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国や会社の広告塔である客室乗務員。おしゃれだけど制服はあくまで作業着!

制服やユニフォームを着用する職業は数多くあります。そのなかでも、ひとつの会社ながら特殊な職種が多く、バラエティに富んだ制服が見受けられるのが航空会社でしょう。パイロット、整備士、キャビンアテンダント、グランドスタッフ、マーシャラーなど多くの職種があり、ひと目でその業務領域がわかるようになっています。

航空会社の制服としてまず思い浮かぶのは、キャビンアテンダントやフライトアテンダントと呼ばれる「客室乗務員」。スカーフなどをアレンジした華やかな制服姿はいつの時代も憧れの的であり、ドラマなどでもいく度となく取り上げられてきました。

世間から注目を浴びるキャビンアテンダントはいわば航空会社の広告塔。ブランドイメージを伝えるためにも、制服は大きな役割をもっています。ワンピースにミニスカート、パンツスタイル、和装などさまざまなルックスが採用され、時代ごとにそのデザインが見直されていますが、おしゃれさだけでなく、お国柄や世相、企業のコンセプトまでもが反映されているのです。今回は、航空会社の制服のうち「客室乗務員」のユニフォームを見てみましょう。 

断トツの人気を誇る、シンガポール航空の制服

客室乗務員のユニフォームデザインは、その会社ごと、また国ごとに大きな違いがあります。特にアジア圏では、民族衣装など各国のイメージを代表するようなデザインが多く取り入れられています。

たとえば、サービスに定評があるシンガポール航空の制服を見てみましょう。

『シンガポールガール』と呼ばれる客室乗務員たちは、アジアの伝統的なろうけつ染めであるバティック染めで縫製された『サロンケバヤ』というユニフォームを着用しています。意外なことに、サロンケバヤのデザインはフランス人のピエール・バルマンによるもの。フランス流の美意識でアジアの伝統染織をデザインしたことが、ローカル色の濃い流麗なユニフォーム誕生の秘密かもしれません。

サロンケバヤは、仮縫いから始まって3回以上ものフィッティングを重ねるオーダーメイド。つまり、ジャストフィットのユニフォームのため、常にボディラインを保つ努力が必要とされます。また、立ち居振る舞いのレッスンもあり、足の組み方などの洗練された所作に加え、本人に似あう髪型やメイクなどの細かい指導がおこなわれています。

サロンケバヤを纏(まと)った優雅な身のこなしは世界的にも認められた美しさであり、シンガポール航空のイメージ戦略に多大な影響をおよぼしています。ちなみに、サロンケバヤは代表的な青色のほかに3色、全部で4色があり、マネージャーやチーフなどの職位ごとに種類が分かれています。

日本航空では着物姿でサービスをしていたことも!?

日本でもかつて、和服で接客をしていた時代があったことをご存じでしょうか。

日本航空のファーストクラス担当の客室乗務員が、着物姿で搭乗するお客様を迎えていたのです。おしとやかな印象の着物姿は、外国人には東洋のエッセンスが感じられると人気が高かったうえ、機内に入っただけで日本に帰ってきたようだと日本人からも好評でした。このサービスは1954年に国際線第1号がサンフランシスコに就航した時から1990年に廃止になるまで、36年もの間続いていたそうです。

着物を着る場合、着物のほかに帯や長襦袢(ながじゅばん)などさまざまな準備が必要になります。客室乗務員たちがフライト時に着物を着る場合、通常のユニフォームに着物グッズ一式がプラスとなるため荷物が増え、それ以上に狭い機内での着付けはとても大変だったようです。

そのため、制限時間内で手早く着替えられるように着付け訓練がおこなわれ、着物自体にも着脱が簡単にできるような工夫がなされていました。画期的だったのは、セパレートタイプの着物が導入されたこと。あらかじめ帯はできあがっていて、上下をマジックテープで留める簡単さ! 狭い機内での早着替えには、こんな秘密があったのですね。

制服には、それぞれのお国柄が表れている

そのほかにも、お国柄を示す制服はたくさんあります。

『微笑みの国』と呼ばれるタイ。ナショナル・フラッグ・キャリアであるタイ国際航空の場合、スーツタイプのほかに、民族衣装風のユニフォームがあります。民族衣装は張りのある美しいタイシルクを使用した華やかなもので、搭乗口でタイ人の客室乗務員が手を合わせて出迎えてくれます。コーポレートカラーの紫を基調に、ピンクやブルーなど蘭の花を意識した色とデザインが用いられているのが印象的。

同じアジアでは、ベトナム航空の『アオザイ』の制服も有名です。アオザイは伝統的な民族衣装であり、ベトナムの正装としても知られます。客室乗務員の制服用にデザインされたアオザイは実に20カ所以上のフィッティングをしてつくられる完全なるオーダーメイド! エキゾチックで美しいシルエットが人気で、色鮮やかなグリーンとパーサー用のイエローがあります。腰から下にスリットが入っていて、パンツを着用するスタイルなので動きやすいのも特徴です。

インドでの国内シェアは多くないものの、れっきとしたナショナル・フラッグ・キャリアのエア・インディアは民族衣装の『サリー』を採用しています。搭乗時は、サリーを着こなしたインド人の客室乗務員が両手を合わせて「ナマステ」とご挨拶してくれます。機内食はもちろんカレーなので、飛行機に乗った瞬間からスパイスの香りが漂い、インドらしさを感じること間違いなし。

中東に目を向けてみましょう。いまや大手航空会社として知られるようになったエミレーツ航空は、やはり民族衣装を意識した制服です。砂漠をイメージしたベージュのジャケットとスカート(もしくはパンツ)に、赤をポイントにした帽子やパンプスが上品な雰囲気。イスラム教徒が着用するビジャブをモチーフにした白いベールにはエキゾチックな薫りが漂います。

そのほか、パキスタン国際航空やサウディアラビアのサウディア航空なども色や形状が違いますが、ビジャブのようなベールを使った制服を着用しています。

制服はブランドイメージを映し出す広告塔

ヨーロッパの航空会社は、ワンピースやスーツスタイルが多く民族衣装的な雰囲気は控えめです。洗練されたデザインやスタイリッシュなイメージを大切にし、国や企業のコンセプトが込められた制服が多いようです。

”空飛ぶエレガンス“といわれ、他の国の客室乗務員からも絶大な人気を誇るのがエールフランス航空です。ファッションの国フランスのナショナル・フラッグ・キャリアらしく、クリスチャン・ラクロワが2005年にデザインした制服は、スタイリッシュでおしゃれそのもの。まるでオートクチュールのように優美でフランスのエスプリが漂います。地上職員も同じ制服で、ワンピース、パンツスタイル、コートなど豊富なラインナップから好みで選べるようになっています。

「どの航空会社よりもおしゃれであることが求められる」という使命のもとにデザインされ、華やかなファッション業界からも注目されているのも納得です。

イタリアのアリタリア航空は、2018年6月のミラノ・ファッションウィークで新しい制服を発表しました。アリタリア航空は2016年に20年ぶりに制服デザインをリニューアルしているのですが、全身赤や緑という大胆で奇抜ともいえる斬新なものでした。世間からは注目を浴びたものの、着こなす側からはあまり評判がよくなかったようで、2年で再リニューアルとなったようです。

今回のデザインはアルベルタ・フェレッティで、イタリアン・エレガンスが薫る落ち着いた雰囲気。濃紺のスーツに赤と緑のイタリアンカラーをポイントにしたスカーフやベルトがあしらわれ、上品で洗練されたデザインが話題になっています。

── 客室乗務員の制服として、主に女性用のデザインをとりあげてきましたが、男性の客室乗務員は航空会社によっては以前から存在し、現在も多くの男性客室乗務員が勤務しています。それぞれにバリエーション豊かな制服が用意されていて、誇りと責任をもって業務にあたっているといえるでしょう。

客室乗務員は華やかなルックス面がクローズアップしてとらえられがちですが、制服はあくまで客室乗務員が仕事をするうえでの『作業着』。さらに、客室乗務員の一番重要な責務は何かといえば、機内サービスではなく『保安要員』です。安全な空の旅を快適に楽しんでもらうためにも、緊急時に慌てず落ち着いて最適な行動がとれるかどうかが重要になります。想定外の事態に遭遇しても適切かつ迅速な対応ができるよう、客室乗務員は応急処置などを含めたさまざまな訓練を受けているのです。

空港へ行く際は、そんな思いをもってご搭乗くださいね!

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