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建設業とは?業界の構造や職種などについて徹底解説!

建設業界は元請け事業者と下請け事業者による重層下請け構造になっているのが特徴です。大規模な工事ではゼネコンが下請け事業者を束ねる形態をとっています。建設業界の構造を解説したうえで、企業や職種、職人の種類などについて触れていきます。

建設業界は「重層下請け構造」

建設業界は、元請け事業者であるゼネコンが国や地方公共団体、民間企業から土木工事や建築工事を受注し、下請け事業者となるサブコンに発注し、さらにサブコンが中小の職人を抱える事業者に発注する重層下請け構造になっています。元請けから仕事を受ける事業者を一次下請け、一次下請けから仕事を受ける事業者を二次下請けや孫請けと呼びます。ゼネコンは工事全体の工程や原価、品質の管理、下請け事業者を含めた現場の安全管理を担い、複数の下請け事業者をとりまとめて工事を進めていく役割を担っています。

「一括下請け=丸投げ」は禁止

建設業法では、原則として一括下請けを禁止していますので、元請け事業者が下請け事業者に丸投げすることはできません。一括下請けが禁止されている理由や適用の範囲、判断基準について解説しています。

一括下請けが禁止されている理由

一括下請けが禁止されている理由は大きく分けて3つあります。1つ目は、発注者は元請け事業者の実績などをもとに技術力などを信頼して発注していることです。2つ目として、責任の所在が不明確になることが挙げられます。3つ目は、仲介業者が利益を得ることで下請け事業者の利益が圧縮されるのを防ぐとことが理由です。

一括下請け禁止の適用の範囲

公共工事に例外規定はなく、共同住宅の新築工事を除く民間工事で、発注者で事前に書面で承諾を得た場合のみ、例外とされています。一括下請けの禁止は元請け事業者から一次下請け事業者への発注に限らず、一次下請け事業者から二次下請け事業者、二次下請けから三次下請けなども適用範囲に制限はなく、対象になります。

一括下請けの判断基準

一括下請けに該当するかどうかの基準は、元請け事業者が実質的な関与を行っているかで判断されます。元請け事業者が施工計画の作成や工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導などを行うことが必要です。

施工計画の作成では、工事全体の施工計画書や下請け事業者の施工要領書などの確認といったことを行います。工程管理では、工事全体の進捗確認や下請け事業者の工程の調整をします。品質管理では下請け事業者からの施工報告を確認し、必要に応じて立ち会いを行います。安全管理は労働安全衛生法に基づいて、現場の安全確保のための協議組織の設置や運営、巡視などを行うものです。技術的指導は工事規模に応じて主任技術者または監理技術者を配置し、法令遵守の徹底や職務遂行状況の確認、総括的技術指導を行います。

建設業の許可とは

一定規模以上の工事を請け負うためには、建設業の許可が必要です。建設業の許可が必要な基準や建設業の許可の種類などについて解説していきます。

建設業の許可が必要な工事とは

建設工事を請け負うには、原則として建設業の許可が必要ですが、軽微な工事では建設業の許可を受けずに営むことができます。軽微な工事とされるのは、建築一式工事では請負代金が1500万円未満の工事、あるいは延床面積が150㎡未満の木造住宅の工事が該当します。建築一式工事以外では、請負代金の額が500万円未満の工事です。この基準を超える場合、建設業の許可を受けなければ工事を請け負うことはできません。

建設業の許可の工事の種類

建設業の許可は業種別許可制のため、工事の種類による業種ごとにとる必要があります。建設業の許可は、一式工事2種類と専門工事27 種類、合計29種類の業種です。一式工事には土木一式工事と建築一式工事があり、土木一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」、建築一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」と位置付けられています。

<建設業の許可の29業種>

  1. 土木一式工事業
  2. 建築一式工事業
  3. 大工工事業
  4. 左官工事業
  5. とび・土工工事業
  6. 石工事業
  7. 屋根工事業
  8. 電気工事業
  9. 管工事業
  10. タイル・レンガ工事業
  11. 鋼構造物工事業
  12. 鉄筋工事業
  13. 舗装工事業
  14. しゅんせつ工事業
  15. 板金工事業
  16. ガラス工事業
  17. 塗装工事業
  18. 防水工事業
  19. 内装仕上工事業
  20. 機械器具設置工事業
  21. 熱絶縁工事業
  22. 電気通信工事業
  23. 造園工事業
  24. さく井工事業
  25. 建具工事業
  26. 水道施設工事業
  27. 消防施設工事業
  28. 清掃施設工事業
  29. 解体工事業

一般建設業と特定建設業の許可の違いとは?

発注者から元請け事業者として直接請け負い、建設工事業(建設一式工事)以外は4000万円以上、建築工事業の場合は6000万円以上の下請契約を結ぶためには特定建設業の許可が必要です。それ以外は一般建設業の許可で請け負うことができます。たとえば、7000万円の工事を直接発注者から請け負っても、自社で担う工事の割合が高く、下請契約が4000万円未満であれば、一般建設業の許可で問題ありません。

大臣許可と知事許可の違い

建設業の許可は、2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合は国土交通大臣、1つの都道府県に営業所を設ける場合は都道府県知事が許可を行います。営業所の所在地による区分であり、知事許可の建設会社も他の都道府県で営業や施工を行うことは可能です。

建設業の企業の種類

ゼネコンやサブコンなど、建設業の主な企業の種類についてまとめました。

ゼネコン

ゼネコンは「General Contractor」の略で、国や地方公共団体、民間企業から、大規模な土木工事または建築工事を建築一式工事、土木一式工事として請け負う事業者で、総合建設業者と呼ばれています。土木工事ではトンネルやダム道路、建築工事ではオフィスビルやマンションなどを請け負っています。公共工事の発注では、公平性を図るため、国や地方自治体が入札を行い、発注先となる建設会社が決まります。

ゼネコンは工事全体のトータルプロデュースを担う立場で、プロジェクトリーダーとしてサブコンなどの専門工事業者を集めて、工作物や建築物の完成までの責任を負います。実際に工事の作業を担うのではなく、発注者との折衝、工事全体の施工計画や工程管理、原価管理、品質管理、工程管理、安全管理などを担う役割です。

ゼネコンの中でも、年間売上高が一兆円を超える大手5社はスーパーゼネコンと呼ばれ、鹿島建設と清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店が該当します。準大手ゼネコンと呼ばれるのは、五洋建設と長谷工コーポレーション、戸田建設、熊谷組、前田建設工業、西松建設、三井住友建設、安藤ハザマ、東急建設です。奥村組と鉄建建設、東洋建設、東亜建設工業、淺沼組、飛島建設、錢高組、大豊建設は中堅ゼネコンと呼ばれています。また、海洋土木工事に強いゼネコンはマリコンとも呼ばれ、五洋建設と東亜建設工業、東洋建設が該当します。道路舗装業を得意とするNIPPOや前田道路、日本道路といったゼネコンもあります。

サブコン

サブコンとは「Subcontractor」の略で、ゼネコンから専門工事を請け負う下請け事業者のことです。ゼネコンは発注者から土木工事一式、建築工事一式といった形で工事を請け負います。たとえば、建築一式工事の場合、ゼネコンは電気設備工事や衛生設備工事、空調設備工事、消防設備工事といった専門工事ごとにサブコンに発注します。また、サブコンは下請け事業者としての仕事を担うだけではなく、発注者から直接受注することもあります。

設計事務所

設計事務所の主な役割は建築物の設計を行うことですが、建物の計画段階から完成に至るまでの様々な業務を担っています。ゼネコンや工務店の一部やハウスメーカーなどでも、自社の設計部を持っていますが、設計業務を専門に行うのが設計事務所です。設計事務所が関わる建築物の規模や種類は、戸建て住宅からマンション、オフィスビル、工場、病院、学校など様々です。

設計事務所は計画段階では、敷地調査や周辺調査のほか、都市計画による用途制限など法令上の規制などを調査します。そして建築設計では、まず、建物の大まかな計画を決める基本設計の後、施工のために必要な詳細図を作成する実施設計に入ります。その後、建築確認申請が下りたら、建設工事が着工する流れです。施工業者の選定にあたっては見積もりチェックを行い、アドバイスをします。工事期間中は工事監理を行い、施工者へ設計意図を伝えて、施工図の検討や承認、工事の確認、各種検査の立ち会いをすることで、設計図通りに適正に建築物が完成するようにチェックしていきます。

また、設計事務所には意匠設計事務所と構造設計事務所、設備設計事務所という種類があり、前述した役割を担うのは意匠設計事務所です。さらに意匠設計事務所には、建築家の個性を強く打ち出し作家性のあるアトリエ系設計事務所や、意匠から建築構造、建築設備などに至るまで統合的に計画できる大規模な組織系設計事務所といった種類もあります。構造設計事務所は、意匠設計事務所や建設会社からの依頼で構造計算や構造図の作成を担う設計事務所です。設備設計事務所も意匠設計事務所や建設会社からの依頼で、電気設備や給排水設備、衛生設備などの設計を担っています。

工務店

工務店とは、地域密着で運営されている比較的小規模な建設会社をいいます。工務店は複数の営業拠点を持つ場合も、市内や県内、営業エリアは広くても近隣の県までといったところが中心です。

工務店は主に3つの形態に分けられます。1つ目は、社員が数名程度の街の小さな規模の工務店で、立地する市町村を中心に地域密着型で営業を行っている形態です。2つ目はビルダーと呼ばれる形態で、一般的な工務店よりも年間の着工棟数が多く、近隣の市や県まで営業エリアを広げています。自社ブランドを展開して、モデルハウスや住宅展示場を持っているところもあります。3つ目は本部が提供する資材や工法を使用するフランチャイズに加盟している工務店です。

ハウスメーカー

ハウスメーカーは、工場で生産された自社のオリジナルの規格化された資材を使用して、全国的な規模で注文住宅を大量に供給している建設会社をいいます。建築材料や主要構造部などの型式適合認定を取得することで、建築確認申請の際の提出書類や審査を簡素化されていることや、工事がシステム化されていることから、一般的な注文住宅よりも工期が短くて済むのが特徴です。また、均一な品質で工事が行われるというメリットもあります。ただし、ハウスメーカーの注文住宅は自由設計であっても、プランの自由度には制約があるケースが多いです。

建設会社の職種とは?

建設会社の主な職種について、ゼネコンを例に挙げて解説していきます。

設計

ゼネコンは設計事務所の設計による建築物の施工が多いですが、自社設計による設計施工一貫方式での受注もあります。工程の合理化を図った設計が実現しやすい、責任の所在が明確化するといった点がメリットです。ゼネコンの設計は、建築の意匠設計と構造設計、設備設計のほか、土木設計に分かれます。

施工管理

施工管理は設計図通りに、建築物や工作物を建設するため、サブコンなどの専門工事業者を管理・監督する役割を担っています。設計図をもとに施工図を作成して施工計画を立て、スケジュール通り工程が進行するようにチェックを行い、作業の調整をすることもあります。また、品質や予算の管理を行い、労災事故が起こらないように工事現場の安全にも配慮します。

営業

ゼネコンの営業の仕事は、公共工事を受注するための官庁営業と、一般企業を対象とした民間営業に分けることができます。官庁営業の場合、公共工事は入札で決まるため、入札の情報収集を行い、設計部門や工事部門と連携して、建設計画や工期、予算をとりまとめて入札をします。民間営業の場合、顧客の工事予定の情報を取得した後、建設計画や工期、予算をとりまとめて提案を行います。民間企業の場合もコンペになることが一般的です。工事を受注した後は、工事自体は工事部門に引き継ぎますが、営業も工事現場に足を運んだり、アフターフォロー対応を行ったりします。

建設業の職人の種類

建設業では、様々な工程で専門的なスキルを持った職人が活躍しています。主な職人の種類を紹介していきます。

大工

木造の建築物の場合、大工は基礎工事の後、構造体となる骨組みのほか、屋根や壁、天井、床の下地をつくっていくため、工事の中心的な役割を持っています。鉄骨造やRC造などの建築物では、内部の天井下地や床下地などの大工工事を担っています。また、現場での仕事のほか、作業場で木材の加工を行うこともあります。

鳶職

鳶職は建築工事や土木工事の現場で高所での作業を担う職人です。鳶職には足場の設置を行う足場鳶、クレーンなどで吊り上げた鉄骨を組立てる鉄骨鳶のほか、大型機械や橋げたといった重量物の移設を手掛ける重量鳶という種類があります。

鉄筋工

鉄筋工は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のビルやマンションなどの建築物、橋やトンネル、高速道路、ダムなどの工作物の構造体となる、鉄筋を編み目状に組む職人です。 ビルの場合、床スラブや柱、梁などの部位に鉄筋が組んでありますが、使用する鉄筋の太さは部位などによって異なるものを使用することが必要です。 完成するとコンクリートで覆われるため、鉄筋は見えなくなりますが、建築物や工作物の骨組みを担う重要な役割を担っています。

型枠大工

型枠大工は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物や工作物で、コンクリートを流し込むための型枠を組立てる職人です。前述した鉄筋工と連携して作業を進めていきます。

塗装工

塗装工は建物の外装の屋根や壁、内装の壁や床、天井に塗料を塗り、仕上げを行う職人です。塗装工事は美観をよくするとともに、建物を保護する目的で行われます。塗装工事は通常、下塗りの後、本塗りは中塗りと上塗りの2回行います。

左官

左官は、建築物の壁や床にコテを使って、モルタルやセメント、土などを塗り、下地材としたり、漆喰や珪藻土などの仕上げ材を塗って仕上げる作業を担う職人です。施工箇所は外壁、キッチンや浴室、洗面所、玄関アプローチの床や壁、駐車場が中心です。RC造の建築物でモルタル下地を塗るケースや、住宅の外壁をモルタル壁にするケースが減ってきたことから、職人が減少傾向にありました。昨今では、エコ意識の高まりから、漆喰や珪藻土、シラスなどの自然素材が注目されているため、左官は一定のニーズがあります。

まとめ

建設業界にはゼネコンをはじめとする様々な形態の企業があり、業種によって異なる建設業の許可が必要とされます。また、ビルやマンションなどの建築物や、ダムや道路などの工作物の工事では、様々な企業や職種、職人が関わって、完成物となっています。

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