救急車に乗り、人命救助にあたるのは医師でも看護師でもなく消防士だった!
2019.06.26ピーポーピーポーピーポー……サイレンを鳴らして街を駆け抜ける救急車。急な病気やけがで119番に通報して救急車を呼ぶと、近くの消防署から救急車が無料で駆けつけてくれますが、これは日本の大きな特徴といえます。
外務省の調べによると、例えばパリでは医師が同乗した救命装置つきの救急車が駆けつけますが、2万3000円ほどが後日請求されますし、ニューヨークでは救急車を呼ぶと約300ドル(基本料金2万5000円+走行距離1マイルにつき約600円加算)がかかり、ドイツも同様に日本円に換算して約2万〜7万円が請求されます。そのほか中国、オーストラリアなどでも救急車を呼ぶとその費用が請求されます。
こうした救急車を取り巻く国別の実情を見ていくと、日本の救急事情(医療体制)がいかに安心で優れているかがわかりますね。そこで今回は、日本の救急車にまつわる“あれこれ”をご紹介します。
救急出動数が、社会問題化する日本?
消防白書によると、平成16(2004)年に初めて年間の救急車の出動出動件数が500万件を超えて以来、その後も一貫して増加傾向にあり、平成28(2016)年中の救急自動車による全国の救急出動件数は、620万9964件(対前年比15万5149件増、2.6%増)におよんだとされています。
この数を単純に割り算すると、国民の23人に1人が救急隊によって搬送されたことになりますから、いかに救急車が出動しているかがよくわかります。
ところが、その中にはこんな理由で、救急車を呼んだケースがあるというから驚きです。それは例えば……、
■病院に行きたいけれど、家族が留守なのでタクシー代わりに呼んだ……
■紙で指を切った。血は止まっているけれど心配だから救急車を呼んだ……
■持病のくすりがなくなってしまったから救急車を呼んだ……
■日焼けして皮膚がヒリヒリするから救急車を呼んだ……
■心臓がドキドキするから救急車を呼んだ……
こうしたケースはあくまで一部ですが、2017年の救急出動件数のうち約48%が軽症だったという数字が総務省消防庁から発表されています。もちろん救急車の数には限りがありますし、軽度の人の対応に追われていると、本当に命に危険がある人の搬送が遅れるなど、緊急時の現場到着が遅れる事態が起きてしまうことになってしまいます。
もし、救急車を呼んだ人が救急車を呼ぶほどの状況ではないことがはっきりとわかっていて、救急車を呼んだ場合、消防法違反(消防法第44条第20号)、軽犯罪法違反(軽犯罪法第1条第16号)、偽計業務妨害罪(刑法第233条)などに抵触する恐れがあり、罰金刑が言い渡される可能性があります。
そのため「病院に行ったほうがいい? 救急車を呼んだほうがいい」と判断に迷うときは、「♯7119」(救急安心センター)に電話して、まずは相談するようにしてほしい……と、救急車の適正利用を消防庁は広く呼びかけています。
救急車には、実は「消防士」が乗っている!
日本人に「救急車に乗っている人はどんな人?」と質問すると、多くの人から「看護師さん」「医師」といった回答を得ることが多いのですが、基本的に救急車に乗っている人は「消防士」です。
消防士の呼ばれる人は、それぞれ専門の「隊」に所属していて、それは大きく「消火隊」「救助隊」「救急隊」に分けられます。
つまり、救急車に乗っている人は「救急隊」に所属する消防士のことであり、消防学校や病院等で医学的知識を学び、毎日訓練に励んでいる人のことを指します。
さらに「救急隊」に所属する救急隊員のうち、短い時間の中で的確に高度な救命措置を取れることを目的に「救急救命士」という資格を取得した人が「救急救命士」となります。
実は以前まで、医師の資格を持たない救急隊員は、傷病者を搬送する最中に救急車内で医療措置を行うことができませんでした。しかし、救急救命措置の行える救急救命士が誕生したことで、傷病者の応急処置や蘇生処置を車内で迅速に行えるようになり、病院で待ち受ける医師への引き渡しがスムーズに。この変化によって救命率が格段に向上したといわれていいます。
特に重度傷病者や心肺が停止した人の場合、数分、数秒を争う蘇生措置が求められますので、救急車で搬送する最中に救急救命士が行う「救急救命処置」(応急処置や蘇生処置)は、非常に重要な措置といえます。
消防士が着用する防火服の、知られざる高機能
消防士は基本的にオレンジ色、ブラック、ブルー等のユニフォームを着用しています(行政地区によってカラーは異なります)。
消防士には制服と活動服があり、市町村の定めによってそれぞれ決まっていますが、なかでも消防士は、災害が発生したときにすぐに出動できるよう、または通報を受けて60秒以内に活動服に早着替えできるよう、日頃から訓練を積んでいます。
そして、火災や事故が発生した災害現場に駆けつける消防士が身につけるユニフォーム、長靴、ヘルメットは、炎や高熱に耐えうる防火機能が備わっていて、なかには防火服の中に内ポケットがついたものも。その内ポケットには火災現場出動時に専用保冷剤を仕込むことができます。
ところで、消防士が着用する防火服は、どれくらいの温度や、どれくらいの時間に耐えられるのでしょうか?
行政によってユニフォームの仕様は異なるのですべてに共通しているとはいえませんが、一部の防火服は、1200度の高温下でも40秒近く耐えられる難燃性素材を使用しているケースもあります。また消防士は、地面にひざをつく体勢をとることが多い点から、ひざ部分には補強素材が用いられています。
このほかにも行政によっては、ガスや液体などの化学物質が発生した災害現場でも活動できる「化学防護服」、放射線や放射能物質から身を守る「放射線防護服」、水難事故が発生した時に潜水隊員が着用する「ウエットスーツ」などもあります。
こうしたさまざまな高機能を備えた活動服には、人体工学をもとにあらゆる動きに対応できる立体構造が採用されていますが、すべてを着用すると総重量は20kg以上になることも。それは小学生一人をおぶって活動することになるのと同じことですので、消防士の仕事がいかに重労働であるかが推測できますね。
人命救助、災害などに即したユニフォーム
一方で、救急救命士の資格を有し、主に救急車に乗って活動する消防士は、救急活動中に接する傷病者や家族に清潔感を持たれるよう、グレー、白、オレンジなどを基調とした、市町村で定められた制服を着用すしていますす。あるいは、ブルーの感染防止衣を着ている場合もあります。
さらに、救命処置に必要な医療器具(ポケットマスク、手袋、聴診器、ペンライト、時計など)を迅速に取り出せるよう、ポケット機能が充実したベストを着用している人もいますが、救急救命士との資格取得者は、「救急救命士」と書かれたワッペンを右腕等につけることが義務付けられています。
東本大震災発生時、内閣総理大臣、石原東京都知事の派遣要請を受け、福島第一原発3号機使用済燃料プールの放水活動に向けて、東京消防庁、大阪市消防局、横浜市消防局、川崎市消防局、名古屋市消防局、京都市消防局および神戸市消防局に所属する134隊・計655人が、緊急消防援助隊として出動しました。水素爆発によるがれきが飛散する過酷な状況下、コンクリートポンプ車を用いた緊急消防隊員による命がけの作業は日本のみならず世界からも注目され、私たちはその模様を伝える報道に釘づけになりました。
24時間、365日。いついかなるときも人命救助にあたる消防士。その仕事と使命に私たちは本当に頭が下がりますね。
── 昨今、小学生男児の「将来なりたい職業」のトップに「学者・研究者」がランクインして話題になっていますが、2018年に発表されたある調査によると、小学生男児の「将来なりたい職業」のランキング中「消防士」が10位以内にランクイン!
救急医療の最前線や、災害、火災の災害現場で活躍するスペシャリストと私たちは普段接する機会は少ないといえますが、その活動領域や消防士という職業の専門性の高さ、ユニフォームに隠された高機能性などに目を向けると、子ともたちに人気が高い職業であることに納得がいきますね。
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