繁忙期や生産が遅れている場合、次のシフトの人が休みの場合などに残業が発生することがあります。
二交代制と三交代制のメリット・デメリット
二交代制は日勤と夜勤のみの2つのシフトのため、生活リズムを整えやすいことがメリットです。24時間稼働の二交代制は勤務時間が長いため、2勤2休や3勤3休といった休日が多い勤務形態が目立ちます。また、残業が多いため、大きく稼げるというメリットもあります。一方で、2交代制で24時間稼働のケースは、1日の勤務時間が長く、体力的な負担が大きいことがデメリットです。
一方、三交代制は残業が発生することが少なく、勤務時間が長くなりにくいことがメリットです。ただし、3つの勤務時間帯のシフトをローテーションするため、二交代制よりも身体が慣れるまでの負担が大きいことがデメリットに挙げられます。
工場のシフトでよくある勤務パターンとは?
同じ二交代制や三交代制でも、全体のグループの分け方や勤務時間のローテーション、休日の取り方によって働き方は変わってきます。工場のシフトは「〇直〇交代制」という呼び方がされます。「直」とは全体を分ける班、あるいはグループの数です。基本的に班やグループごとに同じシフトでの勤務となります。工場のシフトでよくある勤務パターンを紹介していきます。
2直2交代制
<勤務時間例:1>
・日勤:8:00~17:00
・夜勤:17:00~2:00
<勤務時間例:2>
・日勤:8:00~20:00
・夜勤:20:00~8:00
2直2交代制は2班に分けて、一定の期間で日勤と夜勤の2交代制でローテーションします。基本的に土日休みで、休日を挟んで1~2週ごとに日勤と夜勤が入れ替わるのが一般的です。ただし、繁忙期には土曜日に出勤を求められるケースもみられます。<勤務時間例:1> は繁忙期のみ2交代制とする工場でも用いられています。
また、<勤務時間例:1>のように工場が停止している時間がある場合は、深夜の勤務がないため、無理なく働きやすいです。ただし、深夜割増賃金が発生する時間帯の勤務が少ないため、収入面では劣ります。また、繁忙期の夜勤で残業時間が多い場合は、体力的な負担があります。一方、製造ラインが24時間稼働の<勤務時間例:2>は残業が前提となるため、大きく稼ぎやすいですが、体力的にハードです。
3直3交代制
<勤務時間例>
・日勤:8:00~17:00
・準夜勤:16:00~1:00
・夜勤:0:00~9:00
3直3交代制は、3班に分かれて日勤と準夜勤、夜勤の3交代制の勤務で、製造ラインを24時間稼働して、基本的に土日休みとする勤務形態です。休日を挟んで、「日勤」、「夜勤」、「準夜勤」という順に勤務を繰り返していくのが一般的です。
3直3交代制は2直2交代制と比較して、深夜割増賃金が発生する時間帯の勤務が多いため、収入面でのメリットがあります。また、残業が発生しにくい勤務形態です。3つの勤務時間で働くため慣れるまでは大変ですが、1週間の中では連続して同じ時間帯での勤務となるため、3交代制のなかでは働きやすいとされています。
3直2交代制
3直2交代制は3班に分けて2交代で、製造ラインを土日も休まず24時間稼働させる勤務形態です。3直2交代制には「日勤4日→休日2日→夜勤4日→休日2日」や「日勤2日→夜勤2日→休日2日」の4勤2休、「日勤3日→夜勤3日→休日3日」の6勤3休といったパターンがあります。いずれのパターンも1グループが休みになります。
3直2交代制は2直2交代制と比較して、4勤2休のパターンも6勤3休のパターンもいずれも休日が多いのがメリットです。平日の空いているときにレジャーなどに出かけたりすることができます。ただし、土日休みの友人と休日を合わせにくい、家族とコミュニケーションを取りにくいという面ではデメリットといえます。
また、少ない人員で土日を含めた24時間稼働ができる勤務形態ですが、12時間拘束となるため、作業者の負担は大きいです。特に「日勤2日→夜勤2日→休日2日」や「日勤3日→夜勤3日→休日3日」は、休日を挟まずに1週間のなかで日勤と夜勤が発生するため、より身体への負担が大きいと感じやすい傾向があります。
4直3交代制
<勤務時間例>
・日勤:8:00~17:00
・準夜勤:16:00~1:00
・夜勤:0:00~9:00
4直3交代制は4班に分けて3交代で、製造ラインを土日も休まず24時間稼働させる勤務形態です。4直3交代制もいずれかのグループが休みになります。
4直3交代制はさまざまな勤務形態のパターンがあります。例を挙げていくと、「日勤4日→休日1日→準夜勤4日→休日1日→夜勤4日→休日2日」の4勤1休・4勤1休・4勤2休を繰り返すパターンが、比較的オーソドックスとされています。「日勤5日→休日1日→準夜勤5日→休日2日→夜勤5日→休日2日」は5勤1休・5勤2休・5勤2休を繰り返すパターンです。「日勤3日→休日1日→夜勤3日→休日1日→準夜勤3日→休日1日」の3勤1休は、3日ごとに休日があるという面では身体が楽ですが、連休がないため、休日が身体を調整する日になってしまいやすく、レジャーに出かけにくいという面があります。
また、残業が発生しにくいことや平日を有効に使えるという点ではメリットですが、友人や家族と予定を合わせにくいという面ではデメリットです。また、GWやお盆、年末年始などの休暇の有無でも働きやすさには違いがあります。
4直2交代制
<勤務時間例>
・日勤:8:00~20:00
・夜勤:20:00~8:00
4直2交代制は4班に分けて、土日を含めて24時間稼働で2交代制で勤務する形態です。たとえば、<日勤3日→休日3日→夜勤3日→休日3日>の3勤3休の働き方になります。勤務時間が12時間と長く、土日に休めるとは限らない点がデメリットはあるものの、2直2交代制よりも休日が多く身体の負担が軽いというメリットがあります。
日勤と交代制の収入の違いは?
交代制の勤務は日勤のみで働く場合と比較して、22時から翌5時までの勤務は深夜割増賃金が時給の25%分つくため、収入が多くなります。企業独自の深夜手当がつく場合もあります。実際にどの程度交代制の勤務では、日勤のみの場合と比較して収入が多くなるのか、例を挙げて比較していきます。
「日勤:8時~17時」、「準夜勤:16時~1時」「夜勤:0時~9時」でそれぞれ労働時間8時間、休憩1時間、時給1000円とします。実際には休憩をとる時間帯によっても変わりますが、ここでは考慮しません。
<日勤の日給>
1000円×8時間=8000円
<準夜勤の日給>
1000円×5時間+1000円×1.25×3時間=8750円
<夜勤の日給>
1000円×3時間+1000円×1.25×5時間=9250円
◎日勤のみ月21日働いた場合
8000円×21日=16万8000円
◎日勤と準夜勤、夜勤を7日ずつ、月21日働いた場合
8000円×7日+8750円×7日+9250円×7日=18万2000円
時給1000円で計算しても、同じ労働時間で月1万4000円の差が出ます。基本給が高いほど差が大きくなります。
まとめ
二交代制と三交代制というだけではなく、それぞれ勤務時間のローテーションや休日によって様々勤務形態があります。ライフスタイルや家族構成によって向いている勤務形態は異なるため、長く働き続けるには自分に合った働き方の工場を選ぶことが大切です。交代制の勤務の工場の求人に応募する際には、残業の有無を含めて、働き方の詳細を確認するようにしましょう。
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