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航空整備士の仕事とは?かっこいい「つなぎ」には秘密がある!

大空を勇壮に飛ぶ飛行機。飛行機を安全かつ円滑に運航するためには操縦士であるパイロットの運航技量が必須ですが、欠かせないのは飛行機の整備や点検を行う「航空整備士」です。

数百万にもおよぶ部品の整備や点検、機体に打ち付けられたリベットの接合チェックなどを行う航空整備士は非常に重要な仕事をしています。多くはハンガー(飛行機の格納庫のこと)の中で、機体整備に勤しんでいるため、私たちが目にする機会は少ないのですが、空港では必ず整備士を見かけるチャンスがあるのをご存じでしょうか。

飛行機が駐機場から出機する時、一列に並んで飛行機に「いってらっしゃい」と手を振るつなぎ姿の人々……それこそが航空整備士であり、マーシャラーやグランドハンドリングをする人と一緒にお客様が出発するのを見送っています。この光景は今では当たり前として認識されていますが、始まりはANAの一人の航空整備士の想いからでした。

かっこいいつなぎ姿の航空整備士について、仕事内容や資格、ちょっとしたトリビアについてANAを参考に紹介しましょう。

航空整備士の仕事内容は主に4部門に分かれている

航空会社で働く航空整備士の仕事は、主に次のような4つの部門に分かれています。

●ライン部門

前述の空港で手を振って見送る整備士は「ライン」と呼ばれる部署に属しています。空港に到着した航空機が次のフライトに出るまでの短い時間内で点検・整備を行うもので、「運航整備部門」ともいわれます。次のフライトのための基本的な点検をするほか、パイロットやCAからの情報をもとに不具合のチェック・修理をします。飛行機が駐機している30分~50分程度の短い間に適切な処置ができる技量とスピードが必要であり、最終的にフライトOKのサインを出す重責を担うなど、必要な資格は航空会社ごとに異なります。

●ドック部門

フライトごとに点検や整備をする「ライン部門」に対して、ハンガー(格納庫)で航空機を定期的に点検・整備を行うのが「ドック部門」です。機体整備部門とも呼ばれ、航空機が一定のフライト時間に到達すると行われる整備や、夜間にセットされる整備などがあります。長い場合は1カ月程度かかり、機内のシートなども取り外して細かく整備されます。航空機の人間ドック版だと考えるとわかりやすいでしょう。

●ショップ部門

航空機には数百単位での部品や装備品があり、ほとんどが特注で作られています。特にコックピット内のコンピューターや計器類などはどれも非常に単価が高く、精密機器である特性からも慎重かつ丁寧な整備が求められます。こうした電子機器や計器類などの装備品を点検・整備を行う部署を、「ショップ部門」や「装備品整備部門」と呼びます。時計を修理したり組み立てる職人のように、デスクに座って作業をする整備士であり、専門の高度な知識と集中力が必要な仕事です。

●エンジン部門

航空機の要であるエンジンの整備を行う「エンジン部門」。航空機の翼に取り付けられたエンジンは中に人が立てるほどの大きなサイズですが、逆に非常に繊細な部品の集合体でもあります。「原動機整備部門」ともいわれる部署の整備士たちは、数万点からなる部品の不具合を見逃さないよう、時にはミクロの精度でエンジンのメンテナンスを行います。

いずれの部門に所属しても、安全運航を大前提に、最新鋭の複雑なしくみをもつ機体を専門のチームごとに正確かつ慎重に整備をしていかねばなりません。プロとしての自覚と責任が伴い、向上心が必要な仕事といえるでしょう。

航空整備士の制服であるつなぎトリビア

航空整備士が業務中に着ているのは、制服である「つなぎ」です。

つなぎは上着部分とパンツ部分がつながっているので動きやすく、ベルトが必要ないため服が部品にひっかかりにくい利点や、体が覆われているのでケガをしにくいなどの利点があります。

例えば、夏向けのつなぎは素材にこだわっているだけでなく、脇の部分をメッシュ状にするなどの工夫がこらされています。空気を通すので“涼”が得られ、汗をかいても乾きやすい仕様になっているわけですね。また作業効率を高めるために、作業に必要なものは要所に配置されたつなぎのポケットに入れることができます。

航空整備士が着用するつなぎは、かっこいい制服のひとつとして憧れる人も多いようですが、一般の人が入手するのは困難です。子ども用のレプリカである整備士ユニフォームのつなぎが販売されたことはありますが、制服は企業の貸与品であり、職種を証明するものでもあるため、大人用のレプリカはありません。万が一、世間に航空会社の制服が流通してしまうと、航空テロなどに利用される可能性もあるため、厳重に管理されています。

ちなみに、ANAの整備士のつなぎはかつてオレンジ色でした。機内や広いハンガーで作業をしていても目立つ色として採用されたようですが、アメリカの囚人服が同じ色だったことやコーポレートカラーのブルーを反映するべきだという意見から変更となり、現在ではブルーカラーが定着しています。つなぎにあわせて整備士が履く靴は、足先を守れるよう、靴の先に鉄の板が入れられた安全靴が採用されています。

制服には、グレードやスキルがわかる色違いの帽子も

つなぎを着て安全靴を履いた整備士は安全のため、頭にはヘルメットをかぶります。ANAの場合は入社2年目までの若手は通常の白ではなく黄色のヘルメットを着用するとのこと。

チームで整備作業をするため、経験の浅い整備士が一目でわかるように……というのがその理由です。若手の技術力不足をベテランの整備士がカバーしながら指導育成して、高度なスキルを伝えていくのです。

また、ヘルメットではなく帽子をかぶって作業をすることもありますが、同じ整備士でも帽子が色分けされているのをご存じでしょうか。

整備士が着用する帽子は4色に分かれているのがANAの特徴です。

・一般整備士は「青」

・管理職や監督者は「黒」

・スキルの高いプロフェッショナルといわれる整備士は「緑」

・ハイクラスのレベルのスキルをもつ整備士はマスターを意味する「赤(えんじ)」

このようにひと目で整備士のグレードやスキルがわかるので、整備業務も効率よくできるというわけです。

航空整備士に必要な資格とは

では、航空整備士として活躍するためにはどのような資格が必要なのでしょうか。

航空整備士は国家資格が必要な職業です。航空機の大きさや業務範囲によって主に4種類に分けられています。機種ごとに資格を取得する必要がありますが、B787とA320など数種類の機種の資格を取得・保有し、整備を行うことが可能です。

■大型機(航空会社で使用するジェット機など)

・一等航空整備士

 大型機の整備業務全般に携われる資格で、20歳以上かつ4年以上の航空機整備経験がある人が受験できます。航空機の機種限定のため、試験に合格すると「B787一等航空整備士」「A320一等航空整備士」などという資格になります。

・一等航空運航整備士

 大型機のライン整備や運航にかかわる軽微な整備に携われる資格で、18歳以上かつ2年以上の航空機整備経験がある人が受験できます。やはり航空機の機種ごとに資格を取得する必要があります。

■中小型機(セスナ機やプロペラ機など)

・二等航空整備士

 小型機の整備業務全般に携われる資格で、19歳以上かつ3年以上の航空機整備経験がある人が受験できます。

・二等航空運航整備士

小型機のライン整備や運航にかかわる軽微な整備に携われる資格で、18歳以上かつ2年以上の航空機整備経験がある人が受験できます。

航空整備士として目指すのは、やはり「一等航空整備士」ですが、整備士として勤務しながら、日々猛勉強を続けなければ取得できない難関資格のため、入社後は厳しい毎日が待っているのが実状です。

また、最新鋭の航空機が開発され導入されるたび、アップデートし続ける航空機の整備を担うためにはスキルアップが欠かせません。航空会社ごとに必要とされる資格も細かく設けられていて、その資格保有者ならではのタスクがあり、責任も伴います。

空の安全は航空整備士の日々の厳しい努力と、身に着けた専門知識や技術、業務に対する真摯な態度やチームワーク、さらにはパイロットや客室乗務員など他職種とのコミュニケーションの上に成り立っているのです。

── もし空港で飛行機に手を振るつなぎ姿を見かけたり、ちょっとした不具合で機内に入ってきた航空整備士に出会ったら、そんな仕事ぶりに思いを馳せつつ、制服としてかぶっている帽子の色やかっこいいつなぎにも注目してみてはいかがでしょうか。

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