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電気機器組立て技能士とは?資格取得の方法や活かせる職業は?

電気機器組立て技能士は、国家検定である技能検定の一つです。技能検定は実作業をもとに習熟レベルを評価する試験です。電気機器組立て技能士という資格や試験などについて解説していきます。

「電気機器組立て技能士」は国家資格

技能検定の一つである電気機器組立て技能士の試験の概要などについて解説していきます。

「電気機器組立て技能士」の試験の概要

電気機器組立て技能士とは、130の職種に設けられた国家技能検定制度による資格の一つで、仕事に必要とされる技能の習得レベルを評価するものです。特級・1級~3級の級があり、学科試験と実技試験に合格すると「○級電気機器組立て技能士」と名乗ることができます。特級は管理・監督者向けの資格で、1級は上級技能者、2級は中級技能者、3級は初級技能者が取得するべき技能を評価するものです。

技能検定は厚生労働省の定めた実施計画にもとづいて実施され、都道府県職業能力開発協会が実施する職種と民間の指定試験機関が実施する職種があります。電気機器組立て技能士の試験の実施機関は都道府県職業能力開発協会で、受検の申し込みや試験の実施、合格発表などを行っています。試験問題の作成を行うのは中央職業能力開発協会です。

「電気機器組立て技能士」で設けられている級や作業

電気機器組立て技能士には数種類の作業があり、特級以外はいずれかを選択して受検することが可能です。ただし、作業によって設定されている級には違いがあります。「回転電機組立て作業」と「変圧器組立て作業」、「開閉制御器具組立て作業」、「回転電機巻線製作作業」は1・2級が設けられています。「配電盤・制御盤組立て作業」と「シーケンス制御作業」には1~3級の試験が実施されます。

「電気機器組立て技能士」に合格すると?

技能検定の合格者へは、特級と1級は厚生労働大臣名による合格証書が交付されます。2・3級の合格者は都道府県知事名、あるいは指定試験機関名による合格証書の交付とされています。また、厚生労働大臣から各等級の技能士章が交付されます。

「電気機器組立て技能士」の対象となる職業は?

電気機器組立て技能士の電気機器とは、回転電機や変圧器、配電盤、制御盤などの産業用電気機器のことです。電気機器組立て技能士は、産業用電気機器の組み立てや検査、メカニズム系の調整を行う職業を対象とした資格です。

配電盤とは、高圧の電気を低圧に変圧して配分する機器です。制御盤は機械や設備を電気制御するためのものです。シーケンサーとは、「シーケンス(=順番)」を制御するためのコントローラーをいいます。

「電気機器組立て技能士」の受検資格

電気機器組立て技能士などの技能検定は級ごとに受検資格が設けられています。3級の受検には実務経験が必要ですが、期間は特に決められていません。2級は3級に合格しているか、職業に関する学科を置く専門高校の電気科や電子科、専修学校、短大や高専、大学卒業の学歴がある人、あるいは実務経験が2年以上ある人が受検資格があります。1級は、3級合格後4年、あるいは2級合格後2年の実務経験で受検できるほか、学歴ごとの実務経験による受検資格が設けられています。1級の受検には、実務経験のみの場合は7年、専門高校や専修学校を卒業している場合は6年、短大や高専を卒業している場合は5年、大学を卒業している場合は4年の実務経験が必要です。また、1~2級には各種学校の卒業や職業訓練の修了による受検資格も設けられています。そして、特級の受検には1級合格後、5年以上の実務経験が必要です。

つまり、1級や2級は下位の級を取得せずに受検することも可能ですが、特級は1級を取得してさらに実務経験を積んだ後にしか、受検することはできません。2級の取得によって1級の受検に必要な実務経験の年数が短縮され、一般的に2級以上取得が評価されることから、まずは2級電気機器組立て技能士の取得をめざしましょう。

「電気機器組立て技能士」の試験とは

電気機器組立て技能士には学科試験と実技試験があり、両方への合格が必要です。実技試験と学科試験のいずれかに合格した場合は、次回以降は不合格となって方のみの受検となります。ただし、特級については、合格した方の試験が免除となるのは5年以内です。

「電気機器組立て技能士」の学科試験

電気組立て技能士の1・2 級の学科試験は真偽式と多肢択一式の問題がそれぞれ25問ずつの全50問です。特級は多肢択一式50問で、3級は真偽式30問となっています。

電気機器組立て技能士の1~3級の学科試験は、共通科目と作業ごとの選択科目があります。共通科目は、「電気機器組立て一般」、「電気」「製図」、「機械工作法」、「材料」、「関係法規」、「安全衛生」です。作業による選択科目は、回転電機組立て作業は「回転電機組立て法」、変圧器組立て作業は「変圧器組立て法」、配電盤・制御盤組立て作業は「配電盤・制御盤組立て法」、開閉制御器具組立て作業は「開閉制御器具組立て法」、回転電機巻線作業は「回転電機巻線製作法」、シーケンス制御作業は「シーケンス制御法」です。

特級の学科試験の科目は「工程管理」、「作業管理」、「品質管理」、「原価管理」、「安全衛生管理及び環境の保全」、「作業指導」、「設備管理」、「電気機器組立てに関する現場技術」となっています。

「電気機器組立て技能士」の実技試験

技能検定の実技試験には、製作等作業試験と判断等試験、計画立案等作業試験という種類があり、このうちのいずれか、あるいは複数が設定されています。製作等作業試験は制限時間内に、製作や組立て、調整などを作業を行う試験です。製作等作業試験には試験時間と打切り時間が決められています。制限時間や職種や作業、級によって異なり、1時間半程度のものから6時間にも及ぶ試験もあります。判断等試験や計画立案等作業試験は、実際の現場の物や現場の状態、状況などの説明文などから、判別や判断を行ったり、測定や計算などを実施したりする試験です。

実技試験の試験内容の概要は、前期に試験を実施する職種は3月初旬頃、後期の職種は9月初旬頃に公表されています。

令和元年度(平成31年度)の実施状況では、電気機器組立て技能士の1~3級の実技試験は、回転電機組立て作業と変圧器組立て作業、シーケンス制御作業の1~2級は、製作等作業試験と計画立案等作業試験が実施されています。変圧器組立て作業と配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業、シーケンス制御作業の3級は製作等作業試験のみです。特級の実技試験は計画立案等作業試験となっています。

一例としてシーケンス制御作業の2級の試験内容を挙げると、製作等作業試験は「指示された仕様にもとづいて配線作業を行い、回路を完成させた後、プログラマブルコントローラ(PLC)にプログラムを入力し作動させる」という問題で、試験時間は2時間10分、打切り時間は2時間30分です。計画立案等作業試験は「プログラマブルコントローラ(PLC)のプログラミングとシステム設計に関することについて行う」という問題が出題され、試験時間は1時間でした。

「電気機器組立て技能士」の合格基準や難易度

電気機器組立て技能士の試験はいずれも100点を満点で、原則として学科試験は65点以上、実技試験は60点以上が合格基準とされています。難易度は特級や1級の合格は簡単ではありませんが、2~3級は比較的取得しやすい資格と位置づけられています。

「電気機器組立て技能士」の試験日程

技能検定は職種ごとに前期と後期の日程で試験が実施されます。学科試験は職種や作業、級ごとに全国で統一された試験日が設定されています。実技試験は期間実施で、定められた期間内で都道府県職業能力開発協会が指定した日に行われます。毎年、3月上旬に翌年度の試験実施スケジュールが公表されますので、ホームページなどで確認しましょう。

令和元年度のスケジュールでは、前期に実施されたのは回転電機組立て作業と変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業の1・2級、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業でした。学科試験は9月8日、製作等作業試験は6~9月の期間実施で、回転電機組立て作業と変圧器組立て作業の計画立案等作業試験も9月8日に行われました。

後期に実施されたのは、配電盤・制御盤組立て作業の3級とシーケンス制御作業、特級です。配電盤・制御盤組立て作業の3級とシーケンス制御作業の学科試験は1月26日、製作等作業試験は12~2月の期間実施で、シーケンス制御作業の計画立案等作業試験も1月26日に実施されています。特級は学科試験と実技試験の計画立案等作業試験のいずれも、2月2日に実施されました。

「電気機器組立て技能士」の試験の申し込み方法

では、電気機器組立て技能士を受検するには、いつどこに申し込みを行えばよいのでしょうか。電気機器組立て技能士など技能検定の申し込み方法や、大まかなスケジュールをまとめました。

電気機器組立て技能士の試験の申し込みの流れ

電気機器組立て技能士の試験を受検するには、試験の実施団体である都道府県職業能力開発協会へ申し込みを行います。

まず、受検する都道府県の都道府県職業能力開発協会から受検申請書を取り寄せます。受検申請書に必要事項の記入を行い、指定された枚数の写真を貼ります。写真は6ヵ月以内に撮影した正面脱帽半身像に限られます。また、学科試験受検手数料3,100円と実技試験受検手数料17,900円を指定した期日までに納付します。そして、都道府県職業能力開発協会に受付期間内に郵送、または持ちこみによって提出する流れです。

詳しい申し込み方法は、都道府県職業能力開発協会に問い合わせをしましょう。

電気機器組立て技能士の試験の大まかなスケジュール

電気機器組立て技能士の試験は作業や級により、前期と後期に分けて実施されます。前期に実施される作業や級は、実施公示が前年度の3月上旬に行われ、受検申請の受付が行われる期間は4月上旬~4月中旬です。実技試験は 6月中旬~9月上旬の間に実施され、学科試験は7月末~9月上旬の間の統一した試験日に行われます。合格発表は3級は8月末、そのほかの級は10月上旬です。後期は実施公示が9月上旬で、受検申請の受付期間は10月上旬~10月中旬です。実技試験は11月下旬~2月下旬の間に実施され、学科試験は1月末~2月中旬の間の統一した試験日に行われます。合格発表は3月中旬です。

詳しいスケジュールは前年度の3月上旬に発表されますので確認しましょう。

「電気機器組立て技能士」の試験の勉強方法

学科試験は参考書や問題集を活用するとともに、過去問題を繰り返し解くことで理解度を深めていくことが大切です。電気機器組立て技能士の試験の過去問題は、前年度分などは中央職業能力開発協会のホームページにも掲載されています。

製作等作業試験は減点方式での採点となるため、制限時間内に課題を完成させられるように練習を繰り返すとともに、時間配分を適切に行うことと、減点項目を知っておくこととポイントになります。シーケンス制御作業など作業や級によっては、通信講座や講習会が開講されていますので、活用することも考えてみましょう。

「電気機器組立て技能士」を取得するメリット

電気機器組立て技能士を取得すると、技能レベルを証明する手段になるだけではなく、ほかの資格を取得する際に受験資格を得られるといったメリットもあります。

職業訓練指導員試験の受験資格や試験の免除

職業訓練指導員は、国や都道府県が設置した公共職業能力開発施設や事業主などが設置した認定職業訓練施設で訓練指導を担い、テクノインストラクターとも呼ばれています。技能検定の取得によって、級を問わず職業訓練指導員試験の受験資格が得られます。また、1級と2級は実技試験が免除され、1級は学科試験のうち関連学科の試験が免除となります。電気機器組立て技能士の場合、受験資格や試験の免除がうけられるのは、電気科の職業訓練指導員試験です。

職長教育の免除

電気機器組立て技能士など技能検定で特級を取得すると、「労働安全衛生法第60条の規定に基づく職長等に対する安全又は衛生のための教育事項」の全部を省略することができます。

労働安全コンサルタント試験の受験資格

労働安全コンサルタントは、労働者の安全水準の向上のため、労働環境の安全性の診断や、責任者への指導や計画策定を行う役割を担う国家資格で、士業の一つです。労働安全コンサルタント試験に合格し、厚生労働大臣の指定登録機関である公益財団法人安全衛生技術試験協会に登録すると、労働安全コンサルタントとして活動することができます。電気機器組立て技能士など、技能検定のうち対象職種の1級に合格すると、労働安全コンサルタント試験の受験資格を得られます。

作業環境測定士試験の受験資格

作業環境測定士は有害業務を行っている現場で、有害物質などの測定を行う国家資格です。作業環境測定士には、第1種作業環境測定士と第2種作業環境測定士という資格があります。第1種作業環境測定士は、鉱物性粉じんや放射性物質、特定化学物質、金属類、有機溶剤の5種類の区分のうち、登録を受けた区分の作業環境測定の業務の全てが行える資格です。第2種作業環境測定士は作業環境測定の業務のうち、デザインやサンプリング、簡易測定器を用いた分析や解析ができる資格になります。作業環境測定士になるには、国家試験に合格した後、登録講習を修了して、作業環境測定士として登録することが必要です。

電気機器組立て技能士などの技能検定のうち対象職種の1・2級に合格後に、労働衛生に関する1年以上の実務経験があると、作業環境測定士の国家試験の受験資格を得られます。

技能レベルを証明できる

電気機器組立て技能士の取得は技能レベルを証明する手段となり、会社によっては、昇給や資格手当といった形で給与にも反映します。また、企業にとっては従業員が高い技能を習得していくことで、製品の品質の向上に貢献することが期待できます。また、電気機器組立て技能士が在籍することは、顧客に対して高い技術力を証明する手段としても有効であり、企業ブランドのイメージ向上にも役立ちます。

まとめ

電気機器組立て技能士の資格取得を通じて、体系的な知識を身につけられるとともに、技能レベルを示すことができます。技能の習熟度に応じた級の電気機器組立て技能士を取得し、スキルアップを図っていくことが望ましいです。担当業務によっては電気機器組みたて技能士以外にも機械保全技能士や電子機器組立て技能士など、関連する資格の取得も目指しましょう。

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