クリーニング工場の仕事内容とは?アルバイトの求人の時給は?
2020.10.27スーツやコート、ダウンジャケット、あるいは学校の制服のお手入れなど、クリーニングは私たちの生活に欠かせないものです。クリーニング工場は、クリーニング店に出された衣類のクリーニング処理を行っているところになります。そんなクリーニング工場で働くと、どのような仕事を担うことになるのでしょうか。
クリーニング工場の仕事内容やアルバイトやパートの時給、クリーニングの種類などについて紹介していきます。
クリーニング工場のアルバイトやパートの仕事内容
クリーニング店でお客様から預かった衣類は、専用の車でクリーニング工場に運ばれ、クリーニングを終えた後、店舗に配送してお客様に引き渡されます。クリーニング工場では、一般的に次の流れで作業が行われています。スタッフは通常いずれかの工程を受け持ちますが、いくつかの工程を兼任することもあります。
集配
決められた時間に専用の車で系列のクリーニング店をまわり、お客様から預かった衣類を積んで工場に運び、荷下ろしをします。また、反対に工場でクリーニングを終えた衣類を店舗に運びます。1日4便程度、店舗をまわるのが一般的です。クリーニング工場の集荷の仕事は、基本的に毎日同じ店舗をまわるルート配送になります。
検品・仕分け
店舗でお客様から衣類を預かる際にも検品を行っていますが、工場でも再度検品を行います。検品の際には生地の破れや糸のほつれ、シミの有無、ボタンの状態、ポケットの中などを確認します。
生地の破れや糸のほつれのある状態でそのままクリーニングをしてしまうと、範囲が広がって衣類が傷んでしまう可能性があるためです。ボタンのゆるみは、紛失につながるケースがあります。機械に当たると傷つく恐れがあるボタンは一旦外したり、アルミホイルで巻いたりするといった処置を行います。
また、ポケットの中にモノが入った状態でクリーニングしてしまうと、紛失を巡るトラブルにつながることや機械のトラブルを招くことが懸念されます。特にボールペンが入ったまま入った状態でクリーニングをしてしまうと、一緒に洗濯した衣類にまでインクが付着してしまうことがあるため、注意が必要です。
店舗で発見できなかった生地の破れや糸のほつれなどがあった衣類はは、お客様に一度確認をとってから、次の工程に進みます。検品をした衣類は素材や色、洗い方、汚れなどによって仕分けを行います。
前処理
汚れがひどい衣類は汚れが落ちやすくなる処理やシミ抜きを行っておきます。
洗浄
クリーニングでの洗浄方法は、ドライクリーニングやウェットクリーニング、ランドリークリーニングという種類に大別できます。大型洗濯機で、素材に合わせた洗剤や洗い方を用いて洗浄します。
シミ抜き
洗濯機による機械洗いでは落ちないシミはシミ抜き行います。シミ抜きは、シミの原因となった汚れの性質に応じて、油性のシミの処理を行った後、水性のシミの処理をして、漂白をする流れです。
乾燥
衣類に合わせて、自然乾燥または立体乾燥などの機械乾燥で乾かします。
仕上げ
仕上げは衣類の形を復元していく工程です。主にプレス機を用いて行い、プレス機では対応できない衣類は蒸気アイロンで仕上げていきます。プレス機には、ワイシャツ用プレス仕上機や立体ボディ仕上機、カラー・カフス仕上機、ズボンプレス機といった種類があります。
点検
クリーニングを終えた衣類の汚れの落ち具合いやボタンなどの付属品の状態など、仕上がりをチェックします。
包装・仕分け
ビニール包装機で包装をして、店舗ごとに仕分けを行います。
クリーニング工場の社員の仕事内容
クリーニング工場ではマネージャーや生産管理スタッフなど、正社員の求人もあります。クリーニング工場はアルバイトやパートスタッフが多くを占めているのが一般的で、正社員はマネジメントを担うポジションでの募集が中心です。正社員はアルバイトやパートスタッフのシフトの作成、作業工程の管理、スタッフの教育などを行うほか、工場の現場での作業も担うケースもあります。また、工場によっては機械のメンテナンスも担当します。
クリーニングの種類とは?
クリーニング工場で取り扱うクリーニングは、主に次に挙げる4種類に分けられます。
ドライクリーニング
一般的にクリーニングと呼ばれているのはドライクリーニングのことを指します。ドライクリーニングは水を使わずに、石油系溶剤と塩素系溶剤のパークロルエチレンのいずれかと界面活性剤を使用して、衣類を洗浄する方法です。石油系溶剤の方が衣類を傷めにくいですが、塩素系溶剤のパークロルエチレンの方が洗浄力が強いです。
ドライクリーニングは、油性の汚れを落としやすい洗浄方法で、繊維の負担が抑えられ、色落ちや型崩れが起きにくいのが特長です。ただし、ドライクリーニングでは汗などの水溶性の汚れは落ちにくいのが難点です。ドライクリーニングは水洗いができないカシミヤやウールなどの素材を使った衣類や、型崩れがしやすいスーツなどに向いています。
ウェットクリーニング
ドライクリーニングでは水溶性の汚れは落ちにくいことから、洗濯表示でドライマークがついた本来水洗いできない衣類を特殊な洗剤を使って水洗いする洗浄方法です。ドライクリーニングの後にウェットクリーニングを行うこともあります。
ランドリークリーニング
ランドリークリーニングは、高温の水と洗剤、洗浄力を高めるためのアルカリ剤や漂白剤、酵素などを用いて、大型のドラム式洗濯機で洗浄する方法です。洗浄後は糊づけした後、高温でプレスして仕上げます。ランドリークリーニングはワイシャツや作業服、白衣、シーツ、布団カバーなどのクリーニングに向いています。一方で高温でのプレスができないデリケートな素材の衣類には向いていません。
特殊クリーニング
ドライクリーニングやウェットクリーニング、ランドリークリーニングでは対応できない衣類のクリーニングは、特殊クリーニングという扱いになります。毛皮や皮革、着物などが対象となり、それぞれ特殊な方法で洗浄などが行われます。
クリーニング工場のアルバイト・パートの時給は?
クリーニング工場のアルバイトやパートの時給は、首都圏の場合は900円台~1,000円強が一般的です。これは都道府県ごとに決められている最低賃金に近い水準です。
18時以降も操業している工場の場合は、18時からの時給は割増を行っている傾向があります。また、日曜日や祝日は時給が50円程度UPするところが多いです。クリーニング工場によっては、アイロンやシミ抜きなどの技術を身につけることで、時給がUPしていきます。
ただし、クリーニング工場のスタッフの募集の中でも、配送ドライバーは時給がやや高めで、1,200円前後がボリュームゾーンです。
クリーニング工場の中には、割引価格でクリーニングに出せるところもあり、頻繁にクリーニングを利用する人にとってはメリットが大きいです。
宅配クリーニングとは?
クリーニング業界では、従来からの店舗を構える形態のほかに、宅配クリーニングが浸透してきています。宅配クリーニングとは、宅配便を介して衣類の集荷と引き取りを行う形態になります。パソコンやスマホからネットでクリーニングの注文をすると、希望する日時に宅配業者が集荷に来て、工場でクリーニングを終えた衣類は、後日、宅配便業者から届くという仕組みです。クリーニング業者によっては、クリーニングに出す衣類を入れるための専用バックが、集荷の前のタイミングで届きます。
宅配クリーニングは5点パックや10点パックといった形で、一定の点数でのパック料金制になっている業者が多いのが特徴です。
宅配クリーニングの工場で働く場合も、仕事内容は基本的には変わりません。
クリーニング工場の繁忙期はいつ?
クリーニング業界には繁忙期と閑散期があり、業務量が大幅に異なります。繁忙期は冬物のコートやジャケットなどの衣類をクリーニングに出す人が多い、3月下旬から5月の初めです。また、夏から秋へ変わる衣替えの時期も業務量が増ええる時期です。一方、シャツ1枚で過ごす人が多い真夏は閑散期になります。閑散期は比較的ゆとりを持って業務に取り組めるでしょう。
クリーニング工場で活かせる資格
クリーニング工場で働くにあたって、配送ドライバー以外は特別な資格を必要としない求人がほとんどです。しかし、取得していると優遇されることがある資格もあります。
普通自動車運転免許
クリーニング工場で配送ドライバーとして働くためには、普通自動車運転免許が必須になります。系列のクリーニング店をまわってお客様から預かった衣類を集荷するのと、工場でクリーニングを終えた衣類を店舗に配達するのが仕事です。集配に使うのは、普通自動車運転免許(AT限定可)で運転できるサイズの車が一般的です。
クリーニング師
クリーニング工場で働くうえで、大きな強みとなるのはクリーニング師の資格です。クリーニング師は、クリーニング業法にもとづく国家資格です。クリーニング処理を行う工場などでは、クリーニング師を1名以上の配置がしなければなりません。クリーニング師の有資格者のうち、実際に作業を行っている人は、3年ごとに1回、クリーニング師研修を受講が義務付けられています。
その他
クリーニング工場によっては、衛生管理者や公害防止管理者、特別管理産業廃棄物管理責任者、有機溶剤作業主任者、ボイラー技士、危険物取扱者、繊維製品品質管理士といった資格を取得していると、優遇されることがあります。
クリーニング師の資格を取得するには
クリーニング師の資格を取得するためのクリーニング師試験は、都道府県ごとに実施されていて、試験日や試験の内容が異なります。
クリーニング師の資格取得の概要
クリーニング師の資格を取得するには、各都道府県の知事が毎年1回以上実施するクリーニング師試験に合格することが必要です。試験日程は都道府県によって異なります。試験に合格しただけではクリーニング師の資格は取得できず、合格後に免許申請をして、クリーニング師原簿に登録された段階で資格が取得できる点に注意しましょう。
また、クリーニング師試験には受験資格が設けられていますが、ほとんどの人が受験可能です。クリーニング師試験は中学校を卒業した人、または同等以上の学力があると認められた人であれば、誰でも受験することができます。
クリーニング師試験の内容
クリーニング師試験には学科試験と技能試験があります。学科試験の科目は、「衛生法規に関する知識」と「公衆衛生に関する知識」、「洗たく物の処理に関する知識」です。技能試験では、「洗たく物の処理に関する技能」として、繊維の鑑別やアイロン仕上げを行います。
クリーニング師試験は都道府県ごとに実施されるため、出題形式や出題内容も異なります。そのため、各都道府県のクリーニング組合では試験のための講習会を実施していますが、受験する都道府県の講習会を受講するのが望ましいです。
クリーニング工場は未経験から働くことは可能?
クリーニング工場の求人はアルバイトやパートに限らず、正社員の募集も未経験者歓迎の募集が多くを占めています。クリーニングの作業をベテランスタッフがイチから教えていったり、マニュアルが用意されていたりするなど、未経験から無理なく始められるように配慮されていることが多いです。
社員として管理業務を担う場合も、まずは3ヶ月程度の研修期間で工場の現場の作業を覚えることからスタートして、徐々に運営業務も担っていく傾向があります。
また、配送ドライバーとして働く場合も、普通自動車運転免許があれば、未経験から始められる求人が中心です。
クリーニング工場で働くメリット
クリーニング工場の仕事には、衣類がきれいになっていく達成感を味わえるといったメリットがあります。
仕事の成果が実感できる
クリーニング工場は、お客様から預かった汚れた衣類をきれいにする役割を担っています。工場では汚れた衣類がきれいになっていく工程のいずれかに携わるため、仕事の成果が目に見えてわかりやすいことがメリットに挙げられます。また、シミ抜きや仕上げのアイロンなどの技術を習得していき、きれいに仕上げられるようになると、達成感を得られます。
アイロンなどの技術が身につく
クリーニング工場での仕事は担当業務によっては、日常生活に役立てることができます。アイロンの担当の場合は、手早くきれいにアイロンをかけるスキルが身につくでしょう。
冬場でも暖かい
クリーニング工場はアイロンやプレス機の熱の影響で、冬場でも暖かい環境です。工場や倉庫の冬場の寒さが心配な人も、クリーニング工場なら暖かいところで働くことができます。
クリーニング工場で働くデメリット
クリーニング工場の仕事はやりがいを感じられやすいですが、一方で体力面などのデメリットもあります。
立ち仕事なので体力が必要
クリーニング工場の仕事は検品から洗浄、仕上げ、点検に至るまで基本的に立ち仕事です。また、担当する仕事によっては10Kgや20Kgもの衣類を運ぶことがあります。仕事に慣れるまでは、体力的な負担を感じることが考えられます。
夏場は暑い
クリーニング工場はアイロンやプレス機を取り扱うため、夏場は暑いことも難点です。クーラーが入っていても暑さが感じられるようですが、工場に備えられている空調設備によって室温には差があります。
時間内に作業を終わらせる必要がある
クリーニング店では当日仕上げや翌日仕上げなどで預かっているため、クリーニングを仕上げなければならない納期が決まっています。繁忙期には規定の時間までに多くの衣類のプレスを終わらせることを求められて、プレッシャーを感じることもあるかもしれません。
クリーニング工場の仕事に向いている人は?
クリーニング工場の仕事は難しいものではありませんが体力が必要であり、繁忙期への対応力も求められます。
体力に自信がある人
クリーニング工場の仕事は立ち仕事がほとんどです。また、夏場は程度の差はありますが、暑い中での作業となります。そのため、クリーニング工場では体力のある人が活躍できます。
丁寧にテキパキ仕事をこなせる人
クリーニング工場では、繁忙期には多くの量の衣類のクリーニング処理に対応することが求められます。お客様から預かった衣類ですので、丁寧に取り扱うことも大切です。決められた方法に従って、手際よく作業を行える人に適性があります。
まとめ
クリーニングは宅配クリーニングという業態も浸透してきていますが、クリーニング工場で処理をするという点は変わりません。クリーニングは今後も安定した需要が見込める業界です。体を動かして働くのが好きな人は、クリーニング工場の仕事も選択肢に入れてみましょう。
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