ソムリエとは、ワインで最高の食事シーンを演出する、接客業のプロフェッショナル!
2020.11.1711月19日(木曜)、いよいよボージョレ・ヌーヴォが解禁となります! いまやスーパーやコンビニでも、価格帯や銘柄、原産国などさまざまなバリエーションのワインが並び、手軽に「安くて美味しい」ワインを楽しめるようになりましたが、今年は特に“家飲み”が多くなったこともあり、本家フランスよりひと足早く(8時間)、収穫を祝う新酒をご自宅で楽しまれる方も多いことでしょう。
そんなワイン需要・人気の高まりとともに、「ソムリエ」という言葉も私たちに耳慣れたものとなっています。ワイン好きな人にとっては、憧れの職業といえるかもしれません。
ソムリエ── それは、裾の長い腰ひもエプロン(ソムリエエプロン)をまとい、お客様にお勧めのワインを優雅にサーブするイメージでしょうか? 洗練されたおしゃれなイメージが先行する一方で、具体的にどのような仕事をするかについては、あまり知られていないかもしれません。
私たちの生活に身近となったワイン。ソムリエは、その魅力を知り尽くし、提供してくれるワインのプロフェショナル。今回は、ソムリエについて仕事内容や資格、なり方や生活などについてご紹介しましょう。
ワインにかかわる一連の業務を担う
一般社団法人「日本ソムリエ協会(JSA)」は「ソムリエ」を次のように定義しています。
「ソムリエとは飲食、酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関、酒類製造のいずれかの分類に属し、酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナルをいう」
具体的にあげていきましょう。
【ソムリエの仕事内容】
〇ホテルやレストランなどに食事に来られたお客様へ、要望に応じた最適なワインを提案する。また、ワインに合ったメニュー選択にも適切な助言をする。
〇ワインの入荷や保管、品質管理、ワイングラスの管理まで、ワインにかかわるひと通りを行う。
〇ワイン業者からの売り込みに対応したり、現地まで行きワインの買い付けをすることもある。
基本的には、ワインをお客様に提供するまでの一連の作業すべてがソムリエの業務範囲であり、ワインについての店のスペシャリストとしての役割を果たし、ワインを中心とする酒類や飲料の流通や輸出入、販売、製造などに携(たずさ)わるソムリエもいます。
そうして来店するお客様に、どのようなワインが適切かをすばやく見きわめ、TPOに即した最高の食事シーンを演出すること。これがソムリエとしての腕の見せどころであり、店の評判を左右するともいえる、責任が重い以上にやりがいのある仕事といえるでしょう。
ソムリエになるために必要な資格や免許はない
では、ソムリエには、どうすればなれるのでしょうか?
先に述べた、一般社団法人「日本ソムリエ協会(JSA)」による「ソムリエ」の定義──「ソムリエとは飲食、酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関、酒類製造のいずれかの分類に属し、酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナルをいう」をみれば、ソムリエは「酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナル」とあり、この条件を満たすのは並大抵のことではないように思われます。
そのため、ソムリエになるには難関な資格試験があるのだろうと推測されますが、日本では、ソムリエとして仕事をするための資格は必須ではなく、資格がなくてもソムリエとして働くことができます。
シェフやホール係を兼任することも多い
一流ホテルやレストランで颯爽(さっそう)と働くソムリエはいかにもスマートですが、街のレストランや飲食店では専任のソムリエを置くのではなく、シェフやホール係がソムリエを兼ねていることが多く、ソムリエを目指すのであれば、まずはワインを扱っている飲食店でホールスタッフとして経験を積みながら、ワインに関する知識や接客のノウハウを身につける道が有効といえます。
飲食店などで経験を積みながらワインに関する知識を増やし、徐々に仕事を任されていくことが多いようです。
ちなみに、ワインの本場・フランスでは、ソムリエは権威のある職業に位置づけられ、それだけにソムリエの国家資格の取得レベルは高難度となっています。
ソムリエの民間資格
ソムリエになるために資格や免許は必要ないものの、就職・転職の際のスキルアピールや自分自身の勉強のためにも、ソムリエ資格は有効といえるでしょう。ここでは、ワインに関する民間団体の認定資格を簡単にご紹介しましょう。
【日本ソムリエ協会の認定資格】
「日本ソムリエ協会(JSA)」が認定する資格試験(呼称資格認定試験)、「ソムリエ」「シニアソムリエ」。
まず、受験資格を得るためには飲食サービス業での業務を規定の期間(通算3年以上、協会会員は2年以上)経験し、また、第一次試験日においても従事している必要がある。
そのうえで「ソムリエ」試験に合格し、さらに経歴を重ねると(通算10年以上)「シニアソムリエ」の受験が可能。
「ソムリエ」「シニアソムリエ」の試験は「第一次試験:筆記」「第二次試験:テイスティング」「第3次試験:サービス実技」の順で行われ、各試験通過者が次の段階の試験を受けることができる。
JSAでは、飲食サービス業での従事者を条件としない、一般愛好家向けの「ワインエキスパート」という試験も実施している。
【全日本ソムリエ連盟の認定資格】
「全日本ソムリエ連盟(ANSA)」が認定する資格、「ソムリエ」「ワインコーディネーター」。
実務経験は問わず、講習を受けるだけで受験資格を得ることが可能で、以下の3コースから選択する。
〇通信プログラム:3か月で3回の課題をクリアすることで資格取得。
〇在宅プログラム:専用ノートで事前学習した後、会場で2日間の受講・受験で資格取得。
〇在宅コース:学習は自宅で行い、受講後1年以内に会場試験を受けることで資格取得。
試験は主に筆記で、一部テイスティングを伴う筆記問題あり。
また一般愛好家向けの「ワインナビゲーター」という資格もある。
日本ソムリエ協会が認定するソムリエ資格試験(呼称資格認定試験)は、飲食の業界では最も難しいといわれており、合格率は30%ほど。ソムリエに特化した専門学校は現状ほとんどありませんが、ソムリエ試験の合格を目指すための民間スクールはたくさんあり、効率よく資格を取るには有効な選択肢といえるでしょう。
必要なのは、資格よりもスキル
現在の日本では、ソムリエになるために資格は必須ではありませんが、スキルがなければソムリエの仕事をすることはできません。ではここで、ソムリエには具体的にどのようなスキルが必要なのか、みていきましょう。
【ワインに関する知識】
〇ブドウの種類や地域・年度・醸造方法などの知識。
〇ワインの味わいや特徴などの知識。
〇ワインの価格や料理との相性。
【コミュニケーション力】
〇ワインを飲みながらのお客様との会話。
〇会話を通して、お客様がどのような嗜好をもっているかなど引き出す。
〇ワインに合う料理やデザートを勧める。
〇気遣いや軽妙洒脱なコミュニケーション能力。
【演出力】
〇ワインと共に素敵な時間を演出する。
〇店内の衛生面や照明、音楽などのセンス。
〇自分の外観や身だしなみなどへの配慮。
このように、ソムリエは「ワインのエキスパート(専門職)」だけではなく、広い視野をもって店に立つ能力も求められます。
ソムリエは接客のプロフェッショナル
すぐれたソムリエは、人を見る観察力に長(た)けています。お客様がどのような目的で来店したのか、一緒に食事をしている相手とはどんな関係なのか、普段はどんなお酒を好んで飲んでいるかなどを、お客様との対話のなかからさりげなく引き出し、最適なワインを選択します。
また、一流のソムリエは、その日の気温や湿度、お客様の体調なども考慮してワインを提供するといわれています。つまり、全神経をアンテナのように張りめぐらせて、お客様にご満足いただけるワインを提供しているのです。
丁寧な言葉遣い、無礼のない立ち居振る舞いなどは無論、お客様が何を求めているかを汲み取り、それをワインという形で表現していく……。ソムリエは接客のプロフェッショナルといえるでしょう。
ソムリエの活躍の場は?
では、ソムリエの主な就業先をあげていきましょう。
【ホテルのレストラン部門】
複数のレストランが開業するような大規模ホテルでは、複数のソムリエが在籍してワインを管理。階級制が適用されることが多く、上位から、チーフソムリエ、アシスタントチーフソムリエ、シニアソムリエ、ソムリエなどと呼ばれます。
【レストラン】
フランス料理やイタリア料理などの高級レストランでもソムリエが活躍しています。高級店で働くソムリエは「ソムリエ専任」として雇われることが多い一方、小規模な店やビストロ(居酒屋)ではソムリエ専任ではなく、シェフやウエイター、接客業務なども兼任します。
【ワインバー】
豊富なワインの品揃えと、ワインに合った料理を提供する店。ソムリエが独立してオープンさせることもあります。
【ワインショップ】
ワインを取り扱う酒販店では、ソムリエは店の立地条件や客層に合うワインを入荷し、お客様の予算や目的に合わせてワインを勧めたりアドバイスするのが主な業務。ソムリエ資格ではなく、ワインエキスパート資格(20歳以上であれば経験を問わず受験可)を有する店員も多いようです。
収入については、勤務先や勤務地域によって異なるためひと括りにはできないものの、ソムリエの平均年収は300万円~600万円程度と幅があり、初任給は20万円前後と、平均的な給与イメージとなっているようです。
ソムリエの生活は?
ソムリエの一日のスケジュールは、働く店によって異なり、ランチタイムに合わせて昼から勤務する場合もあれば、夜間のみ働く場合もあります。
ここでは、レストランのディナータイムに働くソムリエの一日を、例にあげてみていきましょう。
【あるレストランで働くソムリエの一日】
〈ディナータイムに働くソムリエのスケジュール〉
15:00 出勤/ワインセラーの温度確認など開店準備。
16:00 その日の料理に合ったワインを選定、ワインリストの作成。
17:00 ディナータイム/お客様へ最適なワインを提案。
21:00 来店したワイン業者の対応、合間を見て休憩。
23:00 ディナータイム終了/ ワイングラスを磨く。
23:30 閉店/ ワインの発注業務、着替えて退勤。
ソムリエの勤務体系は勤務先に準じ、ランチを提供している店なら11時くらいから、間休憩をはさんで23時くらいまで営業する店が多いため、準備や片づけを合わせて前後プラスした時間帯での勤務が一般的です。
一方、ソムリエはディナータイムだけの在籍としている店も多く、その場合には16時くらいからの勤務となるでしょう。
休日も勤務先の休業日に準じますが、飲食店は年中無休のところも多く、その場合の休みはシフト制となります。混み合う週末に休みを取るのは基本的に難しく、休日は平日がメインとなるでしょう。
またソムリエは常に、最新のワイン情報にアンテナを張りつつワインについて学び続ける必要があり、休日もワインの飲み歩きやワインの勉強をして過ごす人が多いようです。
ソムリエの使う道具類
では次に、ソムリエが使う道具類について、ご紹介しましょう
【ソムリエナイフ】
ワイン用の栓抜きとキャップのシールをはがすナイフが一体になり、ポケットナイフのような形をした折りたたみ式のもので、レストランなどでソムリエが多く使うことから、このように名づけられました。本格的にソムリエを目指すならば、まずはじめに自分のソムリエナイフを購入しましょう。
その場合には、できるだけ多くのソムリエナイフを直接手に取り、自分の手になじむものを選ぶのがポイント。ソムリエには、ソムリエナイフを扱う際の優雅さも重要であり、扱いがスムーズに行えるという点も押さえておきましょう。商品によって高額なものもありますが、一生使う道具として慎重に選ぶことも大切です。
特に資格取得などで実技試験を受ける場合は、一日でも早くソムリエナイフの扱いに慣れておくとよいでしょう。
【ワインセラー】
ワインはとてもデリケートで、環境によっても味が変化します。ワインセラーはワインを最適な環境で保管するための貯蔵庫、温度と湿度を調整します。ワインセラーの庫内温度と湿度管理は重要で、ワインの質によってこれらを使い分けるのもソムリエの技術といえます。
【タブリエ】
いわゆるソムリエエプロンのこと。色は黒が一般的で、白や茶色などを着用するところもあります。素材は革製のもの布製のものが一般的ですが、ナイロン製の製品も販売されています。
【ワイングラス】
用途に応じていくつもの形状、種類が存在し、ワインの色によってもグラスは異なります。ワイングラスの形状によって、ワインの味わい、香りにも違いが出るとされ、ソムリエはワイン本体だけでなく、それを注ぐグラスに関する知識にも長けている必要があります。
【デキャンタ】
ワインの沈殿物を取り除くため、ワインを空気に触れさせて味わいを引き出す「デキャンタージュ」を行う際に使われる専用の容器。デキャンタにはさまざまなデザインのものが存在するため、用途や好みに応じて使いやすいアイテムを探してみましょう。
【ワインクーラー】
ワインを瓶のまま冷やすための容器で、金属製や木製、アクリルのバケツ型が主流とされています。氷と水を入れたワインクーラーにワインボトルを入れておけば、冷蔵庫よりも短時間で適温まで冷やすことができます。
最も大切なことはワインへの情熱
一見華やかなソムリエですが、実際の仕事は地味な作業、地道な努力の積み重ねであるといえるでしょう。また、ワインについての膨大な知識をマスターするだけでも大変なうえに、接客の技術やマナー、体力的にも決して楽ではないことをあらかじめ認識しておくことが大切です。一人前のソムリエになるには、努力のうえにも時間と経験を要することでしょう。
ただ、新米のソムリエが最初からすべてを知っている必要はなく、何よりも大切なことは「ワインが好き」「ワインの素晴らしさを伝えたい」というワインへの情熱、モチベーションがあるということ。
ワインに対する旺盛な探求心と地道に努力する姿勢があれば、働きながらさまざまなことを吸収し、ソムリエとして成長することができます。常にワインについてもっと深く知りたいという情熱や好奇心を持ち続け、また、ワインの素晴らしさをお客様に伝えることにやりがいを感じられるかどうかが、ソムリエに向いているかどうかの分かれ目といえるでしょう。
「ワイン通」を自称する「ワイン愛好家」が、そのままソムリエになれるわけではありません。「お客様の笑顔を見ると疲れが飛んでいく」──そう語るソムリエは多くいます。
フランスのように権威ある職業として認知される日も近い?
ワインの歴史は古く、世界中で最も多くの国で愛されているアルコール飲料です。そのためソムリエには求められる知識量も多く、更にどの料理にどのワインが合うかなどをお客様の前で即座にジャッジせねばならない、というような難しさもあります。
しかし、ハードルが高いほど乗り越えられた喜びははかりしれません。自分の知識と経験を駆使して提供したワインがお客様を満足させ、最高の食事シーンを演出できたら……それは、お客様以上にソムリエ自身の喜びとなるでしょう。
ソムリエが国家資格であり、非常に権威ある職業であるフランスなどに比べれば、日本のワインの歴史は浅く、ソムリエについてもまだ広く知られているわけではありません。しかし、ワイン需要・人気にともない、いまやワインは身近な飲み物として日本でも定着し、ソムリエの注目度が増していることは明らかです。これから日本でもワイン愛好家がどんどん増え、ソムリエがフランスのように権威ある職業として認知されることも夢ではありません。
── 好きなものを追究していくのは素晴らしいことです。ワインに魅了され、そのワインの魅力を追究し、ワインでお客様に最高のおもてなしをしたい……。ソムリエは、そんな人にとって最高の職業といえるのではないでしょうか。
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