工事管理と工事監理の違いとは?発注方式による違いもある?
2021.03.11混同されやすい言葉に「工事管理」と「工事監理」があります。読み方はどちらも同じですが、建築工事で担う役割には大きく異なります。また、設計や工事の発注方式によっては、同一の会社の技術者が担うケースもあります。
工事管理と工事監理の違いについて、それぞれの意味を解説したうえで、設計・施工一括発注方式と設計・施工分離発注方式についても触れていきます。
建築工事には「工事管理」と「工事監理」がある
建築工事では、「工事管理」と「工事監理」という役割があります。
「工事管理」は通称「たけかん」と呼ばれ、工事現場を実際に動かして、工程管理や品質管理などの施工管理を行う役割を担っています。工事管理を担うのは、ゼネコンなどの建設会社です。
「工事監理」は通称「さらかん」と呼ばれ、建築主の代理人として、図面通りに工事が進んでいるか確認する役割を担います。工事監理は一般的に設計事務所などの設計者が行う業務です。
それぞれについて詳しくみていきます。
工事管理とは?
工事管理とは施工管理のことで、建設工事で計画通りに工事が進行するように、工程や原価、品質などのマネジメントを行うことをいいます。工事管理は、ゼネコンや工務店といった、施工会社の現場代理人などの現場監督が担っています。
工事管理は、4大管理と呼ばれる4つの業務が中心です。4大管理には、工程管理と原価管理、品質管理、安全管理があります。
工程管理とは、工期までに工事が完了するように、作業工程のスケジュールを組み、管理していくことをいいます。大規模な工事では様々な工種の専門工事会社・職人が関わっているため、効率よく工事が進行するように工程の管理が必要です。工程表を作成し、工事の進捗状況の確認や現場での指示や監督、作業工程の調整、資材や重機、専門工事業者の手配などを行います。
原価管理とは、利益を確保するため、資材費や人件費などが予算内に収まるように管理することをいいます。品質管理とは、設計図書通りの仕様で建物を建築し、施主に求められる品質を確保するための管理業務です。施工が完了した工程を確認するとともに、写真を撮影するなど、施工状況を記録に残します。安全管理とは、建設現場での事故を防止し、安全に作業を行える環境を整えることをいいます。開始前の打ち合わせや声掛け、安全点検などを行います。
工事監理とは
工事監理とは、建築士の代理人として、設計図書通りに建物が作られているか確認し、工事現場で施工会社と打ち合わせや指示を行うことをいいます。工事監理は設計事務所の設計者が担うのが一般的です。工事監理は建築基準法や建築士法の規定により、建築士しか担うことはできません。
工事監理では、設計図書通りに工事が正しく進行しているかチェックするため、工程や工事方法、資材、品質などを確認し、各種検査に立ち会います。また、建築主の要望通りに工事が進むように、現場で施工会社と打ち合わせを行います。建築主に対しては、工事の進捗や状況の報告をします。
工事管理と工事監理の違い
工事管理は工事現場で実際に工事を遂行する立場なのに対して、工事監理は建築主の代理として、設計図書通りに工事が行われているか監督する立場という違いがあります。工事管理を担うのは、ゼネコンや施工会社の現場代理人などの現場監督です。一方、工事監理は一般的に、設計事務所などの設計者が担うのも異なる点です。
工事管理を担う「現場監督」とは?
工事管理を担うのは、現場監督や現場代理人、主任技術者、管理技術者と呼ばれる人です。このうち、現場監督は工事管理を担う人に対する一般的な呼称であり、法律用語ではありません。大規模な工事現場には、若手から現場所長まで複数の現場監督が配置されています。
現場監督のうち、現場代理人は経営者の代理人として、工事現場で契約にもとづいた一切の権限を行使する役割を持っています。複数の現場監督が配置されている工事現場では、現場所長が現場代理人を務めるのが一般的です。現場代理人は公共工事では配置が義務付けられているほか、民間工事でも大規模な工事では契約にもとづいて配置されるケースが多いです。現場代理人には資格要件はありません。
また、建設業の許可を取得している事業者は、すべての工事現場に工事規模などによって、主任技術者、あるいは監理技術者の配置が義務付けられています。現場代理人が主任技術者や監理技術者を兼ねることは可能です。
主任技術者や監理技術者には資格要件があります。建築工事業の主任技術者は一級・二級建築士、1級・2級建築施工管理技士のほか、一定の実務経験を積むことでなることも可能です。監理技術者になれるのは、一級建築士と1級施工管理技士に限られています。
工事監理を担えるのは「建築士」のみ
建築基準法の第5条の6で、一定規模以上の建物は建築士が設計することと、建築主は工事監理者として建築士を定めることが義務付けられています。また、建築基準法は建築士法において、工事監理は建築士の独占業務とされています。
建築士には一級建築士・二級建築士・木造建築士という種類があり、建物の規模や構造によって決められた対応できる範囲が異なります。すべての規模や構造の建物の設計や工事監理を担うことができるのは、一級建築士です。
設計・施工分離発注方式と設計・施工一括発注方式とは?
工事管理と工事監理は必ずしも別の会社が担うとは限りません。設計と施工を一つ会社に依頼した場合には、基本的に工事管理も工事監理も同じ会社の社員が担うことになります。設計と施工の発注の方法によって、設計・施工分離発注方式と設計・施工一括発注方式に分けられ、工事監理と工事管理の担当者のあり方も異なります。
設計・施工分離発注方式とは、設計と施工を分離して発注する方法で、設計を設計事務所、施工をゼネコンや工務店に依頼するパターンが一般的です。通常、設計者が工事監理者を兼ねるため、工事監理を設計事務所、工事管理をゼネコン、あるいは工務店が担います。
設計・施工一括発注方式とは、設計と施工を同じ会社に依頼する方式です。設計と施工の両方をハウスメーカーや工務店、ゼネコンなどに、一括で依頼するケースが該当します。設計・施工一括発注方式では、工事管理も工事監理も一つの会社の社員が担うのが一般的です。
設計・施工分離発注方式のメリット・デメリット
設計・施工分離発注方式では、工事管理と工事監理を別の会社の担当者が担うことになります。設計・施工分離発注方式と設計・施工一括方式にはどちらも一長一短があり、いずれがよいとは一概にはいえません。
設計・施工分離発注方式のメリット
設計・施工分離方式は、工事管理と工事監理を別の会社が担うことから、工事監理の独立性が高いことがメリットです。第三者としての中立な立場から、工事監理が行われることが期待できます。また、設計・施工一括発注方式ではコストが優先されやすいのに対して、設計意図が忠実に反映された建物が完成しやすいです。
完成後に不具合が判明したときにも、工事監理者が中立的な立場から施工会社と調整を行うことが期待できます。
さらに、設計・施工分離方式では、複数の施工会社に相見積もりをとって、施工会社を決めるのが一般的であり、適正価格で工事を依頼しやすい点もメリットに挙げられます。
設計・施工分離発注方式のデメリット
設計・施工分離方式は、設計段階では施工会社が決定していないため、設計者は正確な工事費用を把握することができず、コストが不確実なことがデメリットです。実施設計が完了して施工会社に見積もりをとった段階で、建築主の予算と大幅に開きが生じて調整が必要になるケースがあります。
また、スケジュール面でも、設計・施工一括方式の方が工期がスムーズに確定します。
まとめ
建築工事の現場では、工事管理と工事監理の管理者・監理者による2つの管理のもと、建物が作られています。工事管理は工事現場を動かして工程や品質などの管理を行い、工事監理は建築士の代理として、建物が設計図書通りに完成するように監理を行っています。
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