製薬会社の職種や仕事内容とは?工場勤務は身だしなみに注意が必要?
2021.03.18製薬会社は人の命に関わる医薬品を世に送り出していることから、働く人には強い倫理観が求めれます。医薬品の製造の現場では高い衛生基準が求められるため、クリーンルーム内での作業となり、服装などの身だしなみに関する規定が設けられているのが一般的です。
製薬会社で特徴的な職種を紹介したうえで、工場の製造ラインの工程や作業環境、服装などの規定などについても触れていきます。
製薬会社の特徴的な職種や仕事内容
製薬会社の中で特徴的な職種である研究職と開発職、薬事職、学術職、MRの仕事内容をまとめました。
研究職
製薬会社の研究職は、新薬の開発のための基礎研究から、臨床試験を行う前の前臨床研究までを受け持ちます。研究職は様々な部門に分かれています。たとえば、合成研究は医薬品の候補となる化合物の合成に関する研究を行う部門です。製剤研究は服用しやすい錠剤などに製剤化するための研究や、製品の設計や工業化の検討を行います。
製薬会社の研究職への就職は、薬学部や理学部、農学部など理系の修士以上の学歴が必要とされることが多いです。大学や大学院で専攻していた分野や適性をもとに配属され、学生時代の基礎知識を活かして研究にあたります。海外の論文なども参考にするため、英語などの語学力も必要とされ、倫理観が求められる仕事でもあります。
開発職
開発職は研究職の研究によって医薬品となる可能性のある候補化合物の治験を実施し、データをとりまとめて、厚生労働省へ新薬の承認申請を行う段階までの一連の業務を担います。治験の実施にあたっては、治験の計画の立案やモニタリングを行うため、医療機関を訪問して、医師や治験コーディネーターとの打ち合わせや治験の進捗の確認、カルテや検査データの確認などを行います。また、説明資料や報告資料の作成といった業務も伴います。
開発職はスピーディーな対応やコミュニケーション能力を求められる仕事です。開発職も、理系の修士以上の学歴が必要とされることが多いです。
薬事職
薬事職は、開発職による臨床試験を経て、医薬品や医療機器の厚生労働省への承認申請業務を行う役割を担う職種です。医薬品の申請に関連して、申請書の作成や新薬の添付文書作成のほか、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構と折衝を行うこともあります。また、
昨今ではジェネリック医薬品のシェアが高まり、バイオ医薬品の増加が見込まれるなど、医薬品業界を取り巻く環境は変化しています。薬事職は世の中の情勢を把握しながら、自社の医薬品の承認を得るため、スピーディーで精度の高い業務が求められる仕事です。
薬事職に就くには医薬品に関する知識が必要なため、薬学部の出身者が有利です。薬事職への転職は経験者採用が中心ですが、薬剤師の有資格者は未経験からスタートできるケースもあるようです。また、輸入した医薬品の承認申請を携わることもあるため、英語力も必要とされます。
学術職
学術職とは、医薬品の情報管理を行い、自社のMRや医師、薬剤師に対して情報提供を行う職種です。治験のデータや関連文献などから情報を収集して管理し、資料を作成します。また、MRに同行して医師と面談をしたり、医師や薬剤師などの医療関係者に向けた勉強会を実施したりするほか、自社のMRに対しては研修などの教育を行います。また、医師や薬剤師などの医療関係者、一般の方からの医薬品に関する問い合わせに対応するのも学術職の仕事です。
学術職の求人では、理系学部の修士以上、あるいは6年制の薬学部で薬剤師資格を取得していることを求められるのが一般的です。MRとチームで動くことが多いため、コミュニケーション能力や協調性を求められる仕事です。
MR
MRとは「Medical Representatives」の略で、日本語では「医薬情報担当者」と呼ばれる職種です。MRは医療機関に医薬品の効能や副作用などの情報を提供することで、自社製品の普及につなげるセールス活動を行う営業職です。また、医薬品を患者に投与した際の状況や副作用などの情報を収集して自社に届ける役割も担っています。
MRへの就職や転職は理系に限らず、文系出身者でも可能ですが、医薬品に関する知識を身につけることが必要です。MRとして働くには、多くの製薬会社で導入教育の受講とMR認定試験への合格が必須とされています。また、MRはコミュニケーション能力が必要な仕事でもあります。
製薬会社で求められる学歴とは?
製薬会社の研究職や開発職、学術職は、薬学部や理学部などの理系で修士以上(6年制薬学部を含む)を求められるのが一般的です。生産技術職は理系で学士以上、MRは学部を問わず学士以上という傾向があります。製造スタッフは高卒以上とされることが多いです。
また、製薬会社では研究職や開発職、薬事職などを中心に英語力を求められることが多く、TOEIC700点以上が目安になります。
新薬の開発の流れ
製薬会社が新薬を開発するには、一般的に10年以上もの年月がかかるとされています。新薬の開発にあたっては、基礎研究、非臨床試験、臨床試験、承認申請と審査というプロセスを踏みます。
・基礎研究(2~3年)…基礎研究は、天然素材からの抽出や化合物の合成などにより、新薬の候補物質を発見し、創製するための研究を行う段階です。
・非臨床試験(3~5年)…新薬の候補物質の有効性や安全性を確認するため、動物や人工的に育てた細胞を用いた実験を行います。
・臨床試験(3~7年)…臨床試験は治験とも呼ばれ、非臨床試験をパスした新薬の候補物質の人に対する有効性や安全性を確認するための試験が行われます。臨床試験にはフェーズ1~フェーズ3までの3段階があり、医療機関で健康な人や患者を対象に候補物質を投与する試験が繰り返し実施されます。
・承認申請と審査(1~2年)…臨床試験で有効性や安全性が確認されると、厚生労働省に対して、医薬品の承認申請を行います。医薬品医療機器総合機構による審査と、薬事・食品衛生審議会の審議を経て、厚生労働大臣が許可すると、製造や販売が可能となります。
製薬会社の工場の製造ラインの流れ
製薬会社の工場の製造ラインの一般的な流れについて、錠剤を例に挙げてみていきます。工場の製造ラインで働く場合には、いずれかの工程を担当します。また、工場による違いもありますが、製薬工場では一部の工程の自動化や無人化が進んでいます。
入荷・受入試験
有効性分である主原料や添加物などの原材料、PTPシートや箱といった梱包資材などが入荷します。原材料や梱包資材に誤りや品質上の問題はないか、試験を行って確認します。
秤量
秤量は受入検査を終えた原材料をふるいにかける、あるいは粉砕するといった処理を行った後、規定の量を測って分ける工程です。オペレーターが機械を使って計量するほか、工場によっては自動計量システムが導入されています。また、原材料の取り違いを防ぐために、バーコード管理を行うといった対策がとられています。
造粒
造粒は粉末の状態の原材料に、精製水などの結合液を加えて、高速で攪拌した後に乾燥させることで、粒が揃った顆粒の状態にする工程です。粉末のままでは空気中に舞ってしまいやすいため、扱いやすくすることで、作業性を向上させるのが目的です。
混合
混合は顆粒の状態になった原材料に添加剤を均一に混ぜる工程です。1錠分をとったときに、どれも同じ成分になるようにするためです。
打錠
打錠は薬の形に成型する工程です。錠剤の場合は、打錠機と呼ばれる機械で、金型の間に均一に混ぜた顆粒を入れて、圧力をかけることで錠剤の形に成型します。
コーティング
コーティングは打錠した錠剤をフィルムコーティング機を用いて、高分子の膜で覆う工程です。コーティングは薬の特性に応じて、様々な目的で行われています。苦味を防いで飲みやすくするための糖衣のほか、粉砕しないように表面を守るためのコーティング、光や水分から守るためのコーティングなどがあります。また、溶ける時間を調整するためのコーティングは、たとえば、胃では溶けずに腸で溶けるようにするためのものです。
印刷
薬の表面に製薬会社や薬を識別するためのコードを印刷する工程です。薬の表面に印刷することで、患者の飲み間違いを防げるという効果もあります。
検査
複数のカメラが搭載された自動外観検査機を用いて、全数検査を実施します。表面や裏面、側面がチェックされ、汚れや欠け、割れ、異物の混入があるものは取り除かれます。印刷の工程のある錠剤は、印刷に関してもスレなどがないか、カメラによる検査が行われます。
包装
検査に合格した錠剤をPTP充填包装機で包装する工程です。PTP充填包装機による包装は、PTPシートに熱を加えて錠剤を入れるポケットを成型し、シートに異物が入っていないか検査を行った後、錠剤を入れて、アルミフィルムを貼り合わせてフタをするという流れです。
そして、シートに異物が混入していないか検査を行い、1シートごとにカットします。シートを規定の枚数ごとにバンドで束ねるか、あるいはアルミの袋に封入した後、重量の検査が行われます。それから、ダンボールに梱包した後、倉庫に搬入します。
最終製品試験
出荷前に最終製品試験を実施し、問題ない製品は出荷されます。また、使用期限まで定期的に検査が実施されます。
製薬工場などに設置されている「クリーンルーム」とは?
半導体や精密機器、医薬品などの製造現場では、高い衛生基準が求められるため、クリーンルームが設けられています。空気中には浮遊微小粒子や浮遊微生物と呼ばれるホコリや細菌が舞っているため、衛生基準を満たすために設けられているのがクリーンルームです。
クリーンルーム内には高性能のフィルターを通すことで、浮遊微小粒子や浮遊微生物を減らしたクリーンな空気が放出されています。また、クリーンルームは外部よりも圧力が高い陽圧にすることで、外部の浮遊物の多い空気が入り込みにくい状態になっています。
また、クリーンルームに求められる清浄度は取り扱う製品によって違いがあります。清浄度は1~9のクラスがあり、要求水準が高いのは半導体工場でクラス3~5です。その次が電子部品工場や精密機械工場でクラス5~6、製薬工場や食品工場はクラス5~8です。
製薬工場の服装や身だしなみは?
製薬工場でクリーンルームへの入室する場合は無塵衣を着用します。二次更衣が必要となる点が大きな特徴です。
製薬工場の作業着や身だしなみの基本
製薬工場の製造ラインでは、異物の混入を防ぐため、服装などの入退室基準が定められているのが一般的です。
作業着は、粉塵の発生を抑える無塵衣と呼ばれるものが支給されます。頭や顔には、マスクとヘアキャップを装着するため、目のまわり以外は隠れる状態です。また、手袋を着用し、ゴーグルをするケースもあります。
髪は短髪にしなければいけないわけではありませんが、長い場合には髪をまとめてヘアキャップの中に入れることが必要です。また、化粧や整髪料の使用に制限があるケースもあります。ネイルは禁止されていることが多く、爪は短く切り揃えておくのが基本です。時計やピアス、ネックレスなどのアクセサリー類はすべて外します。
ただし、梱包後の出荷関係の工程では通常の作業着を着用し、髪型などに関する規定も異なるケースもあります。
クリーンルームへの入室は二次更衣が必要
クリーンルームへの入室には二次更衣が必要なのが一般的です。まず、一次更衣室で私服から作業着などのユニフォームに着替えて、靴も上履きに履き替えます。外気に触れた私服にはホコリや花粉などが付着しているため、そうした付着物を持ち込まないためです。
次に、二次更衣室で無塵衣に着替えて、髪をネットにしまって、ヘアキャップやマスクを装着します。アルコールで手を除菌した後、手袋や作業靴をつけます。
そして、クリーンルームへ入室する際には、粘着ローラーやエアシャワーで作業着のチリを取り除き、靴の裏のチリも粘着マットなどで除去します。ただし、着替えの流れは工場によって多少異なる可能性もあります。
製薬工場によっては衛生基準によって、工場内の床の色分けが行われています。
製薬工場の製造ラインで働くときの注意点
製薬工場のクリーンルーム内では、走ったり、無塵衣をはたいたりする行為は、ホコリが舞い上がる恐れがあるため、避けるようにします。無塵衣にホコリや汚れなどを付着させないように、しゃがむときには膝などを床につけないように注意が必要です。
ヘアキャップやマスクを着用するため、視野が狭くなりやすいことから、頭上や足元などをぶつけないようにするためにも、慌てないようにしましょう。
クリーンルームでの作業中にトイレに行く場合には、作業着に一度着替えることになるため、時間がかかります。クリーンルームに入る前の着替える前の段階で、トイレに行っておくとそうした負担を軽減できます。
製薬会社の仕事が向いている人とは?
製薬会社の取り扱う医薬品は人々の命に関わるものです。製薬会社の仕事は強い倫理観や責任感を持って、丁寧に取り組むことが求められます。
医療関連や理系の知識に興味がある
研究職や開発職、学術職はもちろん、文系出身者も採用されるMRも、医薬品の知識を求められる仕事です。医学や薬学、理化学といった分野に興味や関心がある人が、入社後にスムーズに必要な知識を身につけていきやすいです。また、医療業界・製薬業界は日進月歩で技術が進化していくため、新しい知識を常に習得していくことが必要です。
倫理観や責任感が強い
医薬品は人の生命に関わるものであるため、強い倫理観や責任感を持っていることは、いずれの部門でも求められます。製薬業界は、規則を忠実に守れて真摯に仕事に取り組める人に向いた業界です。
丁寧に作業をするのが得意
医薬品の成分はともすれば、重大な副作用や健康被害をもたらす恐れがあります。研究職や開発職は、実験や治験のデータが医薬品の安全性に関わるため、細心の注意を持って取り組むことが大切です。また、製造ラインにおいても、ちょっとしたミスが重大な事故に結びつく恐れがあるため、作業手順を守って丁寧に仕事に取り組む必要があります。
まとめ
製薬会社は専門性が求められる職種が多く、部門によって求められる学歴に大きな違いがあるのが特徴です。研究職や開発職は理系の修士以上、MRは学部を問わず学士以上、製造スタッフは高卒以上とされるのが一般的となっています。
製薬工場の製造ラインで働く場合は、クリーンルームでの作業となることが多いです。クリーンルーム内をきれいに保ち、安全な環境で医薬品を製造するため、製造スタッフとして働く場合は、服装などに関する規定を厳守することが大切です。
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