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伝統の熟練技。日本の美しい風景を織りなす“瓦葺き職人”とは?

日本家屋の屋根を瓦(かわら)で覆う瓦工事のことを「瓦を葺く(ふく)」といいます。
日本の伝統建築に欠かせないだけではなく、現代の一般住宅にも広く普及している瓦ですが、その歴史は深く、588年頃の飛鳥時代に仏教とともに朝鮮半島から伝わったのが始まりといわれていて、以来、日本建築の建材として、その製法と施工技術は脈々と今日に継承されてきました。

「瓦」とひと口にいっても、その歴史と伝統を裏打ちするかのように、現在でも地域によって異なる色・形の特色をみることができます。
たとえば、能登半島の家屋によく見られる艶のある真っ黒な屋根瓦もそのひとつですし、沖縄でよく見られる独特の艶がある赤い色の瓦もそのひとつです。

先日発生した世界遺産「首里城」の火災は、業火を報じる映像に接し、沖縄の人だけでなく、全国で多くの人が心ふさがれる思いをした非常に残念な火災となりました。この「首里城」正殿に使用されていた「赤瓦」は、現在では再現不可能なものとされ、鎮火後に沖縄県琉球赤瓦漆喰(しっくい)施工協同組合が、県に保存と再利用の意義を申し出たことも話題になりました。

── いにしえから今日まで、一般家屋のみならず、神社仏閣や城郭においても、威厳と静寂を醸し出す(かもしだす)重要な構成要素のひとつになっている瓦。その地域特有の景観を生み出す文化財としての位置づけに加え、人々の生活をまもってきた瓦ですが、今回は瓦工事のスペシャリストである「瓦葺き職人(かわらぶきしょくにん)」にスポットをあててご紹介していくことにしましょう。

「瓦」とは、粘土を焼き上げた屋根材のこと

まずは、瓦葺き職人が美しく葺き並べていく瓦についてのご紹介から始めましょう。

屋根瓦として使用されている屋根材には「粘土瓦」「セメント瓦」「金属瓦」などがあり、材質や機能性によって多種多彩な種類に分類されています。

しかし実は厳密に「瓦」というと、元来は「粘土瓦」のことを指し、広辞苑には「瓦とは粘土を一定の形に固めて焼いたもの」と記述されています。したがって、この粘土瓦以外の瓦においては、瓦に材質名をつけた「~瓦」として呼称されることが多く、“瓦の形態をした屋根材”というイメージに近いといえるでしょう。

1400年の時を経て、いまだ現存する瓦の製法

元興寺 極楽坊本堂(国宝)

日本最古と言われる瓦が葺かれているのは、国宝であり、世界遺産に登録された奈良県の元興寺(がんごうじ/奈良県)です。

この元興寺の前身は飛鳥寺(596年完成)にさかのぼりますが、飛鳥寺の時代に使用されていた屋根瓦の約170枚が、現在の元興寺にそのまま引き継いで使われていることが、1943(昭和18)年から1961年の18年という長期間に行われた、大規模な解体修理によって確認されています。極楽坊本堂に使用されている古瓦は上部が細く、下部が幅広い独自の形が特長とされ、この瓦の葺き方は「行基葺(ぎょうきぶき)」といわれています。

約1400年にわたって雨風をしのぎ、家屋を守り続けた瓦……。悠久の時の中で実用されてきた瓦は、蘇我馬子が生きていたいにしえの技術の高さを実証するとともに、瓦の耐久性が優れている事実の裏づけにもなっています。こうした点も、国宝かつ世界遺産に登録された所以なのでしょう。

さらに、元興寺をはじめ、古来、日本で作られてきた粘土瓦は、現在は機械化による効率化、量産化が進んでいるものの、基本的な製法は変わっていません。ここからは、日本の瓦として継承されてきた「粘土瓦」についてご紹介していくことにしましょう。

【粘土瓦の生産方法】

①荒地(あらじ)づくり

瓦づくりに適した天然の粘土を適量の水を加えてよく練り、粘土の持つ粘り気を出すと同時に、粘土の成分を均一にして粘土中の空気を抜き、肌理(きめ)の細かい粘土生地(荒地)をつくる。

この工程は、粘り気・脱気・水分量によって、瓦の硬度が決まる重要な工程です。1915(大正15)年頃までは、すべての工程が人の手作業によって行われていましたが、徐々に機械化が進み、現在では1955(昭和30)年に開発された「※真空土錬機(しんくううどれんき)」が多く活用されています。

※真空土錬機 ➡ 真空の環境の中で粘土を練り合わせることによって、荒地づくりに必要な工程を一気に行える機械

②成形

荒地を成形機でプレスして、瓦の形に成形。

③乾燥

窯入れに適した水分量になるまで乾燥させる。乾燥の工程が終わったものを「素地(しらじ)」と言う。

④焼成(しょうせい)

その粘土の鉱物成分に最適な高温(1000~1250度)の窯で、長時間(10~35時間)焼く。

焼成の工程で特色が表現される、3つの粘土瓦

粘土瓦は、焼成の際に「釉薬(ゆうやく)」を使用するか否かによって「釉薬瓦」「無釉薬瓦」の2種類に、さらに「無釉薬瓦」も2種類に分類されて、計3種類に大別されます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

【釉薬瓦(ゆうやくがわら)】

釉薬を塗って焼き上げた瓦を「釉薬瓦」といいます。
釉薬は、釉(うわぐすり)ともいわれる珪酸(けいさん)化合物を主成分とした粘度のある液体で、これを塗って瓦を焼き上げると、瓦の表面に艶のあるガラス質の膜が形成されることにより防水性が発生。この防水効果で、瓦の劣化や汚れを防ぐことができます。
また、釉薬の種類によってさまざまな色合いや艶を調整できるため、デザイン性に富んでいる点も、釉薬瓦の特徴のひとつとされています。

焼成工程の区分が陶器と同じであることから、「陶器瓦」ともいわれる釉薬瓦ですが、古くの呼称は「瑠璃瓦(るりがわら)」でした。
瑠璃(るり)といえば……多くの人が瑠璃色をイメージするのではないでしょうか。この瑠璃色はラピスラズリのような紫がかった青色を指しますが、“ガラス・ガラス工芸品”の古称でもあり、“瑠璃でコーティングしてある瓦”という意味合いから「瑠璃瓦」と呼ばれたようです。

【無釉薬瓦】

釉薬を塗らずに焼き上げた瓦を「無釉薬瓦」といいますが、焼成工程の違いから「いぶし瓦」「素焼き瓦」の2種類に分類されます。それぞれの特長は以下の通りです。

●いぶし瓦

焼成の後に、「燻化(くんか)」といわれる、“燻す(いぶす/Smoked)”工程を加えた瓦が「いぶし瓦」です。
燻化とは、密閉された無酸素状態の窯に燃料を入れた際に瓦内部の酸素が奪われ、表面に炭素被膜が形成される仕組みを持つ製法で、独特の「サエ」といわれる光沢のある渋い銀色の瓦に仕上がります。
古くは燻化の燃料として松葉や松材をくべていぶしていましたが、窯の開発にともなって、1970年代頃からブタン、プロパンなどの炭化水素系ガスや水で希釈した灯油が使用されるようになります。また、いぶし瓦の魅力のひとつに、時を経るごとに生じる色ムラがあり、このムラが経年美の趣(おもむき)を醸し出す効果を生み出します。

●素焼き瓦

密閉して無酸素状態の窯で焼く「いぶし瓦」に対し、「素焼き瓦」は空気を遮断せず、1000度程度の低温で素焼きにすることで土の中の鉄分を酸化させ、独特の朱色(テラコッタ色)に仕上げる製法を指します。この製法でつくられた瓦は、沖縄や東南アジア、南欧の街並みでもよくみられますし、テラコッタと呼ばれる朱色に代表される素焼きの鉢植えも人気が高く、自宅で観葉植物を植えている人も多いことでしょう。

瓦葺き職人になるには?

瓦葺き職人になる第一歩は、親方瓦葺き職人への弟子入りして、アシスタント的な立ち位置にある「手元(てもと)」から始まるのが一般的です。もちろん、未経験であっても弟子入りはできますが、最近では、専門学校や職業訓練校で基本的な知識・技術を身につけてから、親方の下で修業を始める人が多い傾向にあるようです。

手元から一人前にステップアップするには、最低でも10年、屋根の形が反りや起り(むくり)※を特長とする神社仏閣・歴史的建造物のそれに携わるには、さらに長い年月の修業が必要といわれています。

10年、もしくは10年以上と聞くと、非常に長く感じられる修業期間となりますが、建築物を雨風からまもる安全性、機能性、耐久性はもちろん、美しさまで満たした緻密な施工が必要である特性に加え、施工作業は命の危険を伴う屋根の上といった高所で行う作業が多いことからも、納得の期間といえるでしょう。

※起り:破風(はふ)とも言われ、上方に対し凸型に湾曲した曲線・曲面を持つのなだらかな屋根のこと。数寄屋建築や茶室に多くみられる。これに対して凹になっている屋根は「反り(そり)」、または「照り(てり)」と言い、神社仏閣や城郭に多くみられる。

また、屋根の上以外でも、職人技が必要な場面は多くあります。

たとえば「合端(あいば)」や「合端合わせ」と言われる工程もそのひとつです。瓦は焼き物ですから、焼成の際に土の“ねじれ”が生じることから、完全に同じ規格に仕上げることは難しく、一枚一枚に微妙に色や反り、形が異なります。
ゆえに、瓦と瓦の接合面がぴったりと合わない場合や、屋根のカーブ・サイズに納まりが悪い場合に、現場で職人は瓦を削って、形を整える合端(あいば)と言われる加工作業を行う必要があります。その削り代(けずりしろ)は、単純な計算式で弾き出せるものではないため、これぞ職人の腕の見せどころ……といえる作業なのです。

こうしたさまざまな点から、経験値からでしか培えない多岐にわたる技能、技術、勘が必要とされる職業が、瓦葺き職人といわれる所以なのです。

瓦葺き職人めざす人が取得しておきたい資格

資格を取得していなくても瓦葺き職人にはなれますが、なにより顧客の立場になって考えれば、注文をする際の安心感につながる信用材料のひとつにもなるため、瓦葺き職人になるからには、資格を取得しておくことはマストな選択といえるでしょう。

瓦葺き職人にかかわる主な資格は「かわらぶき技能士」「瓦屋根工事技士」「瓦屋根診断技士」の3つ。
それぞれの概要は下記のとおりです。まずは資格の内容を確認し、自分が携わる仕事の特性から、どの資格を取得すればよいかを見極めるようにしましょう。

【かわらぶき技能士】

厚生労働省が管轄する技能検定制度のひとつである国家資格で、1級から3級の区分があります。
学科と実技の試験からなり、瓦葺きに関するその知識・技能を証明し、一度取得すれば有効期限はありません。

【瓦屋根工事技士】

瓦屋根工事の設計・施工・構法・品質管理などの知識を有する管理者であることを認定するこの資格は、国交省所管の一般社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が主催しており、5年ごとに資格の更新が必要です。
受験資格には3年以上の実務経験が必要であり、学科のみの試験となっていますが、その出題範囲は広く、学科難易度は3つの資格の中で一番高いともいわれています。

【瓦屋根診断技士】

中立な立場で瓦屋根の診断ができる技能を認定する瓦屋根診断技士。この資格は全瓦連が主催していて、5年ごとに資格更新が必要です。受験資格は全瓦連組合員であり、なおかつ「かわらぶき技能士(1級または2級)」「瓦屋根工事技士」の両資格を取得している必要があります。
試験は講習を受講した後の学科試験のみですが、この受験資格からもわかるように、瓦に関するスペシャリストの呼ばれるほど、広範囲かつ専門的な技能を有していることを証明する資格といって過言ではありません。

職人の腕を証明する「かわらぶき技能士」

上にご紹介した3つの資格の中から、今回は現場の職人にとって技能を証明するために有効な「かわらぶき技能士」の厚生労働省による受験概要をご紹介します。

表中に示した3級は、実務経験年数がなくとも受験できるだけでなく、この資格を取得すれば2級の実務年数免除の要件にも該当します。これまでこの業種にかかわりのない学業や業種に携わってきた人であっても、瓦葺き職人になるための第一歩として、非常に有効な資格であるといえるでしょう。

瓦葺き職人の必須アイテムは、地下足袋!

仕事の現場は平屋の日本家屋に限らないことが多い瓦葺き職人。ときには、地上数十メートルにおよぶ塔や建造物での作業もありますし、建物の構造によって立つことさえ難しい急傾斜の屋根で作業を行うこともあります。さらに、場所や高さを問わず、緻密な作業を行うことか多い瓦葺き職人にとって、最も重要だといわれている仕事着のひとつが「地下足袋」です。

地下足袋とは、布性の足袋にゴム底がついて親指と残り4指の二股に分かれているものを指し、作業労働用の足袋として、古くから農家や建設業で広く活用されてきました。

【地下足袋のメリット】

・足にフィットする
・布製であるために軽く、洗濯もしやすい
・ゴムが滑り止めの役割を果たす
・親指が独立しているので、つま先に力が入れやすく、地面をつかむように立てる
・足底がソフトであるため、接地面を傷つけにくい
・足底がよく曲がるため、しゃがむなどの体勢を整えやすい

建築現場に従事する職人も多く着用している地下足袋ですが、瓦葺き職人自身の場合も、滑落などの身の危険からまもるために地下足袋は重要な役割を果たすことになります。その理由は、しゃがむ、片足立ち、片膝を曲げる……といった繊細かつ柔軟な体勢の調整をとることが多い瓦葺き職人は、体重移動を容易にできることで、屋根の上での緻密な作業が行えることにつながるからです。

また、施工中の屋根はじめとする現場は、非常に繊細かつ危険な条件で成り立っていますが、立ち位置や体勢、歩く道筋を間違えることで、場合によっては瓦を葺く下地を傷付けてしまう、瓦が割れてしまうなどの要因によって、雨漏りが生じてしまう危険性もはらむことになります。そうしたリスクを回避するためにも、態勢を安定させる地下足袋は、とても有効な作業着のアイテムなのです。

“電動ファン内蔵上着”が、夏の屋外での仕事着として大注目!

山本寛斎プロデュースのワークギア(保冷剤の入るメッシュポケットや電動ファンを動かす電源つき長袖ジャケット)/メーカー大川被覆

近年は、夏の時期に命が危険にさらされるほどの猛暑が続いているめ、室内であってもエアコンなしで過ごすことは難しくなっています。そうした気象条件にもかからず、屋外での作業が主となる瓦葺き職人。建物の天辺(てっぺん)である屋根は想像以上に過酷な環境にあり、強い直射日光はもちろん、陽光の熱を吸収した瓦の表面温度は50~70度に達するともいわれます。頭上から、そして、足下から……。逃げ場のない高温にさらされながらの作業は、真夏の作業に慣れた熟練の職人であっても、脱水症状や熱中症になる可能性は否めませんし、最悪の場合、意識が朦朧(もうろう)として地上に落下してしまう危険性もはらもみます。このように瓦葺き職人は、過酷な環境下で長時間にわたって、細かな作業に従事することが当たり前とされてきました。

しかし近年、あるアイテムの登場によって、そうしたリスクが軽減されようとしていることをご存じでしょうか。それは、夏の屋外の現場で広く活用されるようになった「電動ファン内蔵上着(電動ファン付きウェア)」なのです。

ここ数年、屋外の作業に携わる人の間で話題になっている電動ファンが内蔵された作業服は、株式会社セフト研究所および、株式会社空調服の代表取締役会長 市ヶ谷弘司氏によって発明されたもの。2005年から商品名を「空調服」として本格的に販売が開始され、2014年には年間25万着以上もの売り上げをほこる大ヒット商品に!

※「空調服」は、株式会社空調服のブランド名として商標登録がなされています。〈出願人:セフト研究所/登録番号:第5715570号〉

そんな電動ファン内蔵上着のおおまかな仕組みは以下の通りです。
・バッテリーによって稼働する小型ファンを作業着内に取りつけている。
・服の内部に外気を送り込み、熱をこもらせない。
・肌表面に風を流すことにより、汗を気化させる。
・夏の暑い現場でも、涼しく快適に作業ができる。

この製品は、「液体が気体するときに周囲から熱を吸収する」という“気化熱”の作用に着目し、汗を気化することで涼しく感じる原理を応用したもの。例えば、入浴後の体が濡れた状態や、衣類が湿った状態のときに、寒さを感じるのもこの“気化熱”の作用によるものですが、体(肌)に水分(汗)が付着したときにその水分が体熱で気化する作用を、このウエアでは常に働かせていることになります。

興味深い点は、襟元まできちんとボタンをしめた状態で作業着内に取りつけられた小型ファンを稼働させると、衣類の中で生じた風の作用によって、風船のように上着が膨らむことがある点です。その仕組みを知らない人が、電動ファン内蔵上着を身に着けた人に街中で遭遇すると、顔は細面(ほそおもて)なのに、上半身だけ筋骨隆々とした人のようにも見えますし、真夏にウインドブレーカーを着ているような錯覚を覚えることも……。実はそのウエアの内側では先述した作用によって「快適な温度が保たれる」「職人の命や健康をまもる」「パフォーマンス維持向上」といった、さまざまな効果が発揮されているのです。

このウエアのヒットを受けて、他メーカーも同様のウエアの販売に参入。電動ファン内蔵上着の市場規模はいまや100億円を超えるといわれており、成長市場へと発展。そのため夏になると、街のあちらこちらでこのウエアを着用した人々の姿を見かけるようになりました。

過酷な暑さが続く夏の屋外で作業に従事する人々のニーズによって生み出されたこの画期的なウェア……。今後はさらに多くの現場で、さらに多くの人々に、活用される一着になることでしょう。

首里城再建を機にロストテクノロジー・赤瓦の人材育成を

世界に衝撃を与えた沖縄のシンボル「首里城」の火災。
一刻も早い再建が望まれますが、冒頭でもご紹介した通り、独自の土の配合と、一般的な焼成温度と異なる温度で強度を高め、表面に独特の艶を醸成させる赤瓦は、17世紀後半からつくられ続けた伝統的な建材ですが、2014年に逝去した瓦職人・奥原崇典氏なくして、今では再現不可能といわれるロストテクノロジーのひとつとされているのです。

故奥原氏は前回の首里城再建時、沖縄南部で採取できる鉄分を多く含んだ地域特有の「クチャ」といわれる泥岩を使用していたと伝えられており、氏は降雨量や日照時間等の条件によって変化するこの泥岩を“生き物”としてとらえていたとされています。さらに、酸化すると赤くなる特性を、長年にわたって培われた経験値によってコントロールしながら、酸化焼成と呼ばれる方法で焼き上げ、鮮やかな赤い瓦を誕生させたともいわれています。

──沖縄独自の赤瓦が生み出されまでの工程ひとつひとつに魂を込め、求められる規格水準に達するよう常に創意工夫を凝らしていた──。そうしたエピソードが今に伝えられていることからも、赤瓦の製造がとても困難であるかが想像できます。

そして、このたびの火災で消失した建物に使用されていた赤瓦の枚数は数十万枚におよぶとされていて、再建に必要な瓦をすべて刷新すると仮定した場合、約33万枚が必要となるという試算も発表されています。とはいえ瓦は焼き物。焼成の際に土の“ねじれ”が生じる特性があり、同じ規格に完全に仕上げることは難しいことから、規格にそわないものも含めると、約50万枚の瓦が必要になるともされています。こうした点から、このたびの首里城再建を機に、後継者がいないとされる赤瓦職人の人材育成を願っている人も多いことでしょう。

首里城の再建においては、瓦のみならず、さまざまなディテールで困難を要する再建になることが明らかにされていますが、沖縄の強い陽光に照らされたウチナーンチュのシンボルが、威風堂々、見事に復活する日の到来を心から祈るとともに、沖縄独自の瓦の文化を、ぜひとも次世代に継承してほしいものです。

── 伝統的な技能に裏打ちされた瓦葺き職人が葺く屋根は、美しい日本の風景を織りなし、家屋を雨風からまもり、見る者・住む者にいににしえの時代から安らぎを与えてきました。

今回ご紹介した通り、屋根の形、瓦の材質、焼成技術……はじめ、瓦一枚一枚に地域文化を表す個性が息づいていますが、それら個性や特性に対峙し、過酷な環境下で緻密な作業を要する瓦葺きは、たとえ熟練の職人であっても、一筋縄ではいかないことが多い“面白み”に満ちた、深遠な世界であることがおわかりいただけたでしょうか。

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