大工になりたい!なら、ぜひ知っておきたい大工の“イロハ”
2019.07.18人工皮革・クラリーノを製造し、ランドセルで有名な(株)クラレが、新小学1年生4000名を対象に毎年調査している「将来就きたい職業」。2019年4月3日に発表された直近のランキングでは、男の子のTOP10に「大工」がランクイン! 実は「大工」がTOP10に入るのは、2000年度以来20年連続していることなのです。
このように「大工」は、今も昔も子どもたちに人気の高い職業で、また近年では、子どもだけでなく大人にとっても、DIYの流行や芸能人が家のリフォームを手掛けるテレビ番組の影響などもあり、大工仕事を身近に感じる方も多いようです。なかには、趣味が高じて「仕事にしたい」と思う方もいるかもしれません。
とはいえやはり趣味と仕事は別ものであり、イメージと実際は違うことが多いのも事実ですし、大工の仕事はとても奥行きが深く、素人には真似できない専門技術が集結した領域といえます。
そこで、大工の仕事や「大工ってどうやってなるの?」など、これから大工を目指す方にも参考になる「大工の“イロハ”」を解説していきましょう。
守備範囲が変化している大工の仕事
大工とは、主に木造建造物の建築や修理を行う職人のこと。
建築士が作成した設計図に従って、建材を加工し組み立てていきますが、まず木材を切り出して切り込みを入れ(墨付け、刻み)、建設現場でさらに微調整を加えながら組み立てることがおおまかな流れとなります。設計士と大工で現場の様子と設計図、建材を見比べて構造を確認し、ときには変更を検討することもあります。
昨今は、ツーバイフォー工法(あらかじめ統一規格に加工済みの建材を組み立てる)の普及により、大工が建材を加工しないケースも多く、かわりにとび職の担当領域である「足場や鉄骨の組み立て」を大工が担う場合もあります。
また、建材組み立て後の内装(壁、床、階段、天井など)も大工(造作大工)が担当しますが、その際に作り付けの家具や、壁のクロス張りなどを担うこともあります。一般住宅でも軽量鉄骨やコンクリートが増え、さらに、木目が露出する内装が減ったことによって、大工の守備範囲が変化しているのです。
めざす職域やなりたい未来像によって、“入り口”は異なる
大工になるには親方に弟子入りして修業する、もしくは工務店に就職するのが一般的です。学歴や年齢、資格が問われないことも多いようですが、最低限の知識や技術を身につけてから就職・弟子入りを、ということであれば各種学校でスキルを身につけるのもよいでしょう。ただし、学校によっては建築設計や土木技術に重点を置き、大工に求められる実践的スキルを習得できない場合もありますので、あらかじめカリキュラムをしっかり調べておくことが大切です。
大工の担う主な職域が「建材を加工せず組み立てる」であれば、工務店に就職して、3年程度(弟子入り期間)でひと通りのことを一人でできるようになるのが一般的とされています。
一方で、木材の切り出し・加工を行う職人大工の場合は、一人前と呼ばれるようになるまでには5年以上の経験が必要とされることが一般的とされています。
さらに、こだわりが詰まった注文住宅や、中古住宅の増改築、リフォームなど、職人大工にしかできない仕事を手掛けたいのであれば、腕が確かな親方の下で修業する方法や、注文住宅案件の多い工務店に就職するなどの選択が、自分がしたい仕事への遠回りしないコツになります。
大工として一人前になり、さらに経験を積むと、「棟梁(とうりょう)」として現場を任されます。「棟梁」は勤怠管理や見習い(弟子)への技術指導、施工の進捗管理を担います。あるいは独立して「一人親方」となり、工務店と業務委託契約で仕事を請け負う人もいます。
大工の実務能力を証明する主な資格
大工になるために必要な資格や免許はありませんが、大工としてのスキルや実務能力を証明する資格はあり、取得しておけば転職や独立の際に役立ちます。※いずれも国家資格です
【木造建築物の組立て等作業主任者】
資格取得者は木造建築物の組み立て現場に必ず必要とされ、構造部材の組み立てや屋根下地・外壁下地の取り付けにおいて、作業方法やスタッフの安全確保などの監視・指導を行えます。
資格取得には「実務経験3年以上もしくは各種学校の土木・建築学科を卒業後2年以上の実務経験」が必要で、2日間(13時間)の技能講習と終了考査で取得できます。
【建築大工技能士】
木造建築物工事に必要な技能と実務経験を証明する資格で、3級・2級・1級があります。この資格を必須とする企業・現場もあり、特に1級は大工としての腕が確かであることを証明する武器になります。
2級 →「実務経験2年以上もしくは各種学校の土木・建築学科を卒業」
1級 →「実務経験7年以上もしくは3級合格後4年の実務経験・2級合格後2年の実務経験があること、各種学校卒業後4~6年の実務経験があること」など受験資格があります。
学科試験と実際の大工仕事を行う実技試験があり、3級は切り妻小屋組、2級は柱差し小屋組、1級は隅木小屋組の製作(一部)が課題です。
キャリアの幅を広げたいなら「建築士」の資格取得も有益!
「建築士」は建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格です。取り扱える建築物の規模と専門性により一級建築士/二級建築士/木造建築士があります。
一級建築士 → 合格率1割程度の超難関資格。大工としてのキャリアに活かすなら二級建築士/木造建築士の取得を目指せばよいでしょう。
木造建築士 → 木造建築のスペシャリスト。木造建築の設計から施工までひと通りの仕事を任されます。特に伝統的な日本家屋や歴史的建造物も手掛けられる知識と技術があることの証となります。
二級建築士 → 木造以外でも小規模な建築物なら設計から担える資格です。取得すればキャリアの幅が広がります。
二級建築士/木造建築士の受験資格は「実務経験7年以上もしくは建築設備士の有資格者、各種学校で専門知識を学び卒業(学歴によっては実務経験も必要)」となっています。
学科試験と設計製図試験があり、合格率は2級建築士で25%程度、木造建築士で35%程度です。
大工を取り巻く、今後の展望
大工の未来を考えるうえで、現在の主流になっている「プレカット」なくして考えることはできません。
なかでも「機械プレカット」とは、木造住宅の柱や梁の継ぎ手、仕口を従来は墨付けに従って手工具で加工していた従来の方法を機械で行う技術を指しますが、ツーバイフォー工法では、こうした技術に基づくプレカット材が多く使用されています。
この技術が主流になった理由は、「工期を短縮する」「産業廃棄物を減らす」「積算精度を向上させる」「コストダウンを実現」といったさまざまなメリットによりますが、さらにコンピュータ制御の機械加工という特性から精度も高く、いまや新築木造建築の95%は、プレカット材によるものといわれています。
こうした施工技術の変化から、大工が建材を加工する機会は非常に少なくなってきているため、大工ならではの手仕事、建材加工技術を身につけることも難しくなってきています。
一方、大工の世界では、高齢化と大工人口激減という問題にも直面しています。
国勢調査によれば 1980年のピーク時に93万7000人いた大工は、2015年には37万2000人にまで減少。この数字は実に60%を示す大きな減少率で、さらに、2020年には30万人を下まわると予測されています。
高齢化した大工の引退、そして、経験豊かな大工の技術や技量が若手に継承されないことにより、注文住宅や中古住宅のリフォームを手掛けられる大工は、今後ますます不足すると懸念されています。そうした事態を見すえ、一人でも多くの高い技能や豊富な経験を身につけた志ある大工が必要とされているのです。
ITスキルは、いまや大工の世界でも必須!?
「モノづくりが好き」「手先が器用」はもちろん、力仕事に耐えうる体力、設計図どおりに正確に作業する几帳面さや緻密さ、先輩・仲間と協力して作業できる協調性大工には求められます。また、上下関係が厳しい職人の世界でしっかりと技術を学びながら信頼関係を築いていくためには、コミュニケーション能力や忍耐力も必要でしょう。
さらに意外かもしれませんが、今後は大工の世界でも、ITスキルが必要になってくるという点です。
それはなぜかというと、現在すでに大工自らWordやExcelで工程表や日報などを作成し、施工の進捗管理や勤怠管理を行う、CADを用いて製図するなどの機会が増えているからです。
こうした新しい知識やスキルを積極的に身につけていこうとする意欲をもつ人なら、時代とともに変化する大工の在り方にも対応していけるに違いありません。
このように昨今では、モノづくりが好き、手先が器用であることに加え、パソコンをサクサク操作できるITスキルも必要とされる大工ですが、何よりもっとも大切なことは、「大工になりたい!」という強い強い思いや志にほかならないことは確かでしょう。
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