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ワーカーズの間で話題沸騰!ストレッチ素材のスーツのような作業服とは?

ストレッチ素材の多様化が進んだことにより、近年では普段着や下着に限らず、作業服(作業着)やスーツなどあらゆるシーンの衣服でストレッチ素材を見かけるようになりました。

経済産業省の調べによれば、2016年の世界の繊維最終需要量は8800万t(トン)となり、1990年から約2.3倍に増加。1人あたりの需要量も約1.6倍に増えています。また、原料種類別に見ると、天然繊維はほぼ横ばいで推移しているものの、自動車・航空機などに用いられる「無機繊維(ガラス繊維・炭素繊維など)」、ストレッチ素材に用いられる「合成繊維(ナイロン・ポリエステルなど)」などの化学繊維は、過去20年間で年平均5.8%の伸び率で拡大しているのです。

さらに世界のアパレル市場では、2025年までに年平均3.6%での成長が予測され、繊維産業は引き続き成長が期待される産業に位置づけられています。

そうした中、世界的に注目を浴びている化学繊維のひとつが「ストレッチ素材」です。このストレッチ生地にはほとんどといっていいほど「ポリウレタン」といわれる化学繊維が用いられていることをご存じでしょうか。

今回は、「ポリウレタン」が含まれる「ストレッチ素材」と、最近とくに注目を浴びているストレッチ素材の作業服にスポットをあててご紹介していきましょう。

画像はイメージです

そもそもストレッチ生地とは?

ポリウレタンの歴史は意外と古く、1930年代にドイツで開発されました。このときに開発されたのが、ゴムのように優れた伸縮性をもつポリウレタンで、工業製品としての本格使用は、ドイツ軍の軍靴の靴底だと言われています。でも、なぜ靴底か ……といえば、ポリウレタンは天然ゴムの代替品として開発された素材なのです。

このように、当初はタイヤや靴底など軍需工業に必要不可欠とされた「ゴム」でしたが、天然ゴムはもともとブラジルのアマゾン川流域のみに自生。英国はブラジルから密かにその種を持ち出し、当時、植民地であったマレー半島で天然ゴムの栽培を始めることに成功します。しかし、英国と同じような環境になかったドイツや米国は、独自に合成ゴムの開発に力を注がざるをえなかったのです。

その後、第二次世界大戦においてドイツが敗戦したことにより、ポリウレタンの工業製品を生産していたバイエル社と同社を含む化学産業の巨大トラストIG・ファルベンインドゥストリーが解体されます。そしてこれに目をつけた米国のデュポン社がポリウレタンの実用化を引き継ぎ、1959年にポリエステル弾性繊維の製品化がなされたのです。

ところで、この弾性繊維は「スパンデックス(Spandex)」「ライクラ(LYCRA)」「ポリウレタン(Polyurethane)」「エラスタン(Elastin)」とさまざまな名称がついていますが、実はこれらはすべて同じものを指しています。

●スパンデックス/ポリウレタン弾性繊維の一般名称。

●ライクラ/デュポン社の登録商標であり素材表記は「LY」。優れた伸縮性を有する素材であることから「Like Rubber(ゴムのような)」がネーミングの由来。日本では1964年に「東レ・デュポン」が「ライクラ®」として生産販売を開始。

●ポリウレタン/日本で一般的に用いられる名称であり素材表記は「PU」。

●エラスタン/主にヨーロッパで用いられる名称であり素材表記は「EA」。

ポリウレタンのメリット・デメリット

「ポリウレタン」は通常、たとえば綿100%やシルク100%のように単独の素材で使われることはなく、他の素材と混紡した複合素材として用いられます。

また、ポリウレタンを混ぜる割合は用途やデザインなどによって変わりますが、おおむね1%~30%割合が多いようで、これによって綿やポリエステルなど単独では伸縮性を持たない繊維であっても、伸縮性を持たせることができます。

さて、体の動きや体形に合わせて伸縮してくれる非常に快適なストレッチ生地ですが、メリットはもちろん、デメリットといえる特性もありますので、ここでその両方を見比べてみることにしましょう。

【ポリウレタンのメリット】

①もとのサイズの5~7倍におよぶ伸縮性がある。

②しわになりにくい。

③軽い。

④乾きやすい。

【ポリウレタンのデメリット】

●体脂や水分(湿度含む)、塩素、微生物、大気ガス、熱、紫外線などの影響を受けやすい。

●上記特性によって、2年程度で経時劣化(寿命)が起きるとされている。

●取り扱いによってその時期が短くも長くもなる。

では、実際に取り扱う際に注意すべきポイントを確認していきましょう。

●ポリウレタンを長持ちさせるポイント

●濡れたときはそのままにせず、できるだけ水分を拭き取る。

●使用可能な生地の場合、防水スプレーを使用する。

●クローゼットやタンスには、必要に応じて湿気取りなどを入れて湿気がこもらないようにする。

●つけ置き洗いはせず、洗濯した後はすぐに干す。

●摩擦を防ぐため、洗濯機で洗えるものの場合でもドライコースを選択したり、洗濯ネットに入れて洗うようにする。

●紫外線を避けるため、天日干しは避けて陰干しをする。

●微生物の繁殖を防ぐため、清潔を保てる頻度で洗濯をする。

●乾燥機の熱による縮み、アイロンの熱によるテカリや溶けを防ぐため、極力熱にさらさないことが望ましいが、使用する場合は低温で行う。

ポリウレタンがたった1%でも、ストレッチ素材ができる!

そのデリケートさがデメリットともいえるストレッチ素材ですが、この観点から作業着にストレッチ素材をもたせるのはどうなのか……と考えがちですね。

ところが、作業服に使用されるポリウレタンは1~3%程度なので、先にご紹介した長持ちさせるためのポイントや使用法を守ってさえいれば、さほど気にすることはありません。

また、1~3%程度と少ないポリウレタンでも、強いストレッチ性を持たせることが可能なのですが、そのかげには生地の織り方や編み方も大きく関係しています。たとえば、私たちにとってなじみのある綿100%のTシャツでも、多少のストレッチ性を感じるのはこのためです。

何より、綿とポリウレタンの混紡素材が多く使用されている作業服においては、綿ならではの肌触りのよさや丈夫さなどのメリットに、ポリウレタンのメリットをかけ合わせることで、より丈夫かつ快適に着こなせる作業着を生みだしているのです。

日本が誇る高品質のストレッチ素材

近年、日本を代表するメーカー各社がポリウレタンのデメリットを打破する新たな開発に取り組んでいます。さらに、世界のストレッチ生地市場のおよそ50%のシェアを誇る中国に対抗できるような「ストレッチ機能+独自の機能性」を持つストレッチ生地の開発を進めています。

ここではその中から、東レが開発した「プライムフレックス」、帝人が開発した「ソロテックスサーモ」、東洋紡が開発した「テクニスタ48」をご紹介しましょう。

【東レ/プライムフレックス】

性質の異なる2種類のポリマーを貼り合わせた3次元的なスパイラル構造を持つ繊維により、体の動きに追従する高いストレッチ性と、軽量感を実現。スポーツウエアやスーツ、作業着など幅広い用途に使用されています。

2018年には新しく開発されたプライムフレックスが発表され、2019~2020年秋冬から販売が開始されています。新開発されたプライムフレックスは、世界最細繊度の0.8dtex(デシテックス)でありながら、従来と同等のストレッチ性、細やかな表面感、スムーズな肌触りを実現しています。

また、従来の紡糸技術では、単糸繊度1dtex以上のものしか生産できなかったため、スポーツやカジュアルなどを中心に使用されていましたが、新素材の開発により、しなやかなドレープやしなやかさも表現できるように。いまではレディースファッションやスーツなどへ展開の幅が広がっています。

【帝人/ソロテックスサーモ】

ストレッチ機能と蓄熱・保温機能を持ち合わせた素材のソロテックスサーモは、炭素系無機微粒子を繊維に練り込み、太陽エネルギーを効率的に熱に変換することで蓄熱・保温機能を発揮します。2017年には従来に比べて、機能性が向上した素材が発表されました。

帝人によれば、新開発されたソロテックスと従来のポリエステル繊維を比較すると、体感温度に約「5度」の差が発生することが光吸収保温試験※で実証されたそうです。※光吸収保温試験:一般財団法人ボーケン品質評価機構による太陽光蓄熱保温素材の蓄熱保温性を評価するために行う試験。

【東洋紡/テクニスタ48】

ポリエステル繊維の表層にポリウレタンを構成する粗原料を結合させ、ストレッチ機能を持たせた素材であるテクニスタ48。

名称の由来は、縦と横の平均伸長率が48%以上であることから、「48」の数字が用いられたそうです。最も特徴的であるのは、本来伸縮性を持たない素材であるポリエステル100%の素材のストレッチ生地であるということ。ポリウレタンが含まれていないため、塩素や洗濯に強く半永久的にストレッチ性が劣化しないとされています。また、染色においても従来のストレッチ生地の約50~70%のコストに抑えることが可能とされ、大きなメリットとなっています。

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スタイリッシュで機能的なストレッチ素材の作業服

ここまでは、主にストレッチ素材についてご紹介してきましたが、具体的にどのような作業服があるのか、数あるおすすめのストレッチ素材の作業服のなかから、今回は3つを厳選してご紹介しましょう。

【バートル/592】

機能性はもちろんのこと、リーズナブルかつスタイッリュなデザインで定評のある作業着メーカーの「バートル(BURTLE)」。

2020年春夏新作「バートル592 」シリーズは、ジャケット、カーゴパンツ、ショートカーゴパンツのラインナップとなっています。ユニセックス使用の同製品は細身でスタイリッシュでありながら、快適なストレッチ(伸縮率22%)と接触冷感機能を持ち合わせており、これからの汗ばむ季節の仕事着に最適といえます。

また、カラーはネイビー、シルバー、ミルスグリーンの3色となっており、仕事着だけではなく普段着としてもまったく違和感なく着用できること間違いなしです。ユニセックスということもあり、サイズが豊富で「SS~7L」の10サイズで展開されています。

【アイズフロンティア/7890】

最近では、迷彩やデニム素材の作業着が人気ですが、そうした流行を取り入れた先鋭的デザインをラインアップするアイズフロンティア(I’Z FRONTIER)ですが、通年作業着の「アイズフロンティア7890」シリーズは、「製品染めコットンストレッチワークジャケット」と「製品染めコットンストレッチカーゴパンツ」のラインナップとなっています。

この製品は、製品染め加工によって独特なヴィンテージ感を表現しており、カラーはカーキ、デザートキャメル、アーミーグレーの3色で展開。適度なストレッチ性と3Dカッティング(部分的な立体成形)により、絶妙な動きやすさを実現する緻密なデザインをはじめ、すべての金属製資材に国内YKK製を使用。また、カーゴパンツのコインポケットにはさりげなくレザー風素材を使用し、高級感ある仕上がりになっています。

【ディッキーズ/D-1250・D-1255】

米国を代表するワークカジュアルブランド「Dickies (ディッキーズ)」は、1922年創業の老舗作業服ブランドです。世界のワーカーやアーティストに多くの愛好家がいて、1950年代に米国で大ヒットした「874ワークパンツ」は現在でも高い人気を誇っています。

シンプル、ベーシックでありながら全方向に伸縮率75%を誇るやわらかな着心地の「ストレッチジャケットD-1250」「ストレッチカーゴパンツ D-1255」は、カーキ、ネイビーの2色展開。色、着心地、デザインすべてにおいて幅広い年代から支持を集めています。

話題沸騰? スーツのような作業服って?

さらに、ストレッチ素材の作業服として、いま爆発的に大ヒットしているのが株式会社オアシススタイルウェア(東京都港区)の「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」です。

2018年3月発売の同商品は、スーツの形態をしながら作業服の機能を兼ね備えており、発売後またたく間に300社以上の企業が導入したとされている話題沸騰の商品です。男女ともにラインナップされているこの商品の主な特徴は以下のとおり。

●高いストレッチ性

●一般的なレインウエアの約1.5倍の撥水性

●マウンテンパーカーの約3倍の透湿性

●室温20度、湿度65%の室内なら3~4時間で乾く速乾性

●自宅での洗濯が可能

●アイロンを不要にするシワになりにくさと高い形態安定性

2019年2月に売上高3億円を突破したワークウェアスーツ

これらの特徴を実現しているのが、独自に開発した高機能生地「アルティメックス」。この生地は、生地のなめらかさなど改良を重ねたうえ、2年の月日を費やし、2019年に完成。

フォーマル性の高いスーツ形態でありながら、ストレスのない着心地で作業のしやすいワークウェアスーツは、文化的建造物や高級建築物の管理業務に携わる人や、冠婚葬祭等のサービス業、建設業などをはじめ、出張や移動の多いビジネスマンにまで広く普及しました。

同製品がワークウエア業界で話題になっていますが、発売当初はオンラインでの販売を主体でした。しかし、幅広い需要を受けて実店舗での販売がなされるようになり、多方面の業界で大きな注目を集めるようになっていきます ──。それはたとえば、2019年9月からは三越伊勢丹グループ9店舗において、期間限定販売を展開したこともそのひとつでしょう。この期間限定販売は予想以上の好評を博し、同年2月から伊勢丹浦和店5階紳士服フロアで常設販売が開始されています。

仕事終わりに着たままデートに行ける、スーツスタイルの作業着

口コミなどで人気に拍車がかかり、ワークウェアスーツ(WWS)の売上高は2019年2月に3億円を突破! 2019年時点での購入者年齢層は20~50代がその大半をしめ、男女比は4対1とのこと。幅広い職種、年齢層に受け入れられていることからも、今後より一層の普及が見込まれています。

ちなみに、WWSが生まれた背景には、オアシススタイルウェアの母体であるオアシスソリューションが水道工事業であることに関係しているといわれています。つまりWWSとは、自社の従業員のために考案したワークウェアスーツということになります。そのコンセプトは「仕事終わりに着たままデートに行けるスーツスタイルの作業着」。これが評判を呼び販売に至ったそうで、まさに現場の意見が生み出した大ヒット商品といえますね。

── ストレッチ素材の作業服にまつわるエトセトラを今回はご紹介してきました。どの商品もオシャレと機能を兼ね備えており、さまざまなシーンに対応が可能な「多様性」がキーワードとなっているようです。働き方の多様性が大きな話題になる中、何気なく身につけてきたワークウエアにも、昨今さまざまな多様性が取り入れられていることがお分りいただけたでしょうか。

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