先進テクノロジーの活用や店舗運営の改革で、人手不足問題とコロナ禍に挑むコンビニ業界
2020.09.01ここ近年、サービス系の業界を中心に深刻化している人手不足問題。
とくに、危機的な人手不足に直面するコンビニ業界では、一部の店舗で深夜営業を取りやめるなど、従来の運営体制を見直す動きが広まっています。すでにセブンイレブン・ファミリーマート・ローソンの3社では、顔認証システムを活用した実験店やセルフレジの導入を進めるなど、少人数で運営できる店舗づくりを推進。さらに、今年に入ってからは新型コロナウイルスの感染対策として、人との接触を減らすセルフレジの拡大とともに、接客スタッフのいない無人営業の「レジレス型店舗」も登場しています。
人手不足やコロナ禍の影響を受け、近い将来、街のコンビニはどのような姿に変わっていくのでしょうか……。今回は、先進テクノロジーの活用や店舗運営の改革を急ピッチで進める、大手コンビニ3社の取り組みにフォーカスします。
パナソニックとコラボしたファミリーマートの実験店
ファミリーマートとパナソニックは昨年(2019年)4月、顔認証システムなどを使って手ぶらで買い物できる実験店「ファミリーマート 佐江戸店」を横浜市都筑区にオープンさせました。
同店では、顔認証決済・業務アシスト・電子棚札・店内状況を数値化するデータ収集など、パナソニックが開発した最新システムを多数導入。店舗のすぐ隣にはパナソニックの事業場があり、同社がフランチャイジーとなって店舗運営にも加わることで、次世代型コンビニの実現に向けた実践的なアプローチを探る狙いです。
顔認証の実験はパナソニックの社員のみが対象で、システムに登録された顔をカメラが認証すると店の専用ゲートが開閉。顔認証技術と画像処理による商品読み込みを活用し、レジ台に置いた商品の代金が、あらかじめ登録した本人のクレジットカードから引き落とされる仕組みです。
店内の売り場では、随所に設置した数十台のカメラと赤外線センサーが、客の動線や店内状況、棚の商品数などを感知し、得られた情報をスタッフのウェアラブル端末に送信。欠品した商品の補充、混雑時のレジの応援、シフトに基づいた清掃業務の指示などが端末画面に表示されるため、煩雑な点検作業の負担を大幅に軽減することができます。さらに、店内ポップをデジタル化する電子棚札、4ヵ国語対応の対面翻訳機、セルフレジなどの省力機器も導入することで、日常業務の省人化・効率化を最大限に図っています。
NECのオフィス内にあるセブンイレブンの実験店
同じく、セブンイレブンとNECも2018年12月から、顔認証システムを活用した省力型店舗の実験をスタート。実験店舗は、NECグループのオフィスが入居する三田国際ビル(東京都港区)の20階にあり、事前に登録したNEC社員の顔を入口のカメラが認証すると、自動ドアが開いて入店できるようになっています。会計は来店者自身が商品のバーコードをセルフレジで読み取り、顔認証システムか社員証で決済。後日、利用した額が給与天引きで一括清算される仕組みです。
同店では、店舗スタッフの負担を軽減するシステムも多数導入しています。常駐スタッフは1人のみですが、店内の様子はカメラで遠隔から確認でき、基本的にはスタッフがいなくても買い物が可能。また、発注業務にAI(人工知能)を活用し、販売実績や季節・天候などのデータをもとに、AIが各商品の発注数を提案することで、発注作業にかかる時間を約4割削減できたといいます。
今後、セブンイレブンでは、実験店の運営を通して導入企業の社員が快適に利用できるサービスを検証し、他のオフィスや病院、工場など、利用者が限られる場所への出店も検討していく方針を示しています。
【NECも独自のレジレス型店舗をオープン】
また、セブンイレブンとタッグを組むNECも、次世代型コンビニのソリューション提供を目指し、新たな店舗システムの開発・実証を進めています。その第一弾として今年2月には、三田国際ビル地下1階に「レジレス型店舗 <NEC SMART STORE>」をオープン。
こちらも利用者はNEC社員のみが対象で、店舗内に設置したカメラや映像認識技術などを組み合わせ、手に取った商品をレジを通さずに自動決済できるシステムを導入しています。同店では、生体認証・映像解析などの先進ICTを活用することで、マスク着用時でも顔認証による本人照合を可能としており、感染症対策とスムーズな購買の両立が目指せる“ニューノーマル・ソリューション”として注目を集めています。
セルフレジの導入を積極的に進めるローソン
次世代型店舗の実験を進めるファミリーマート・セブンイレブンに対して、ローソンはセルフレジの導入を積極的に推進。客自身が商品のバーコードを専用レジにかざすだけで決済でき、1日の店舗業務の3割にあたる5時間分の会計作業を削減する狙いです。
ローソンのセルフレジは2010年頃から導入が始まり、今年2月末時点では全国のローソン約1800店舗で運用していましたが、ここ最近は新型コロナウイルスの感染拡大により、人との接触を減らすセルフレジを要望する声が急増。これを受けてローソンは、セルフレジの導入店舗を約7500店(今年6月時点)まで一気に拡大しました。
また、ローソンではセルフレジとあわせて「ローソンスマホペイ」という独自のアプリも展開。客が自分のスマートフォンで商品のバーコードを読み取り、店内のどこでもキャッシュレスで決済できるので、弁当やパン、飲み物やスナック菓子などのチョイ買いに便利です。こちらも導入店舗が増えており、アプリの登録や利用手順がやや面倒という声もありますが、レジ待ちのストレスや人との接触を減らすことができるのは大きなメリットといえるでしょう。
国もコンビニの持続に向けた人手不足対策を要請
ここ近年、コンビニをめぐっては24時間営業の是非を問う議論が社会的にも広まっており、昨年2月には東大阪市のセブンイレブンFC店のオーナーが、人手不足による負担が限界に達したとして深夜営業を停止。これを受けてセブンイレブン本部は、時短営業の実験を本格的に開始し、ファミリーマート・ローソンも24時間営業の見直しを進めるなど、人手不足の影響は各社に波紋を広げています。
そうした中、世耕弘成・前経済産業相は昨年4月、コンビニ各社の幹部と会談し、人手不足や省力化対策の実施に向けた行動計画の策定を要請。その後の記者会見でも「国民全体にとってコンビニは、なくてはならないインフラ」と指摘し、コンビニの持続に必要な解決策を盛り込んだ行動計画づくりの必要性を訴えています。
たしかに、街のコンビニはいまや日常生活に欠かせない重要なインフラのひとつであり、災害時や防犯の拠点としての役割も担っています。ただ、365日・24時間営業が当たり前、いつでも店員がいて現金が使える……そんなコンビニのあり方は、今後、少しずつ変わっていくのかもしれません。
コロナ禍でコンビニの使われ方にも変化が
そして今、コロナ禍で人々の生活スタイルが大きく変化する中、コンビニの使われ方も徐々に変わりつつあるようです。とくに、今年4~5月の緊急事態宣言発令中は、遠出の外出を避けるために、近所のコンビニで保存食や日用品の買い物を済ませる消費者が増加。主力のおにぎりやサンドイッチが苦戦する一方で、酒類・冷凍食品などの売れ行きが急伸し、一部の店舗では缶チューハイや冷凍うどんの在庫を2倍に増やしたといいます。
こうした変化にいち早く対応すべく、セブンイレブンは従来の全国一律の店づくりから、現場の裁量を生かした個店主導の運営方式にシフトし、店舗レイアウトの刷新を急ピッチで進めています。本部が立地ごとに複数の店舗レイアウトを用意し、オーナーが自らの裁量で柔軟に採用・改良することで、地域ごとの顧客特性や多様化するニーズに対応する狙いです。すでに一部店舗で刷新を実施しており、2020年度は全国の8000店以上を対象に、現場主導でのレイアウト変更を進めていく方針を打ち出しています。
“持続可能なコンビニ”という着地点に向けて……
以上、人手不足やコロナ禍といった社会問題に直面しつつ、生き残りをかけて模索するコンビニ業界の取り組みを見てきました。先進テクノロジーで省人化を図る次世代型の店舗づくり、会計業務の負担を軽減するセルフレジの積極導入、現場の裁量を生かした店舗運営へのシフト……など、そのアプローチはさまざまですが、いずれも“持続可能なコンビニ”という着地点に向けて、各社とも新たな可能性を探っていることがうかがえます。
いずれにしても、本部主導・全国統一・24時間営業・大量出店を軸とした、コンビニ業界の強固なビジネスモデルは、いま大きな変革を迫られています。コンビニという存在が、私たちの生活に密着した街のインフラであり続けるためには、その姿やあり方も、柔軟に変化していくことが求められているのです。
全国に5万件以上あるコンビニの数だけ、それぞれのオリジナリティやスタイルがあっていい── これからは、そんな時代になってくるのかもしれません。
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