海上自衛隊ならではの特殊な仕事! その制服と豆知識をご紹介
2020.10.062020(令和2)年9月、政府は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備を断念し、代替案として海上自衛隊にイージス艦を増加する方針を打ち出しました。乗員の確保が必要な海上自衛隊では負担が増えることになるため、自衛官の増員も検討されていますが、人手不足が慢性化している海上自衛隊の現状を踏まえ、ミサイル防衛に特化した専用の艦艇を新たに造る案が浮上しています。イージス艦を増やすよりも少ない要員で済むためです。ただ、洋上案は天候にも左右されがちなため、問題点も多く具体的な検討が必要です。いずれにせよ、防衛力の強化を図るべく年内には結論を出すものとみられています。
海洋から国家の防衛を担う海上自衛隊では取り巻く環境が変わりつつあるようですが、根本的な仕事は旧海軍のころから変わっていません。今回は、そんな海上自衛隊ならではの特殊な仕事や豆知識をご紹介しましょう。
※この記事の画像は「海上自衛隊HP」より引用したものです。
南極地域観測への協力
海上自衛隊で行っている活動の一つに、保有する砕氷艦「しらせ」を使った南極地域観測の協力があります。南極観測は毎年11月から翌年4月までの期間で実施されており、その際に人員の輸送、物資の輸送、支援作業を行うものです。
例えば、2019(令和元)年11月12日から2020(令和2)年4月10日までの第61次南極地域観測協力では、艦長である竹内周作1等海佐の指揮のもと約180名の乗組員が任務につきました。
東京を出港した後、オーストラリアのフリーマントルへ入港し、ここで観測隊を乗せて南極の昭和基地まで68名を輸送。同時に輸送した物資は約千トンでした。
復路では越冬交代式を終えて戻る第60次の観測隊70名を昭和基地からシドニーへ届け、廃棄物等の持ち帰り物資、約400トンを輸送しました。
砕氷艦「しらせ」とは
「しらせ」は文字通り、氷を砕いて進む艦艇ですが、氷の厚さによって砕氷のしくみが異なります。
厚さが約1.5mまでの氷の場合は、しらせの強力な推進力により連続して氷を砕氷して進むことができます。これを「連続砕氷」といい、しらせは3ノット(時速約5km)で前進可能です。
氷の厚みが1.5m以上の場合は、まず、しらせを200~300mほど後退させます。次に、最大馬力で前進して氷に体当たりしながら氷に乗り上げ、しらせの自重で氷を砕く「ラミング(チャージング)砕氷」という方法をとります。ちなみに、しらせの基準排水量は1万2650トンです。
長さは138m、幅28m、深さは15.9m、喫水は9.2mという寸法で、馬力は3万PS、速力は19ノット。航空設備として大型ヘリコプターを2機搭載しており、タワー化した航空管制室を備えています。
また、気象や宙空、地学や海洋など、さまざまな観測ができる設備も兼ね備えており、停船して観測を担当するほか、観測の支援も行います。往路で行われる支援作業は、艦上での観測支援、野外での観測支援、さらに、基地設営支援があります。
なお、文部科学省ではしらせを「南極観測船」と呼び、防衛省では「砕氷船」と称しています。それぞれが求める役割により呼称が違うのかもしれません。
しらせでの活動の様子について その1
砕氷船「しらせ」では日本を出航後、寄港までの約5か月の間、航行を続けます。当然、海上自衛隊の隊員たちは艦上で仕事をし、生活をすることになります。南極地域観測協力においては、多岐にわたる行事も予定されます。
2020(令和1)年から行われた第61次南極地域観測協力について、着用するユニフォームをメインにいくつかの活動を見てみましょう。
■出国行事
出航の日は家族が見送りにやってきます。海士はネイビーのセーラーデザイン、海曹以上は制帽にブレザー、ネクタイ姿の冬制服です。帽章は海上自衛隊では階級によって異なります。家族やマスコミが見守る中で出国行事が行われ、音楽隊員による演奏があります。
■航空機防錆維持点検/赤道祭
赤道を通過する際には赤道祭が行われ、また、航空機の防錆ができているかどうかもチェックします。迷彩柄の作業服がメインですが、暑いので海上自衛隊らしい半袖の白のシャツとパンツ(第三種夏制服)を着ます。ときには、Tシャツに短パンの場合もあるようです。
■艦上体育/観測隊物資投資/表敬訪問など
甲板で運動をしたり、艦内で講和を聞いたり、貨油輸送のホースを整備したり、毎日は忙しく過ぎていきます。作業時や運動時は迷彩柄の上下に分かれた作業服がメインです。寄港地のフリーマントルでは表敬訪問やちょっとしたパーティがあり、第三種夏制服が活躍します。
■観測隊訓練/安全教育/停船観測/初氷山視認など
フリーマントルを出航すると南極に近づいていきます。氷山も現れるため、航行は気が抜けません。制服は防水性と耐寒性のあるジャンバーとパンツを重ね着することが増えていきます。濃いブルーで背中には海上自衛隊の文字が入っています。危険を伴う作業をする場合は安全のために黄色のヘルメットを着用します。長い航海の間、もちろん、金曜日はカレーの日です。
しらせでの活動の様子について その2
■航空機試飛行/越年準備/停船観測など
氷を割りながら進む「しらせ」からペンギンが見えるようになる頃、航空機を飛ばし氷上を偵察します。乗員のフライトスーツは緑色です。整備の担当や観測をする隊員はオレンジの上下の防寒着を着用して作業を行います。背中には大きく海上自衛隊の文字が入っていて、南極に船が近づくにつれ、このオレンジ色の上下のユニフォームを重ね着する日が増えていきます。さまざまな観測支援を行いながら、クリスマスの行事やしめ縄づくりなど越年の準備も忘れません。体力を維持するために体も鍛えます。
■安全教育/荷役準備/人員輸送/年頭訓示/糧食輸送など
年始にあたっての訓示や越冬隊員との交流のほか、越冬隊員用の物資を輸送するなど、基地まで氷上での作業があります。コンテナを吊っておろし、キャタピラのついた雪上車で運びます。優先的に運ぶものは空輸です。すべての機材の整備も行わなければなりません。ここでは前述のオレンジの上下の作業服を着ていますが、首まわりにはネックウォーマー、手袋などが必要で、フェイスマスクを着用する隊員もいます。また、一面が氷の世界のため、サングラスをかけて目を保護します。成人を迎える海士がいた場合は成人祝いも行います。
■海洋観測センサー支援/越冬交代式/基地設営支援/観測隊訓練など
越冬隊員の交代式に参加します。同時に、廃棄物などの物資を積み込みます。極寒の地だけあって、やはりオレンジの上下の作業服を着こんでおり、南極を離れるとシドニーに向けて復路航海の再開です。乗り込んできた交代の観測隊に艦内の生活を説明したり、救命胴衣の装着法を指導したりします。
■しらせアカデミー/観測室ツアー/停船観測/雪かき/除氷作業など
艦内でアカデミーが開催され、多くのことを学びます。航海中には歯科治療や健康診断も行われています。砕氷しながら航行していくと、アザラシやオットセイ、ペンギンの群れやクジラなどに出会います。
毎日の雪かきは欠かせません。着用するのは迷彩柄のつなぎですが、オレンジ色の防寒着を重ねて作業を行います。海が荒れると甲板は凍りつき、その硬さはトンカチでも割れないほどのものとなります。
■停船観測/甲板清掃/整備維持点検など
氷の世界を抜けると徐々に海の色が青くなり、気温も上がってきます。同時に、オレンジ色の防寒着からブルーの防寒着に移行します。夜は見事な星空が広がり、天の川がはっきりと観察できます。まるでご褒美のように幻想的な美しいオーロラが現れることも。防寒の必要がなくなるとグリーンの防水着を着用して、甲板の清掃に力を入れます。
■観測隊見送り/洋上慰霊祭/帰国行事
シドニーに入港すると観測隊は下船し、人員輸送が完了します。その後は物資を輸送しながら、訓練や行事をこなして帰国となります。洋上慰霊祭では上下白の長袖の夏制服(第一種夏制服)を着用し、帰国行事では出国行事と同じ冬制服で式典に参列します。
コロナ禍の海自ならではの協力とは
コロナ禍が私たちの生活に多種多様な影響を及ぼしている2020(令和2)年。stay homeが叫ばれてからなるべく屋外に出ずに過ごした結果、運動不足やそれに伴う生活習慣病に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
そこで京都府舞鶴市では、地元駐在の海上自衛隊の伝統的な体操を市民向けに紹介していくことを公表しました。「まいづる健やかプロジェクト」の一環で、舞鶴市は生活習慣の改善が必要な人が京都府内ではもっとも高いことが理由だそうです。
この取り組みには海上自衛隊舞鶴地方総監部が協力しています。旧日本海軍の「海軍体操」を海上自衛隊が改良した体操の一部で、実際に自衛隊員が迷彩服を着て船の前などで披露してくれます。 YouTubeでは舞鶴市公式ムービーチャンネルや特設サイトも公開されていますので、興味のある方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
出典:海上自衛隊HP、防衛省・自衛隊HP、海上自衛隊八戸航空基地HP
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