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建設業でみられる日給月給制とは?月給制との違いや計算方法は?

「日給月給制」は建設業でみられることの多い給与形態です。日給月給制の場合、有給休暇や残業手当はどのように取り扱われるのでしょうか。様々な給与形態を踏まえたうえで、日給月給制と月給制の違いやメリット・デメリットについて紹介していきます。

建設業の日給月給制とは?

建設業でみられる日給月給制とは、給与が日額で決められていて、勤務日数に応じて1ヶ月分の賃金が支払われる給与形態です。そのため、日曜日や祝日といった会社が決めた休日のほか、屋外作業を担う場合は雨天などで現場が中止になって休日となると、賃金が発生しないことがあります。

国土交通省の「建設業の働き方として目指していくべき方向性」によると、建設業では技術者は64.5%が月給制なのに対して、技能労働者は64.9%が日給月給制です。建設業における技術者とは、主任技術者や監理技術者といった施工管理の担当者です。一方、技能労働者とは、建設工事で作業を行う技能を持った労働者を指し、大工や鳶といった職人が該当します。日給月給制は建設業のなかでも、職人に多い給与形態です。

出典:国土交通省「建設業の働き方として目指していくべき方向性

給与形態の種類

日給月給制は法律用語ではありませんが、給与形態には一般的な呼び方があります。主な給与形態の種類は以下になります。

・日給制…1日の給与が決められている給与形態で、1日ごとに給与を支払います。

・日給月給制…1日の給与が決められていて、1ヶ月ごとにその月の勤務日数分の給与をまとめて支払う形態です。

・月給日給制…月の給与が決められている月給制のうち、欠勤や早退、遅刻をした分を控除する給与形態です。諸手当分も含めて控除する場合を日給月給制、諸手当分を除いて控除する場合を月給日給制と呼ぶこともあります。

・完全月給制…月給制のなかでも、欠勤や早退、遅刻をしても、その分の賃金を控除しない給与形態をいいます。完全月給制は主に管理職に用いられています。

いずれの給与形態も、時間給に換算したときに都道府県ごとに定められた最低時給以上でなければ、違法となります。

日給月給制と月給制の違いは?

月給制の場合、月々の給与が一定額なのに対して、日給月給制の場合は休日や天候によって左右されるという違いがあります。月給制の場合は、ゴールデンウイークやお盆、年末年始がある休日の多い月でも、同じ額の給与が支払われるのに対して、日給月給制の場合には給与が少なくなります。

また、日給月給制は勤務日数に応じて給与が増えていく足し算の考え方なのに対して、月給制は欠勤すると控除されて給与がある引き算の考え方と捉えることもできます。

日給月給制の計算方法

日給月給制の場合の月給は、「月給=日給×月の出勤日数」という計算式で算出します。日給が1万5,000円の場合、25日働いた月は37万5,000円になりますが、20日の勤務では30万円です。

日給月給制の場合の有休や残業手当の取り扱い

日給月給制でも有給休暇は付与され、所定労働時間を超えて労働を行った場合には残業手当の支払いの対象になります。

有給休暇の条件や付与日数

有給休暇は労働基準法によって、条件を満たした従業員に対して付与することが義務付けられている制度です。6ヶ月間継続勤務していて、全労働日の8割以上出勤していることが条件です。有給休暇はアルバイトやパート、契約社員、正社員といった雇用形態を問わず対象となり、日給月給制で働く従業員も条件を満たせば付与されます。

有給休暇の日数は通常の労働者の場合、6ヶ月後に10日、1年6ヶ月後に11日と継続勤務年数が長くなるにつれて増えていき、6年6ヶ月以上は20日で一律になります。また、有給休暇は毎年付与されますが、翌年には繰り越しが可能であり、有効期限は2年間です。

残業手当の金額の計算方法

残業手当は所定労働時間を超えて働いた場合に支払われ、法定労働時間を超えた場合には25%の割増賃金を支払うことが労働基準法で義務付けられています。法定労働時間は8時間です。たとえば、所定労働時間が7時間で2時間の残業をした場合には、1時間分は1時間当たりの賃金がそのまま追加で支払われますが、もう1時間は25%割増した賃金が支払われることになります。

また、22時から5時までの時間帯に残業した場合には、深夜割増として25%の上乗せが必要です。

<日給月給制の場合の残業手当の計算方法>
1時間当たりの賃金=日給÷1日の所定労働時間

法定内残業:残業手当―1時間当たりの賃金×残業時間
法定外残業:1時間当たりの賃金×残業時間×1.25
深夜の法定外残業:1時間当たりの賃金×残業時間×1.5

<計算例>
★日給1万2000円、勤務時間8時~17時(休憩1時間/所定労働時間8時間)で、17時~19時まで残業したケース

1時間当たりの賃金:1万2000円÷8時間=1500円
残業代:1500円×2時間×1.25=3,750円

日給月給制のメリット・デメリット

日給月給制はノーワーク・ノーペイにもとづいた給与形態です。働いた分の給与は支払われるため、労働者側が損をすることはありません。

かつては休日手当がきちんと支払われない企業が少なくなかったため、働いた日数に応じた給与が受け取れる日給月給制は、従業員にとってもメリットがありました。昨今では法律にもとづいた休日手当の支払いが浸透してきているため、そうしたメリットが薄れています。

一方でGWやお盆、年末年始に該当する月は給与が少なくなるなど、収入が安定しないことが労働者にとってのデメリットとなります。また、週休2日制が導入されると、収入が減ってしまうこともデメリットに挙げられます。

一方で企業側にとっては、日給月給制は勤務日数に応じた賃金の支払いとなることがメリットです。

建設業界で日給月給制から月給制への移行が進められている理由とは?

少子高齢化によって生産年齢人口が減少するなか、建設業界では職人の高齢化による人材不足が問題となっています。そこで、人材を確保するため、雇用形態や雇用条件など労働環境の整備を図っていくことが求められています。そうした施策の一つとなるのが、日給月給制から月給制への移行です。

国土交通省の「建設業の働き方として目指していくべき方向性」では、建設業の従事者は非正規雇用が2割弱を占めることから、正社員化による雇用の安定化が示されています。また、週の休日の平均は4週で5.16日であり、建設業界では週休2日制の導入が進んでいません。しかし、日給月給制のままで週休2日制を導入すると、収入の減少につながるため、従業員にとってメリットが弱いことから、月給制への移行と合わせて実施することの必要性が示されているのです。一方で、工期が延長した場合などには経営を圧迫することから、コスト増への対応が課題とされています。

実際のところでは、日給月給制から月給制へ移行すると、従業員の収入が安定するため、他社との差別化が図れることから、月給制を導入する建設会社もあります。

まとめ

日給月給制が建設業に多い給与形態ですが、人手不足解消に向けて、月給制への移行を進める動きもあります。日給月給制を採用する建設会社などで働く場合は、働いた分だけ賃金がもらえる一方で、月によっては収入が少なくなることを理解しておくことが大切です。

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