ケアマネジャーは何でも相談できる、介護生活の頼れるパートナー!
2021.07.27
わが国の高齢化が深刻な社会問題となり、その解決策として2000(平成12)年にスタートした介護保険制度とは、介護が必要となった高齢者とその家族を社会全体で支えていく仕組みであり、介護が必要な人(要支援者・要介護者)に介護費用を給付する制度です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)はこの介護保険制度の中核を担うためにうまれた職種、業務内容は多岐にわたり、介護保険のスペシャリストともいわれています。
ケアマネジャーは、介護業界のキャリアパスの到達点として位置づけられ、多くの人が目指す資格。今回はケアマネジャーについて、仕事内容やなり方、コロナ禍での対応などをみていきましょう。
ケアマネジャーは、介護相談のプロフェッショナル

ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」。「ケアマネ」という略称で呼ばれることが多く、介護を必要とする高齢者と介護保険サービスをつなぐ重要な役割を担います。
ケアマネジメントとは主に福祉分野において、要介護者や要支援者、障がいを持つ人などが自立した生活を送るため、さまざまな課題を解決していくプロセスとそれを支えるシステムのこと。ケアマネジャーは介護保険に基づいて利用者にケアマネジメントを行います。主なものをあげてみましょう。
【アセスメント(課題分析)】
アセスメントとは、介護過程の第一段階において、利用者の現在の状態をよく知り、「どのような介護サービスが適切なのか」を総合的に判断するため、利用者の心身の状態や生活の状況、家族の希望などを聞き取り、確認すること。このステップを踏むことで、ケアマネジャーはケアプラン(介護サービス計画)の作成に着手することができる。
○ケアマネジャーによる主な確認事項
・ 今までどのような生活をしていたのか。
・ どうして介護が必要な状態になったのか。
・ これからどのように暮らしていきたいのか。
・ 家族はどのようにかかわることができるのか。
・ 近所付き合いはどうだったのか。
【要介護認定の調査】
要介護認定とは、「身体機能」「生活機能」「認知機能」などをチェックし、介護を必要とする高齢者にどの程度の介護(「要支援1~2」または「要介護1~5」) が必要かを判定するためのもの。
要介護認定を受けることによって、介護が必要な状態であると市区町村が認定し、介護保険の給付を受けられる。調査は高齢者の自宅などを訪問して行われる。
【ケアプラン(介護サービス計画)の作成】
介護サービスとひと口にいっても、施設でのサービスから訪問型のサービス、福祉用具のレンタルまでさまざまあり、初めて介護に直面する人にはわからないことが多いもの。ケアプランとは、利用者がどのタイミングでどのサービスを利用するのが適切か、総合的に判断して作成する「サービス利用計画」。
ケアプランなしには介護サービスを受けることはできず、ケアプランの作成はケアマネジャーのメイン業務といえる。
【ケアプランの管理と再評価(モニタリング)】
ケアプランに沿って提供されている介護サービスが、利用者本人や家族のニーズに合っているかを定期的(要介護1以上は月に1回以上)にチェックすることをモニタリングと呼び、必要に応じてケアプランを変更する。
○モニタリングの主な確認事項
・自立して暮らし続けられるように、適切なサービスや援助を受けているか。
・ ケアプランに沿って、きちんと支援が受けられているか。
・ 新たなニーズはないか。
【サービス担当者会議の運営】
「サービス担当者会議」とは、サービスを利用している要介護者やその家族、介護サービスを提供しているすべての事業所の担当者、かかりつけ医などが出席し、よりよい支援を提供するために行われる会議。
○どのようなとき、サービス担当者会議が開催されるのか
・初めてケアプランを作成するとき。
・ 要介護度が変更になるとき。
・ 要支援から要介護へ変更(逆の場合にも)になるとき。
・ 要介護の更新認定などを受けたとき。
このほかにも必要に応じて随時開催する。
【サービス事業者や利用者との調整】
ケアプランに沿って利用者が介護サービスを受けるためには、支援を行うサービス事業者の選定が必要であり、ケアマネジャーが利用者にさまざまな情報を提供し、利用者と事業所をつなぐサポートをする。さらに、どの事業者を選定するのかを決定し、連絡・調整を行う。
また、高齢者は事業所に要望やクレームを直接言いづらい場合があり、そのようなときは、ケアマネージャーが代弁して事業所に意見を伝えたり、反対に事業所の考えを利用者に伝えるなど、調整役を務める。
ほかにも、介護給付費の管理、要介護認定申請の代行や、生活困窮者には生活保護申請の補助を、食事に困っている人に配食の紹介、ときには施設の利用者とその家族の仲を取りもつなど、ケアマネジャーは、利用者をしっかりとサポートしてくれる頼もしい存在です。

ケアマネジャーへの道のり
ケアマネジャー(介護支援専門員)になるためには、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があり、この試験は各都道府県により管理されているため、介護支援専門員資格は公的資格に属しています。
この試験を受験するためには資格を要し、定められている業務について5年以上かつ900日以上の勤務実績が必要です。受験資格を満たして試験に合格し、介護支援専門員実務研修を受講し、修了すればケアマネジャーの資格を取得できます。
【ケアマネジャーの受験資格に該当する職種】
下記の職種で5年以上かつ900日以上の勤務実績が必要。
○国家資格(下記参照)を有する職種
○生活相談員
○支援相談員
○相談支援専門員
○主任相談支援員……のいずれか。
【ケアマネジャーの受験資格に該当する国家資格】
ケアマネジャーの受験資格を得るために必要な勤務実績として認められる職種としては、医療や介護にかかわる以下の国家資格があげられます。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士が該当します。
このうち、いずれかの資格を持ち、実績を5年以上かつ900日以上積んでいれば、ケアマネジャーの試験である「介護支援専門員実務研修受講試験」が受験可能です。
なお、2018年から制度が変更され、ケアマネジャーの受験資格がより厳格になり、2017年までは医療や介護にかんする資格がなくとも、介護の実務経験を10年以上積んでいれば「介護支援専門員実務研修受講試験」を受験できましたが、2018年からは介護福祉士以外の介護職要件が除外されました。
また、試験に合格してすぐにケアマネジャーとして働けるわけではありません。試験に合格後、「介護支援専門員実務研修」という実務研修を受講しなければならず、これは15日間(87時間)の講義・演習と、3日間の実務研修で構成され、全日程受講後、登録申請をし、介護支援専門員証が交付された段階で、初めてケアマネジャーの資格を得ることができます。
さらに、ケアマネジャーになる際に交付される「介護支援専門員証」には有効期間があり、有効期間は5年間、有効期間の満了日までに特定の研修を修了し更新しなければ、ケアマネジャーとして業務に従事できません。有効期間を過ぎてからでは更新の申請ができず、「再研修」を受講のうえ新たに交付申請しなければなりません。
更新に必要な研修は、ケアマネジャーとしての勤務状況や、資格証を交付された都道府県によってカリキュラムが変わります。
ケアマネへの道のりは、なかなか険しいことがわかりますが、それは、ケアマネジャーという業務や役割の重さを意味することであり、確かな知識と経験が求められる仕事ということでしょう。ケアマネジャーの資格試験は年に一度、受験者には介護や医療に携わる人が多く、受験者の半数以上は介護福祉士です。

居宅ケアマネと施設ケアマネ
ケアマネジャーには、大きく分けて2つの働き方があります。自宅で生活する人を担当する「居宅ケアマネ」と、施設に暮らす人を対象とした「施設ケアマネ」です。
「居宅ケアマネ」は、在宅で介護を受けている高齢者に居宅介護サービスを提供するために必要な支援をする「居宅介護支援事業所」に勤務し、「施設ケアマネ」は介護老人保健施設や特別養護老人ホームのほか、有料老人ホームなどで働いています。簡単に比較してみましょう。
【居宅ケアマネ】
○居宅介護支援事業所に勤務し、対象となる利用者は在宅で介護サービスを受けている。
○利用者の自宅を訪問し、利用者の生活状況に合わせて適切なサービスを選択し、事業所内でケアプランを作成するなどが主な仕事。
○介護の状況に合わせてケアプランの見直し(モニタリング)を行い、常に利用者に合ったサービスを提供できるよう調整する。
○利用者にかかわるそれぞれの専門職が、うまく連携を取れるよう、スケジュール管理や意見調整を行う。
【施設ケアマネ】
○特定の施設に勤務し、施設内の利用者のケアプラン作成など、ケアマネジメントを行う。
○ケアプランを受け持つ対象者は施設内の利用者に限られ、施設利用者のその日のプランニングを行う。
○(担当するケアプランが少ない中小規模の施設では)事務所での受付や電話対応、デイケアやショートステイの送迎、ヘルパーと一緒に介護業務も兼務することが多い。
○業務内容は施設によって異なり、夜勤業務を受け持つこともある。
○勤務時間は施設の1日の流れに準じているため、居宅ケアマネのように利用者の都合などによってスケジュールを管理する必要はほとんどない。
○施設全体のかかわりや、職員の連携をつくっていくという意味で、管理職に通ずる役割も担う。
居宅ケアマネと施設ケアマネとの違いで、最も異なる点は担当人数です。居宅ケアマネの担当数は35人以下に対し、施設ケアマネは大規模施設であれば100人ほどとその差は大きく、多くの担当数をこなさなければならない施設ケアマネは、書類作成など事務作業にかかる時間をどれだけ短縮できるかがポイントになります。
ケアマネジャーのメイン業務であるケアプランの作成を比較すると、居宅ケアマネは利用者一人ひとりの自宅へ訪問して生活環境や身体の状態に合わせ、外部機関のサービスから取捨選択してケアプランを作成するのに対し、施設ケアマネは、基本的には施設内で行えるサービスから選び、利用者に合ったケアプランを作成します。
このため、居宅ケアマネは関連する介護サービス事業所との連絡調整が多くなるため、ケアプラン1件にかける時間は施設ケアマネより長くなってしまいます。
また、居宅ケアマネは現場ではなく事業所に出勤するため介護業務との兼務はほとんどないのに対し、中小規模の施設では介護業務を兼務する場合が少なくありません。同じケアマネジャー業務でもそれぞれに働き方が違うため、自分のライフスタイルやライフプランに合わせた働き方を考えるとよいでしょう。
コロナ禍でのケアマネジャーの対応

介護業界にも甚大な影響をおよぼしているコロナ禍のなか、ケアマネージャーをとりまく環境や業務にはどのような対応がとられているのでしょうか。簡単にご紹介しましょう。
ケアマネジャーが働く事業所や施設では、たとえば、以下のようなことが行われています。
【従業員への対応】
○手指消毒、マスク着用、うがい、出勤時と退社時の体温測定、手洗い後のタオル共用禁止。
○手指消毒用アルコールスプレー、体温計の配布。
○起床時の計熱と報告。
○必要時には防護服、ゴーグル、手袋、ユニフォームを着用して事業所(施設)で洗濯。
○一人1台の電話機利用。
○テレワークの実施。
○通勤時間をずらす。
【事務所内での対応】
○屋内の消毒を2~3回/日、共用品の消毒、パーティションでの仕切り、換気、飛沫防止シート。
○デスクの距離や休憩室の椅子の配置(向き合わない、一定距離の確保)、入口のドアをあける。
○感染防止のための資料をよく読む。
【ケアマネが訪問時に行う対応】
○訪問時間短縮(担当者会議以外は15分以内)。
○利用者宅から利用者宅への連続の訪問をしない。
○事前に訪問の可否を確認する。
○感染不安の高い利用者は玄関先で対応する。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、厚生労働省が公表した臨時の取り扱いとして、「感染拡大防止の観点からやむを得ない理由がある場合」には柔軟な対応を認めるとしています。
このような点から、ケアマネジャーの重要な業務である、サービス担当者会議とモニタリングについて、どのような対処が行われているのか、簡単にまとめてみましょう。
【サービス担当者会議】
○感染拡大防止の観点から、開催するのにやむを得ない理由がある場合については、利用者の自宅以外での開催や、電話・メールなどを活用するなどにより、柔軟に対応することが可能。
○利用者の状態に大きな変化が見られないなど、居宅サービス計画の変更内容が軽微であると認められる場合には、サービス担当者会議の開催は不要。

【モニタリング】
○居宅介護支援のモニタリングについて、感染拡大防止の観点から、利用者の事情などにより利用者の居宅を訪問できないなど、やむを得ない理由がある場合については利用者への電話・メールなどによる聞き取りや利用者の家族、サービス提供事業所への聞き取りなど、可能な範囲でモニタリングを行う。
○月1回以上の実施ができない場合についても、柔軟な取り扱いが可能。
○「居宅サービス計画第5表(支援経過)」、「モニタリングシート」などにモニタリングの結果を記録し、利用者の居宅を訪問できないやむを得ない理由を記録する。
一方で周知のとおり、多くの病院が患者への面会を断り、関係者に極力訪問しないよう呼びかけています。しかしながら、ケアマネにとっては、利用者の入退院の際の引き継ぎなど、医療関係者と面談しなければ進みにくい業務もあり、とくにこれまで連携したことがない医療機関に利用者が入院した場合などは、本来であれば一度は面談による連携が必要なところです。コロナ時代、ケアマネと医療とは、どのように連携していくのか……。これは、一人ひとりのケアマネに課された問題というより、地域全体の課題といえるでしょう。
長年の経験を生かしながら、年齢に関係なく続けられる

「4人に1人が65歳以上の高齢者」であるわが国は、2040年には「3人に1人が65歳以上の高齢者」になるといわれています。「人生100年時代」を豊かに謳歌するためにも、介護業界は成長産業へと発展することが期待され、その要(かなめ)ともなるケアマネジャーの需要はさらに高まると予測されます。
ケアマネジャーの資格制度が始まった1998(平成10)年には45%近くの合格率だったケアマネジャーの試験は年々難しくなっており、ここ数年は合格率20%を切っています。2018年度からは、ケアマネジャーの試験を受験する資格についてもハードルが高くなりました。
しかし、それは同時にケアマネジャーとしての役割や業務の責任の重さを意味しているともいえます。長年の経験が役立つ職種であることなどから、ケアマネジャーを目指す人の年齢層も高めになっているのが一つの特徴であり、キャリアを積むことで人脈や信頼も深まり、年齢に関係なく続けられることも魅力でしょう。
その一方で、ケアマネの仕事が今後どうなるか考えるうえで、AIの活用を不安視する声は少なくありません。しかし介護が必要となった人やその家族が最初に出会うのがケアマネジャーです。──「どうすれば自立できるのか」「どうやって介護したらいいのか」「いくらかかるのか」など不安な状況のなかで、何でも相談できるケアマネジャーは本当に頼りになる存在であり、AIが代わりを務めることはできないといっていいでしょう。確かにケアプラン作成などAIに取って代わられる仕事が出る懸念はあるものの、それは逆に、ケアマネとして本来向き合うべき仕事に集中できる環境になるのではないでしょうか。
ケアマネジャーがいなければ介護サービスはスムーズに機能しないため、その責任感が仕事のモチベーションにつながるという声も多く聞かれ、自分の立てたケアプランによって介護サービスを受け、利用者や家族が前向きになったり、元気になってくれることがケアマネジャーのやりがいだといわれています。また、サービスを提供したら終わりではなく、利用者や家族の心身や生活状況に応じて調整が必要になってくるため、人間同士のつながりの大切さを実感できる仕事です。
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