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製造業の工場への転職・就職におすすめの資格は?取得の難易度は?

「未経験歓迎!」の募集が目立つ製造業の工場の仕事。しかし、製造業では企業にもよりますが、担当する業務に関連する資格を取得すると、資格手当が支給されることがあります。また、取得する資格によっては、製造業の工場への就職や転職に有利になります。そこで今回は、製造業でおすすめの資格について、概要や難易度を紹介していきます。

「溶接」に関連する資格

溶接関係の資格は数多くあります。一定の溶接の業務に携わるのに必須となる国家資格のほか、技術レベルを示す民間資格も設けられています。

アーク溶接作業者(アーク溶接特別教育)

アーク溶接工として働くには、アーク溶接特別教育の受講によってアーク溶接作業者を取得するのが必須であり、溶接の入門資格と位置付けられています。アーク溶接による災害を防止するため、労働安全衛生法などによって、事業者はアーク溶接に携わる労働者に対して、アーク溶接等特別教育を実施することが義務付けられているためです。

アーク溶接特別教育の難易度は低く、3日間の学科11時間と実技10時間の講習を受講することで取得することが可能です。

ガス溶接技能者(ガス溶接技能講習)

ガス溶接技能者も溶接の入門資格と位置付けられている資格で、ガス溶接技能講習の受講によって取得できます。労働安全衛生法にもとづく労働安全衛生規則において、可燃性ガスや酸素を用いる金属の溶接や溶断、加熱に関わる業務に携わるには、ガス溶接技能講習の修了が義務付けられています。

2日間で学科8時間、実技5時間の講習を受講して、学科の修了試験に合格によって取得することが可能です。修了試験は講習内容をもとに出題されるため、ガス溶接技能講習も取得の難易度は低いです。

アルミニウム溶接技能者

アルミニウム溶接技能者は、一般社団法人軽金属溶接協会によるアルミニウム溶接技能者評価試験の合格によって取得できる民間資格です。アルミニウム溶接技能者は、アルミニウム溶接は自動化できないものもあることなどから、自動車関連の工場などでニーズの高い資格です。

アルミニウム溶接技能者には基本級と専門級が設けられています。受験資格は15歳以上で、基本級は1ヵ月以上、専門級は3ヵ月以上の実務経験が必要です。専門級の受験には基本級の取得が必要ですが、同時受験をすることもできます。基本給、専門級ともに学科試験と実技試験があり、実技試験はティグ溶接とミグ溶接に分かれ、さらに材料や溶接姿勢などによって細分化されています。

アルミニウム溶接技能者の取得には学科試験と実技試験の合格が必要ですが、難易度は比較的平易とされています。

溶接技能者

一般社団法人日本溶接協会による溶接技能者の資格は、JISやWESなどの検定試験規格にもとづいて実施される評価試験に合格することで取得できる民間資格です。

溶接技能者の資格は、対象材料と溶接方法によって区分されています。「手溶接(アーク溶接)」、「手溶接(ガス溶接)」、「半自動溶接」、「ステンレス鋼溶接」、「チタン溶接」、「プラスチック溶接」、「銀ろう付」「すみ肉溶接」、「基礎杭溶接」、「石油工業溶接」という資格の種類があります。さらに溶接方法や溶接姿勢、材料の種類や厚さなどによって細分化されていて、基本級と専門級あるいは1級、2級という級が設けられている資格もあります。

受験資格は「手溶接」と「半自動溶接」、「ステンレス鋼溶接」、「チタン溶接」、「プラスチック溶接」の場合をみていくと、15歳以上で基本級は1ヵ月以上の実務経験が必要です。専門級の受験には、3ヵ月以上の実務経験と対応する基本級の取得が必要となっています。

評価試験は資格によって、学科試験と実技試験が行われるものと、実技試験のみのものに分かれます。溶接技能者の合格率は年度によって、70%台半ば~後半を推移しています。

溶接作業指導者

溶接作業指導者も、一般社団法人日本溶接協会による民間資格です。溶接作業の指導や管理、溶接技術の向上のための指導を担う作業指導者に向けた資格となっています。溶接作業指導者は、溶接技能者と溶接管理技術者の中間として位置付けられる資格で、手溶接や半自動溶接の指導を担う、職長や班長クラスの取得が想定されています。

溶接管理指導者の受験資格は、満25歳以上で保有する資格による要件も設けられています。溶接作業主任者の資格は、講習会の受講と筆記試験の合格によって取得できます。

溶接管理技術者

溶接管理技術者は、溶接に関する技術や知識、施工や管理における職務能力を認定する資格です。溶接管理技術者は一般社団法人日本溶接協会による民間資格ですが、工場認定や官公庁における工事発注で必須となる資格とされています。

溶接管理技術者には特別級、1級、2級があり、学歴や実務経験、下位級の取得による受験資格が設けられています。いずれも筆記試験と口述試験による評価試験が行われます。ここ数年の合格率は特別級は20%前後、1級は20%台~30%台、2級は50%台半ば~60%台半ばとなっています。

ガス溶接作業主任者

ガス溶接技術者は国家資格で、数多くある溶接関係の資格の中でも上級資格に位置付けられています。アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を用いる金属の溶接や溶断、加熱の作業を実施する際には、ガス溶接作業主任者免許の有資格者からガス溶接作業主任者を選任することが義務付けられています。ガス溶接作業主任者は、特に自動車工場や造船所、鉄工所などでニーズのある資格です。

ガス溶接作業主任者の試験には受験資格がありません。ただし、ガス溶接作業主任者免許の申請にあたっては、実務経験や学歴などによる要件が設けられています。たとえば、ガス溶接技能講習を修了したガス溶接技能者は3年以上の実務経験が必要です。

2019年(令和元年)度の試験の合格率は89.4%と高めであることから、比較的取得しやすい資格といえます。

ボイラー溶接士

ボイラー溶接士は、ボイラーや圧力容器への溶接の業務に携わるために必要な国家資格です。ボイラー溶接士には普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士の2種類の資格があり、対応できる作業範囲が異なります。

ボイラー溶接士の試験には受験資格が設けられていて、普通ボイラー溶接士はガス溶接と自動溶接を除く、1年以上の溶接経験が必要です。特別ボイラー溶接士は、普通ボイラー溶接士免許の取得後に、1年以上のボイラーまたは第一種圧力容器の溶接の実務経験が必要となっています。

普通ボイラー溶接士と特別ボイラー溶接士の試験には学科試験と実技試験があります。令和元年度の合格率は普通ボイラー溶接士は59.3%、特別ボイラー溶接士は70.3%です。

「フォークリフト」に関連する資格

フォークリフトは工場内での資材や製品の運搬、トラックへの積み込みといった軽作業に欠かせません。そのため、フォークリフトの運転資格の有資格者には一定のニーズがあります。

工場をはじめ、物流倉庫などの事業所内でフォークリフトの運転操作を行うには、フォークリフト運転業務に関わる特別教育、またはフォークリフト運転技能講習の修了が必要です。資格によって運転操作が行えるフォークリフトの最大積載荷重が異なります。

フォークリフト運転技能講習やフォークリフト運転業務に関わる特別教育」は労働安全衛生法による国家資格であり、道路を走行するには道路交通法にもとづいた運転免許が必要です。

フォークリフト運転業務に関わる特別教育

フォークリフト運転業務に関わる特別教育は、最大積載荷重1トン未満のフォークリフトの運転操作を行える資格です。18歳以上であれば受講が可能であり、学科6時間、実技6時間の講習を受講することで取得できるため、難易度は低いです。

フォークリフト運転技能講習

フォークリフト運転技能講習を修了すると、最大積載荷重1トン以上のフォークリフトを含む運転操作が行えるようになります。一般的にフォークリフトの免許と呼ばれているのは、フォークリフト運転技能講習修了証のことです。また、工場や倉庫でフォークリフトに関する有資格者としてニーズが高いのも、フォークリフト運転技能講習の方になります。

フォークリフト運転技能講習も18歳以上であれば受講することができます。フォークリフト運転技能講習は学科11時間、実技24時間の合計35時間です。ただし、自動車運転免許を取得している場合や、フォークリフト運転業務に関わる特別教育の修了後に一定の運転経験がある場合には一部の講習の免除を受けることができます。

フォークリフト運転技能講習には修了試験がありますが、難易度は低いとされています。

危険物取扱者

危険物取扱者は国家資格で、一定以上の危険物の貯蔵や取り扱いを行う工場や石油貯蔵タンク、ガソリンスタンド、タンクローリーなどで有資格者の配置が義務付けられています。工場関連では、化粧品や薬品、塗料、燃料関連のメーカーなどの化学工場、化学物質を貯蔵する倉庫などでのニーズがあります。

危険物取扱者には取り扱える危険物の範囲によって、甲種・乙種・丙種という種類が設けられています。甲種はすべての危険物、乙種は第1類から第6類のうち免許を取得した類の危険物の取り扱いと定期点検、保安の監督ができる資格です。丙種はガソリンや灯油、軽油、重油といった特定の危険物の取り扱いや定期点検を行える資格になります。

乙種と丙種は誰でも受験が可能ですが、甲種は受験資格が設けられています。大学などで化学を学んでいるなど学歴による要件のほか、乙種の免状の交付を受けた後2年以上の実務経験がある、あるいは乙種で指定の4種類の免状の交付を受けているといった要件のいずれかを満たす必要があります。

危険物取扱者試験の2020年(令和2年)度の合格率は、甲種42%、乙種の1類69%、2類69.9%、3類66.2%、4類42.3%、5類68.1%、6類64.1%、丙種53.2%です。乙種のなかで4類の合格率が低いですが、受験者が多いことが要因として挙げられます。また、先にほかの類を取得してからほかの類を受験すると科目免除を受けられるため、先に受ける人が多い4類の合格率が低いとも考えられます。

丙種は比較的難易度が低く、乙種も物理や化学に苦手意識がなければ、勉強に取り組みやすく、難易度も高くないと位置付けられています。一方、甲種は比較的難易度の高い資格です。

有機溶剤作業主任者

有機溶剤作業主任者は、アルコールやベンゼン、シンナー、トルエンといった有機溶剤を取り扱う工場などの現場で、有資格者の選任が義務付けられている国家資格です。

有機溶剤作業主任者は、主に作業方法の決定と作業者への指示を行う役割を担います。また、排気装置や換気装置の点検、有機溶剤を使用する業務に使う保護具の使用状況の監視、タンク内作業の中毒防止のための措置の確認といった業務も行います。

有機溶剤作業主任者の資格は、有機溶剤作業主任者技能講習の12時間の講習を受講して、修了試験に合格することで取得できるため、難易度は低いです。実際に有機溶剤作業主任者として活躍するには、工場で有機溶剤作業主任者に選任される必要があります。

有機溶剤作業主任者の資格を取得しているだけで、転職が有利になるとは言い難いですが、有機溶剤を扱った経験はアピール材料となります。また、危険物取扱者を取得していると、対応できる仕事の幅が広がるため有利です。

第一種衛生管理者

衛生管理者は事業場で労働者の労働災害や健康障害の発生を防ぐため、労働環境を整備する役割を担う国家資格です。業種を問わず常時50名以上を雇用する事業場では、衛生管理者などの有資格者の中から、労働者の数に応じた人数の衛生管理者を選任し、衛生委員会を設置することが義務付けられています。製造業でもバックオフィス部門の転職で、衛生管理者の取得は有利となります。

ただし、衛生管理者には第一種衛生管理者と第二種衛生管理者がありますが、第二種衛生管理者が配置できるのは、有害業務と関連の少ない業種の事業場のみです。製造業においては第一種衛生管理者の配置が必要になるため、製造業で資格を活かすには、第一種の取得を目指す必要があります。また、有害ガスや粉じんを発散する工場では、衛生管理者のうち1名は衛生工学衛生管理者免許の有資格者から選任することが義務付けられています。

第一種衛生管理者や第二種衛生管理者には、同一の受験資格が設けられています。主だったものとして「大学や短期大学、高等専門学校を卒業し、労働衛生の実務経験1年以上」、「高校を卒業し、労働衛生の実務経験3年以上」、「労働衛生の実務経験10年以上」といったものがあり、いずれかを満たすことが必要です。

令和元年度の第一種衛生管理者試験の合格率は46.8%で、第二種衛生管理者の55.2%よりもやや低めです。とはいえ、第一種衛生管理者試験は難関資格ではなく、十分な対策を行えば合格できるとされています。

「CAD」に関連する資格

CADとは、コンピューターによって製図や図面の作成作業を行うシステムをいいます。CADが用いられるのは主に製造業と建設業です。製造業では電化製品や精密機械、輸送機械のほか、アパレルメーカーでも取り入られるなど、幅広い製品の設計にCADが使われています。

CADでの担うCADオペレーターは必ずしも資格を必要とする仕事ではありません。しかし、CADに関する知識やスキルを証明する手段として、資格の取得は有効です。

CAD利用技術者試験

CAD利用者技術者試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会による検定試験で、CADの資格の中でも知名度が高いのが特長です。

3次元CAD利用者技術試験は1級・準1級・2級があり、自動車メーカーや機械メーカーの設計者や設計補助を対象としています。2次元CAD利用者技術試験には1級・2級・基礎が設けられていて、1級は機械・建築・トレースの区分が設けられています。

3次元CAD利用者技術試験の1級と準1級を受験できるのは、2級の有資格者ですが、同時受験することも可能です。2次元CAD利用者技術試験の1級の受験を受験できるのは、2級または1級の有資格者になります。

2020年前期の合格率は、3次元CAD利用者技術試験の1級27.2%、準1級60.18%、2級73.75%です。

まとめ

製造業は未経験で特別な資格を持っていなくても就ける仕事もありますが、資格を取得することで対応できる仕事の幅が広がります。ただし、製造業の中の業種や担当する業務によって活かせる資格は異なります。有利な条件での就職や転職、あるいはキャリアアップを目指すために、業務に関連する資格の取得を目指しましょう。

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