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新世代バーバーから介護・福祉現場にも!髪を扱うスペシャリスト・美容師と理容師

カットやパーマ、カラー、セットなど、髪の手入れに誰もが利用する理美容店。髪が伸びてうっとおしい、イメージチェンジしたい、特別な日のためにビシッと決めたいなど、動機はさまざまでもヘアスタイルが整うと気持ちまでリフレッシュ! みなさんにも気のおけない美容師や理容師のいる行きつけの店があるのではないでしょうか。あるいは、なかなか思うようなヘアスタイルにしてもらえず、期待通りにしてくれる店(美容師や理容師)はないかと探している人も多いかもしれません。

子どもの頃には親に髪をカットされていたのが、年齢とともに行く店も移り変わり、自分で店を選ぶようにもなりますが、今では髪の施術法も多岐にわたり、メニューやサービス、価格帯、経営システムも多様な広がりを見せています。今回は、人が一生つき合っていく「髪」を扱う美容師、理容師の意外と知らない基本からご紹介しましょう。

美容室(美容院)と理容室(理髪店)の違い

日頃から目にする髪の手入れをする場所に、下記の2つの違いがあるのはご存じですね。

〇おしゃれな店名や店構えの「美容室」

〇赤・青・白のサインポールのある「理容室」

とはいえ、くるくる回る赤・青・白のサインポールを設置していない理容室もあり、今では明確な目印になるわけではありません。「美容室」と「理容室」の区別は曖昧(あいまい)で、さらには下記のようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

〇「美容室」=女性用が多い

〇「理容室」=男性用

ニューヨークのアッパーウエストサイドに立つBARBER SHOP

「美容」は容姿を美しく、「理容」は容姿を整える。理容師にだけ認められた「顔そり」

美容と理容の違いは、以下のように法律によって業務範囲が定められています。

〇「美容」➡ パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること(美容師法第二条より)。

〇「理容」➡ 頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること(理容師法第一条より)。

このように「美容」と「理容」は共通点が多いものの、法的には厳密な区別がなされています。たとえば、理容室ならではの「顔そり」は美容師には認められていません。それぞれ美容師・理容師の専門学校を終了後、国家試験を経て美容師、理容師となります。

古代、理容師は外科医を兼ねていた!?

古くから理容室の店先に置かれた赤・青・白のサインポール。見慣れてはいても、その意味や由来についてはあまり知られていないのではないでしょうか。ここでは3色のサインポールについてご紹介したいと思いますが、その歴史は中世ヨーロッパまでさかのぼります。

理容は古代エジプトから始まり、理容師は外科医を兼ね「理容外科医」と呼ばれていました。その当時「体の悪い部分には悪い血が集まる」という考えから、その部分の血液を抜き取る「瀉血(しゃけつ)」という治療法がありました。この瀉血は患部を切開 ➡ 血液を抜き取る方法ですが、この際に患者に棒を握らせて腕を固定し、その棒を伝って血液が受け皿に落ちるようにしていました。時間の経過ともに、術後に血液が付着した棒をそのままにしておくことは衛生上好ましくないことから、その棒を赤く塗って使用するようになったのです。

その棒はbarber-surgeon’s pole(理容外科医の棒)と呼ばれ、後にbarber’s pole……つまり「理容店の棒」と呼称されるように。そして、術後に洗浄した赤い瀉血棒と、傷口に巻いた白い包帯を店の軒先に干していたところ、白い包帯が風に吹かれて瀉血棒に巻きつき、この様子が現在のサインポールの原形になったとされています。

さらにその後、フランスやイギリスで理容師と外科医が区別された際、理容師は青を、外科医は赤白にと定められたことで、理容店の看板は今日の赤・青・白の3色になったそう。サインポールの起源には諸説あるものの、この「瀉血(しゃけつ)」説が有力ということです。

※参考文献「全国理容環境衛生同業組合ホームページ『理容の歴史- 近代理容業篇』」

ふだん何気なく見ている3色のサインポールに、このような歴史があったというのは驚きですね。では次に美容師、理容師になるにはどうすればよいのでしょうか。

美容師になるには?

美容師として働くには「美容師免許」が必要です。この免許取得には、厚生労働省が指定する美容学校(昼間部2年・夜間部2年・通信科3年のいずれか)を修了して国家試験に合格しなければなりません。美容師国家試験には筆記と実技があり、筆記試験は専門学校の授業をきちんと受け、過去問で対策しておけば十分に合格できる内容。実技試験については、筆記試験はパスしても実技試験で不合格になってしまう人は少なくなく 、本番で実力を発揮できるよう日頃からの反復練習が大切です。

合格して美容師免許の交付を受ければ、ほとんどの美容学生が就職先を見つけることができています。美容師の働き方としては、美容室に就職するかヘアメイクアーティストとして事務所に所属するかという2つの方法が一般的で大半が美容室に就職し、結婚式場の美容室などに就職する人もいますが、倍率は高めです。

就職後、美容師としてやっていくには「カット」「カラーリング」「パーマネントウエーブ」「セット」といった各技術をきちんと身につけなくてはなりません。国家試験をパスし免許を取得した時点では、現場で通用するような確かな技術はまだ身についていないためです。学校内で得られる知識は国家試験対策のようなところがあり、実際に施術として使える技術は、就職後に地道に努力して身につける必要があります。

理容師になるには?

美容師と同じく、理容師になるためには理容師の養成課程がある専門学校で2年間(通信の場合は3年)学び、国家試験に合格しなければなりません。そうして理容師国家試験に合格すれば、晴れて理容師として働けるわけですが、ここでは理容師の就職状況について説明しておきましょう。

厚生労働省の調査によると、理容師は1949年の約11万人から増加を続けていましたが、1971年のピーク時に26.7万人に達した後は減少に転じ、2010年には23.8万人に減少したという統計データが発表されています。

これに対し、美容師は1949年の4.5万人(理容師の半数以下)から増加を続け、1979年には理容師と逆転、2010年には45.7万人を超え、理容師のおよそ2倍に。1949年の当時からは10倍となり、この20年間で45%増になっているということです。

理容師専門学校の強いネットワーク

上記で紹介したデータを見ると、国家試験に合格しても理容師として就職先がないのではないかと心配になるかもしれませんが、そのようなことはないようです。理容専門学校の講師は、その多くが学校のOBであり、なかには自ら理容室を何軒も経営している講師もいます。またOB会や業界全体のネットワークも強く、歴史ある専門学校になるほどネットワークは強固です。

また、日本全国で活躍するOBたちの理容室が受け皿となり、現在では就職情報がリアルタイムに届けられるようになっているところも。原則として、生徒は入学から早い時期に実務経験を積むための入店を果たしますが、そうでない生徒も含めて就職率100%に近い実績(※理容師としての進路を選択し入店希望者を対象とした場合)を持つ学校が多数あります。

次は、具体的に美容師、理容師の仕事内容をみていきましょう。

美容師の仕事内容

〇主に美容室において、シャンプー・ブロー、カット、カラー、パーマなどの施術をし、ヘアスタイルを作り上げる仕事。

〇近年、トータルビューティーを売りにしている店も多くなり、メイクアップやネイルケア、ヘッドスパなどもサイドメニューとして提供する店舗が増えている。そのため、メイクやネイルの技術の習得も求められる。

〇美容師として働き始めて数年間はアシスタントとして修業を要し、主に営業時間外に練習を重ね、すべてのメニューのテスト(自社テスト)をパスするとスタイリストに昇格。ここから、お客様に1対1で提案やスタイルの提供ができるようになる。

では、スタイリストとアシスタントの違いを比較しましょう。

【アシスタント】

〇スタイリストのヘルプ作業

〇受付業務や接客、掃除、シャンプー、タオルの洗濯など

〇シャンプーは日に何十人ものお客様を担当することになり、手荒れなどを覚悟しなければならない

〇一人前になるためには、仕事の合間や店の閉店後に、カットやパーマなどの練習を行い技術を身につける

〇アシスタント時代は拘束時間も長く、給料も恵まれているとはいえない

美容師としてお客様を担当する前の「修行の身」というところでしょうか。美容師になるためには、このような厳しいアシスタント時代を覚悟する必要があるようです。店で行われるいくつかのテストに合格すると、はれてスタイリストデビューとなります。

【スタイリスト】

〇すべての技術を店の定めたレベルまでマスターした人、一般的に美容師として認識されている業務

〇お客様のカウンセリング(好みのヘアスタイル、カラーなどの相談)

〇カット、パーマ、カラー、シャンプーなどの施術

〇お客様の出迎え・見送り

〇会計

〇予約管理などフロント業務

〇清掃

〇アシスタントの教育、指導(店の開店前や閉店後に、カットやカラーなどの練習に付き合って技術指導)

アシスタントも大変な仕事ですが、スタイリストに昇格してもその仕事は生易しくはなさそうです。というのも、カットした髪やパーマをかけた髪、染めた髪は取り返しがつきません。失敗は許されずお客様のイメージに合わない場合、二度と来店してもらえないばかりか、お店の評判を落とすことにもなりかねません。お客様の満足を勝ち取るやりがいの一方で、再来店してもらえるための配慮や努力は不可欠になります。

理容師の仕事内容

〇理容室でヘアカット、シャンプー、顔そりなどを行う

〇理容室の利用者は男性客が中心ということもあり、きれいに整えるカットを得意としている

美容師と理容師の「ダブルライセンス」

「美容」とは「容姿を美しくすること」、「理容」は「容姿を整えること」と法律に定められているものの、「おしゃれ」や「美しさ」に対する関心は男女の別なく高まっている現代では、よりこまやかなニーズに対応できるよう美容や理容のサービスも複雑化しています。

そのような流れを受け、美容師の資格を持つ人が理容師の資格取得を目指す、またはその逆に理容師が美容師資格の取得を目指すといった、「ダブルライセンス」を目標にする人も見られるようになりました。

ご紹介したように、美容師と理容師は共通点も多いながらまったく別の資格を有し、それぞれの資格を取得するのに専門学校で2年、つまり美容師が理容師の資格を、理容師が美容師の資格を取るのに2年、つまり美容・理容のダブルライセンスを取得するのに4年かかっていました。しかし、2018年から制度が変わり、美容師・理容師免許取得者の場合、それに加えて他方の免許を取得するには1年で資格取得できることとなり、トータル3年でダブルライセンスが取得可能になったことも覚えておきましょう。

美容室に比べて勢いの感じられない理容室ですが、ここで美容室をしのぐような、先ごろ話題の、リッチでハイセンスな理容室、新世代バーバーについてみていきましょう。

男性独自のメニューに特化した理容室!極上のサービスが受けられる新世代バーバー

男性用の化粧品やスキンケア商品がドラッグストアなどでも多く販売されるようになり、流行やセンスにこだわりのある男性が増えています。そんな理容室ではなく美容室を利用する男性が、年齢とともに美容室から理容室にシフトしていく現象が起きています。おしゃれ男子が注目する理容室が増え、バーバー新時代が到来したと……。「新世代バーバー」とは、どのようなものなのでしょうか? 参考までに一例を挙げてみましょう。

イメージです

【新世代バーバー】

〇接客レベルはホテル並み、清潔感や落ち着きのある丁寧で大人な対応が受けられる

〇入店時に、どんな髪型にするかを大きな鏡の前でじっくりカウンセリング

〇男性ならではのメニューに特化した理容室は、かゆいところに手が届くサービス

〇ほぼ個室で施術が受けられる

〇店内にはクラシックやオルゴール音楽のBGM

〇シンプルなカットでセンスも技術も高い

〇人気のカットコース(5000円程度+税)はカットに加え、店オリジナルのヘッドスパつきのところも

〇500円~のフェイシャルケア、1500円~のネイルケアなど、リーズナブルなメニューも揃えている

〇女性スタッフが男性向けのフェイシャルマッサージやネイルケアも担当しており、女性らしいこまやかな気づかいと丁寧な施術が好評

男性にとっての「男磨きと癒しの空間」とか。確かに、仕事や生活のストレスも忘れてしまいそうですね。また、店で働く理容師たちのクールなカッコよさも相まって、こだわる男はバーバーへ行くことがトレンドとなり、需要が再燃しているそうです。クラフトビールが楽しめるビヤバーが併設されていたり、レストランバー、カジュアルウェアショップやスーツ、シャツを販売するテーラーが別フロアにあり、髪型に合わせたトータルコーディネートも可能。予約不要、ショッピングのついでにふらりと立ち寄れるスタイルは、まさに本場ニューヨークのバーバーそのもの。気軽に利用はできないにしても、飲み会を数回断って、行ってみるくらいの価値はありそうです(笑)。

また、女性用ボディシェービングもあり、これは完全個室で女性理容師が担当するようです。これもまたおしゃれな女性心をくすぐりそうですね。

福祉理美容師・訪問理美容師の仕事

最後に、介護・福祉の現場で活躍する「福祉美容師(理容師)」や「訪問美容師(理容師)」 をご紹介しましょう(以下「福祉理美容師」「訪問理美容師」)。

超高齢化社会に突入した日本では、介護や福祉に関する仕事や求人が増加しています。理美容師(理容師・美容師)の仕事も例外ではありません。一般的な理美容師の仕事との大きな違いは、施術するお客様が高齢者や障がいを持った方、妊婦など。体に何らかの不自由を抱え、自力でいすに座れない、言葉で意思を伝えられないなど、一人ひとり異なる事情を抱えたお客様に対する適切な対応が、福祉理美容師には求められます。お客様のご自宅や施設へ訪問し、ヘアカットやシャンプー、スタイリングを行います。そのため福祉理美容師は「訪問理美容師」とも呼ばれています。

福祉理美容師・訪問理美容師になるには?

福祉理美容師・訪問理美容師に必要な資格は、基本的には理美容師の資格だけ。ただし、福祉理美容師や訪問理美容師として仕事するには専門の知識やスキルが必要です。移動のサポートやメンタル面でのケアなど、理美容専門学校で得た知識以外の知識が求められる場面が多々あり、これらのスキルを取得するための講座や講習によっては「福祉理美容師」(※取得する機関によって名称に違いあり)の資格が付与される場合もあります。

髪を美しく整えることは無論、明るい笑顔や楽しい会話でお客様をリラックスさせることも理美容師の大切な仕事。理美容師が介護・福祉の基本知識を兼ね備え、高齢者や障がいのある方を美しく、そしてリラックスさせられたら本当にすばらしいですね。高齢化社会を支える強力な戦力となり、これからますます需要の高まる分野といえるでしょう。

── 私たちが年齢性別を問わず、お世話になっている身近な理美容師。国家資格を必要としない「リラクゼーション」扱いの職種が、堂々と“美容”の看板を掲げている今、理美容師は美容室や理容室といった領域を超え、さまざまなフィールドで活躍できる存在となりつつあるのではないでしょうか。今回みてきたように、理美容師の領域も進化、発展を遂げています。人が一生つき合っていく「髪」を通して、これからどのように活躍の場が広がるのか、大いに期待できそうですね。

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