大工入門者におくる、大工道具の基礎知識〈1〉
2020.03.30「大工になろう!」と決心し、いよいよ見習いになったなら、親方や先輩職人が道具を貸してくれるかもしれません。しかし、いつまでも借り物で仕事を続けていくわけにはいきません。将来も大工職人として身を立ていく決意がある人なら、自分だけの道具を持つ必要があります。
とはいえ、ひと口に大工道具といっても実に多くの道具があります。それらを一気にまとめて揃えようとすれば、数十万円の出費を覚悟しなければならないでしょう。見習いの立場でそれだけの出費はなかなか難しい……となればコツコツお金を貯めて、自分が必要とする道具をひとつずつ揃えていくことが現実的です。
そこで今回は、2回に分けて大工に必要なさまざまな道具の基礎知識を紹介していきます。大工にはどのような道具が必要で、それらは何の目的で使用するのか。また、道具の選び方、種類や正しい使い方など、道具にまつわる細かい情報も解説していきます。大工初心者必見です!
鉋(カンナ)を使いこなせてこそ一人前
木材の表面を削って滑らかにする道具がカンナ。一般的にもよく知られた大工道具です。
よく研いだ鋼の刃を木製のカンナ台に入れ、その刃先を台の下から少しだけ出して木材の上を引いて削ります。向こうが透けて見えるほど薄く、長いカンナくずが出るように調整されたものがよいカンナとされています。しかし、カンナ台は狂いやすいうえ、使えば使うほど刃先もすり減ります。常に調子よく使い続けるには、刃先をきちんと研いでおくなど、適切な手入れを行う必要があります。
ベテランの大工は、削ったカンナくずが薄く真っすぐか、縮れているか、それともやわらかくカールしているか……で、カンナの調整がきちんとできているかどうかがわかるといいます。つまり、カンナをきちんと調整し、使いこなしてこそ一人前の大工職人といえるのです。
カンナにはさまざまな種類がありますが、最初に持つべきは平台カンナ(平カンナ)です。素人でもよく目にするもっともポピュラーなカンナで、刃の幅によって寸八、寸六などのサイズがあります。刃の幅が広ければそれだけ多くの面積を削ることができますが、引くときの抵抗が大きくなります。手の大きさや腕力を考え、自分に合ったものを選びましょう。
ちなみに、カンナの刃はかつて一枚刃でしたが、現在は二枚刃が主流です。というのも、二枚の刃を合わせて使うことで、木の表面に生じる坂目を防ぐことができるから。二枚刃のカンナなら、初心者でも比較的に楽に使いこなすことができるでしょう。
目的や使用個所によって使い分ける鉋(カンナ)
カンナは平台カンナ以外にも、実にさまざまなカンナがあります。目的や使用個所によって使い分けましょう。
●面取りカンナ……木材の角を取ったり、角の部分に飾り模様などを削り出したりするときに使うカンナ。
●反り台カンナ……カンナ台の下が湾曲しているカンナで、テーブルの脚やイスの背など、湾曲した内側の仕上げに使われます。
●丸カンナ……カンナ台の下が凹型に湾曲した内丸カンナは削る面が山型に、逆に凸型に湾曲した外丸カンナは削る面が谷型になります。
●際カンナ……平台カンナの刃を一方に寄せて斜めに入れたカンナで、カンナ台の側面に刃が出るようになっています。階段上の部材の際まできれいに削ることができます。
他にもまだたくさんありますが、一度にすべてのカンナを揃える必要はありません。まずは平台カンナを購入し、作業で必要になったタイミングで一つずつ揃えていきましょう。
大工道具の中でもっとも種類が多い鑿(ノミ)
木材に細かい細工を施すときに必須のノミ。これを上手に使いこなせるようになれば、ホゾ穴の加工や仕上げ面の装飾などがきれいにできるようになります。それだけ大工としての仕事の幅も広がる、というわけです。
ノミは刃の形や幅などでさまざまな種類があり、大工道具の中でももっとも種類の多い道具といえるでしょう。ノミはその道具としての性格上、大は小を兼ねるというようなことにはならないため、刃の幅や形が違うものを揃えていけば、その数は無限にも広がっていきます。
ノミは大きく分けて玄翁(ゲンノウ)などで叩いて使う「叩きノミ」と、手で押して部材を削る「突きノミ」があります。ノミの柄の頭部に、冠(カツラ)と呼ばれる金属の輪(下画像)がついているものが叩きノミです。このカツラがあることで、ノミを叩いても柄が壊れることなく刃先に力が伝わります。
叩きノミでもっともポピュラーなものが追入れノミで、木工細工の作業のほとんどに対応できます。ベテランの大工がひと揃いという基本セットは、この叩きノミ(追入れノミ)の刃幅が六分、八分、そして一寸二分〜一寸六分までのもの。10本セットなどで売っているものもありますが、慌ててすべてを揃えるのではなく、必要に応じて1本ずつ買い揃えていくのが賢い方法です。
また、ノミは使っているうちに必ず刃の切れ味が落ちてきます。そうなると手先に余分な力が入り、ケガにつながる危険性が増します。それを防ぐためには、常に刃先をきれいに砥ぎ、よく切れる状態を保っておかなくてはなりません。その意味からも最初の1本は安価なものを求め、マメに砥ぎ、その作業に慣れてから高価なものを購入するとよいでしょう。
追入れノミ以外のノミについて
追入れノミ以外のノミについても簡単に紹介しておきましょう。
●丸ノミ……叩きノミの一種で、刃先が丸く湾曲しています。内丸ノミと外丸ノミがあり、鉢など内側が丸いものの細工をする場合は内丸ノミが便利です。
●鎬(シノギ)ノミ……刃の表面が三角形をしたノミで、突きノミの一種。タンスなどの家具に使われる蟻組み加工(無垢板同士を直角に接合する際に強度を要する組手のひとつ)をするときなどに用いられます。
●こてノミ……佐官職人が使うこてに似たノミで、突きノミの一種。溝の底の仕上げなどに用いられます。
●薄ノミ……突きノミの一種で、ホゾ穴の仕上げなどに用いられます。
彫刻刀や切り出し小刀などもノミの一種ですが、そのほかにもまだまだたくさんの種類があります。必要に応じて揃えていきましょう。
電動工具全盛の時代でも、手で挽く鋸(ノコギリ)はマストアイテム
大工職人は、略して「ノコ」と言うのが一般的ですが、木材を切断するときに使うノコギリは一般にも広く使われている大工道具であり、ノコギリを知らない人はいないでしょう。
現在は便利な電動工具が数多く売られており、木材を大量に切断しなければならないようなときは電動ノコギリを使ったほうが効率よく仕事を進められます。しかし、現場で瞬時に材料をすぐに切断したいときなど、手で挽(ひ)くノコギリの優位性も確実にあります。
ノコギリで誤差なく正確に切断するためには、それなりのコツと経験値が必要ですが、練習を重ねることでミリ単位で正確に切断できるようになりますし、切断面をきれいにすることもさほど難しいことではありません。ノコギリは、大工初心者にとって最初に使いこなせるようになりたい道具であり、使いこなすべき道具であるともいえるでしょう。
さまざまな種類があるノコギリ
カンナ、ノミと同じくノコギリにもさまざまな種類があります。主なものを紹介しましょう。
●縦挽きノコギリ……木材を繊維と平行に切断するときに切りやすいノコギリです。刃の形はノミの刃を縦に並べたような形をしており、この刃が引っかくように木材の繊維を切っていきます。ノコギリを手前に引くときに切れるチカラが働き、押すときには力は必要ありません。
●横挽きノコギリ……木材の繊維を横に断ち切る方向に使うノコギリです。切りやすいよう、刃のひとつひとつは切り出しナイフのようになっています。横挽きのノコギリを縦挽きに使うと、木材の繊維が細かく切断されて目詰まりを起こします。プロであれば、この使い分けをきちんとマスターしたいものです。
●両刃ノコギリ……縦挽きと横挽きの刃をノコ身(ノコギリの金属部分)の両側に刻んだタイプ。1本のノコギリで縦挽きにも横挽きにも対応できる、広く使われているノコギリです。
●銅突きノコギリ……薄くて曲がりやすいノコ身(ノコギリの金属部分)に、背金を付けて補強しているノコギリ。細かい加工をする場合などに使います。
── ノコギリも切れ味が命。ノコ身の取り替えができるものも多く存在しますので、常にきちんとメンテナンスをすることで、切れ味が落ちないように気をつけなければいけません。そうした意味において、熟練の大工職人には柄の部分のを自分が使いやすいように切ったり削ったりしている人も多くいます。これは、その柄を活かし、ノコ身を取り替えて長く使ことを目的としています。このように、道具を自分にフィットさせることも、腕のよい職人の条件のひとつといえるでしょう。
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