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多様な業種の人材が活躍する日本の一大産業「物流業界」。その仕組みや仕事内容、今後の展望は?

国土交通省のデータ(2018年)によると、日本国内における物流業界の市場規模は、GDP(国内総生産)総額の約5%を占める約25兆円。また、物流業界の労働就業者数は約169万人で、全産業就労者数の約5%を占めています。

そんな日本の一大産業を成す物流の仕事といえば、まず「荷物の運送」を思い浮かべますが、日々の物流を支える仕事はそれだけではありません。倉庫の在庫管理や商品の加工・検品、運送の情報管理や輸出入の手続きといったバックヤード業務も、すべて物流業界が担っています。

モノが流れていくプロセスで多様な担い手がかかわり、職種も業務内容も多岐にわたる物流業界。その基本的な業務プロセスや仕事内容とともに、年々進化する物流ビジネスの可能性について見ていきましょう。

物流業務の基本的なフローと、各工程における仕事内容

「物流」とは、その言葉通り「モノを運ぶプロセス・流れ」のこと。産地から工場へ原材料を運ぶ輸送業務、注文の商品を個人宅に届ける宅配業務、海外と物資をやりとりする貿易業務など、運ぶモノや運送形態はさまざまですが、A地点からB地点へモノを運ぶまでのプロセスは、すべて物流と呼ばれます。

その基本的な業務フロー(作業の工程・内容)は以下の通りです。

【1・保管】

荷主から運送業務を受託した物流会社では、まず物流センター(倉庫など)で預かった荷物や商品を保管。食品などを扱う場合は、冷凍・冷蔵保存するなどして品質を保つことも求められます。また、大量の商品を小分けにしたり、送り先別にまとめるなどの「輸送調整」も行います。

【2・在庫管理】

受注・出荷したデータをもとに商品の在庫数をチェックする「棚卸し作業」や、需要に応じたタイミングで在庫を調整する「需給調整」を行い、在庫が足りない場合は製造・補充を指示します。こうした在庫管理業務は、無駄なストックコストを抑えるとともに、滞りのないスムーズな出荷を支える重要な役割を担っています。

【3・流通加工】

物流センターでは、商品へのラベル貼り・値札づけや、セット組み・箱詰めなどを行うほか、商品を組み立てて半完成品や完成品に仕上げる作業も行います。また、商品の破損を防ぐ包装・梱包作業や、商品のキズなどをチェックする検品作業も流通加工業務のひとつです。

【4・荷役】

トラックなどへの荷物の積み下ろしや、倉庫への入出庫などを行います。出荷にあわせて必要な数だけ商品をピックアップするピッキング作業や、輸出入品などの通関手続きも荷役業務に含まれます。

【5・輸送、配送】

出荷準備のできた商品を、トラック・鉄道・船舶・航空機などで目的地まで運搬します。まさに、物流の表舞台となる主要なプロセスです。ちなみに、物流センターなどの中継拠点へ大量に運ぶ長距離運搬を「輸送」、そこから最終目的地まで運ぶ小口の二次運搬を「配送」と呼ぶのが一般的です。

【6・情報管理】

以上のような物流業務がスムーズに行えるよう、荷物や運送の情報を総合的にオペレーションする業務です。コンピュータシステムや通信回線を使って「運送中の荷物がどこにあるか」「経路・温度・湿度などの状況はどうか」といった情報を管理するほか、届いた商品に間違いやトラブルが生じた際の対応にもあたります。これらの管理情報は日々蓄積されており、そのデータはより効率的な物流環境の構築に役立てられています。

多様な業種経験やスキルが生かせ、将来性も期待できる物流業界

このように、ひと口に物流業務といっても、それにかかわる仕事の内容はさまざま。業務範囲が非常に幅広いため、多様な業種の資格や経験、スキルが生かせることも物流業務の魅力です。たとえば、大型自動車やフォークリフトの運転免許、システム開発や情報管理のスキル、通関士や物流管理士の資格、外国語や貿易事務のスキル……など。物流業務には運ぶ商品の入荷管理なども含まれるため、アパレル業界のサイズやブランドの入荷選定知識、食品業界での温度管理や安全対策など、さまざまな業種経験も生かせるチャンスがあります。

さらに「モノあるところに物流あり」といわれるように、モノを「送る人」と「受け取る人」が存在するかぎり、物流業界の仕事がなくなることはありません。商品を仕入れるスーパーやコンビニなどの小売店、食材を仕入れるレストランや飲食チェーンなど、どんな業態の店舗であっても、その裏側には物流という仕事が存在します。

加えて、インターネット通販の普及によって物流業務のニーズは年々拡大しており、今後も需要は伸び続けると予想されています。将来性・成長性という点から見ても、物流業界で働く魅力は大きいといえるでしょう。

物流ニーズが高まる一方、宅配ドライバー不足などの課題も

将来性・成長性という点から見ても、物流業界で働く魅力は大きい一方で、インターネット通販が拡大したことを受け、物流業界では宅配便などのトラック配送に携わるドライバー不足が深刻化しています。

国土交通省のアンケート調査によると、「トラックドライバー不足を感じる」と答えた物流会社は、2011年には約18%でしたが、2017年には約63%に増加。その背景には、ドライバーの長時間労働・低賃金・高齢化といった問題も隠れているようです。

これを受けて政府は2016年10月、トラックドライバーの労働環境改善とCo2削減に向けた「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」を施行(図表参照)。こうした改善策を導入した企業は、国からの補助金や税制優遇などが受けられるため、中小の物流会社を中心に導入を進める動きが広まっています。

物流市場で急伸! 新たなビジネスモデル「3PL」とは?

さらに、ここ近年広まっているのが「物流の一括委託」です。とくに、商品を製造・販売する一般企業(メーカーなど)では、物流を重要な経営戦略のひとつと位置づけ、企業活動における物流業務(荷物の運送・在庫管理・プランニング・システム構築など)を、一括して大手の物流会社へ委託するケースが増えているのです。

サード・パーティー・ロジスティクス(3PL)=物流を外部に委託すること

物流を外部に委託することは「サード・パーティー・ロジスティクス(3PL)」と呼ばれ、委託する企業・受託する物流会社ともにメリットの大きいサービスとして、その市場は急速に拡大しています。

また、3PL市場の急伸にともない、物流会社同士のアライアンス(提携)も盛んに行われるようになりました。トラック・鉄道・船舶・飛行機・倉庫・フォワーダー・貿易など、それぞれの分野の物流会社が提携し、自社で足りない分野を補完し合うことで、顧客企業に総合的な物流サービスを提供することが可能となるからです。

まさに3PLは、物流業界の再編・活性化を促し、新たなビジネスチャンスを広げるキーワードとして、今後ますます重要視されることは間違いないでしょう。

── こうして、さまざまな業種の担い手によって機能し、人々の暮らしや社会を支えながら日々アップデートしている物流業界。この業界を目指している人はもちろん、消費者である私たちも、これからの物流がどのようなカタチで進化していくのか、大いに注目していきたいですね。

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