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クリーンルームとは?清浄度クラスや方式、クリーンブースとの違い

半導体工場や電子部品工場、薬品工場、食料品工場などでは、製造工程で製品にホコリや細菌が付着することを防ぐため、クリーンルームが設けられています。クリーンルーム内での作業では、ホコリなどを持ち込まないことが求められます。

クリーンルームとは何か概要を説明したうえで、清浄度クラスやクリーンルームの方式、クリーンブースとの違いなどについて取り上げていきます。

クリーンルームとは?

クリーンルームとは、空気中の浮遊微粒子や浮遊微生物などが一定の清浄度レベル以下になるように管理された空間をいいます。浮遊微粒子や浮遊微生物とはホコリや細菌を指します。また、クリーンルームでは、必要に応じて温度や湿度、圧力といった環境面での管理も行われています。

たとえば、外部からホコリが流入しないように、クリーンルーム内の圧力を制御するほか、風の向きや速さを調整して、気流の分布を制御しています。また、作業員が汗をかかないように、製造する製品によっては温度管理が行われることもあります。

クリーンルームを設置するのは、製品へわずかなホコリや細菌が付着するのを防ぐことが目的です。

クリーンルームの種類と対象となる製品

クリーンルームは主に以下の製品の工場で用いられています。

・半導体
・精密機器
・電子部品
・光学機械
・薬品
・食品

クリーンルームには、工業製品の製造に用いられるインダストリアルクリーンルーム(ICR)と、食品加工や医薬品に用いられるバイオロジカルクリーンルーム(BCR)という種類があります。

インダストリアルクリーンルームは、主にホコリなどの浮遊微粒子や有害物質を取り除くことを目的としています。一方、バイオロジカルクリーンルームは、主に最近などの浮遊微生物を取り除くことが目的になります。

クリーンルームの清浄度クラス

クリーンルームには米国連邦規格格とISO規格の2つの清浄度クラスの規格があり、製品によって求められる清浄度クラスは異なります。

クリーンルームの清浄度クラスの規格

クリーンルームの清浄度はクラスという基準で表されています。日本で用いられている清浄度クラスの規格は、米国連邦規格格(FED-STD-209)とISO規格(ISO 14644-1)です。

米国連邦規格では1立方フィートの空気中の0.5μm以上の大きさの粒子の数によって、清浄度クラスを区分しています。

米国連邦規格は2001年に廃止されましたが、日本の多く企業で慣習としてまだ使われています。

米国連邦規格はClass 1・Class 10・Class 100・Class 1,000・Class 10,000・Class 100,000の6段階、ISO規格はClass 1~Class 9の9段階となっています。米国連邦規格のClass 1はISO規格のClass 3、米国連邦規格のClass 10はISO規格のClass 4という形で呼応しています。

製品による清浄度クラスの違い

清浄度クラスは製品によって異なり、特に半導体工場は厳しい清浄度クラスが求められます。

【清浄度クラスの目安】
・Class 3~Class 5…半導体工場
・Class 5~Class 7…精密機器工場・電子部品工場・光学機械工場
・Class 5~Class 8…薬品工場・食品工場

クリーンルームの仕組み

クリーンルームは気密がとられていて、天井に設置されたHEPAフィルターやULPAフィルターなどの高性能フィルターとファンが一体化したファンフィルターユニットから、清浄な空気が供給されています。床面や壁面の床に近い位置に排気経路を設けることで、クリーンルーム内の浮遊物を含む空気を外部に押し流しています。また、これによりクリーンルーム内は外部よりも圧力が高い、陽圧の状態になっているため、外部からの空気が入らない構造となっています。

クリーンルームの方式

クリーンルームは気流方式によって、主に一方向流方式と非一方向流方式に分類できます。

一方向流方式

一方向流方式には清浄な空気を一方向に流すもので、垂直層方式と水平層方式に分けられます。垂直層方式は高性能フィルターを天井全面に設置して、床面に向けて垂直に清浄な空気を流します。水平層方式は高性能フィルターを壁一面に設置し、水平方向に清浄な空気を流す方式です。

一方向流方式は浮遊物がクリーンルーム内に滞留しにくく、高い清浄度を実現できることがメリットです。中でも垂直層方式は高い清浄度を実現できることから、米国連邦規格におけるClass 1~100の清浄度クラスに用いられ、主に半導体工場のほか、精密機器工場の一部でも採用されています。水平層方式が採用されているのは主にClass 100~1000の清浄度クラスのクリーンルームで、精密機器工場などです。

ただし、一方向流方式はイニシャルコストもランニングコストも高く、クリーンルームを拡張しにくい点がデメリットとして挙げられます。

非一方向流方式(乱流方式)

非一方向流方式は乱流方式とも呼ばれ、天井や壁の一部に高性能フィルターを設置し、ほかの天井面や壁面に排気口を設ける方式です。非一方向流方式は主にClas1000以上の清浄度クラスのクリーンルームで採用されています。

非一方向流方式は気流が滞留する場所ができるため、一方向流方式よりも清浄度が劣ります。一方で、イニシャルコストもランニングコストが抑えられ、管理がしやすいというメリットがあります。

クリーンルームの4原則とは

クリーンルームは清浄度レベルを維持するため、「クリーンルームの4原則(クリーン化の4原則)」にもとづいて運用されています。

【クリーンルームの4原則】

  1. 持ち込まない
  2. 発生させない
  3. 堆積させない
  4. 排除する

1.持ち込まない

ホコリや細菌の発生源となるものをクリーンルーム内に持ち込まない対策をとります。

・クリーンルーム内の圧力が外部よりも高い陽圧の状態を維持し、外部からの汚染空気の侵入を防ぐ。
・作業員はコロコロローラーやエアーシャワーなどで表面のホコリを除去した後に入室する。
・材料や資材、機器は洗浄してから持ち込む。
・作業員はハンカチ、ティッシュ、スマートフォンなどの私物を持ち込まない。

2.発生させない

クリーンルーム内でホコリを発生させる行動をとらないようにします。

・作業員は防塵衣を着用する。
・ホコリが発生しやすい紙や段ボールなどの材料や資材、備品を使用しない。
・発塵しやすい材料、備品は使わない。
・動作をなるべく小さくして、無駄な動きをしない。
・作業員の人数を最低限に抑える。

3.堆積させない

ホコリを堆積させないように設計上などの工夫をします。

・機械の周りやコーナーにホコリ留りをつくらないよう、清掃しやすい構造に設計する。
・床や壁のコーナーにR材を使用して、清掃しやすくする。
・ホコリが付着しやすいため、ダクトや配管などの露出を避ける。
・床に製品や器具などを直置きにしない。
・クリーンルーム内は凹凸のない平滑な仕上げにする。
・清掃基準に沿って清掃を行う。

4.排除する

ホコリやホコリの発生源はクリーンルーム外に排除します。

・ホコリが発生する箇所の付近で排気を行うか、局所排気を活用する。
・ホコリや異物の付着を防ぐ気流を構築する。
・クリーンルーム内に不要なものは置かない体制をとる。

クリーンルームとクリーンブースの違い

クリーンブースとは、ビニールカーテンやパーティションで仕切り、フィルターと送風機を搭載した空気清浄装置を設置して、局所的に清浄化したスペースです。

クリーンルームと比較してクリーンブースは比較的容易に設置することが可能です。ただし、クリーンルームとは、壁や空調機器が設けられていない、開口面積が広いため、異物が侵入しやすいといった違いがあります。

クリーンルームを導入するメリット・デメリット

クリーンルームは半導体工場や精密機器工場、製薬工場などでは必要不可欠とされています。工場へのクリーンルームの導入は、品質の保持管理を容易に行えることで、安定した製品を供給できるというメリットがあります。クリーンルームの導入によるクリーン化を図ることで、異物の混入の防止や製品の不良率の低下といった効果があります。

また、クリーンルームを使用して製造することで、顧客企業や消費者からの製品の信用度が高まり、企業イメージが向上することもメリットです。

一方で、クリーンルームは導入のイニシャルコストやランニングコストがかかることがデメリットです。清浄度を維持するためには、昼夜問わず24時間稼働させる必要があります。

クリーンウェアとは?

クリーンウェアとは、作業者の人体に付着したホコリやゴミがクリーンルーム内に漏れるのを防ぐための専用の作業服のことです。クリーンルームで着用する作業服は、クリーンウェアやクリーンルームウェアのほか、防塵服、防塵衣、無塵服、無塵衣などと呼ばれています。

クリーンウェアを着用する目的

通常の作業服を着用していたのでは、人体や作業服などからホコリやゴミなどがクリーンルームに放出されて、汚染源になってしまいます。クリーンルーム内の異物を解析すると、作業者に付着していたものが多くを占めるとされています。

そのため、クリーンウェアを着用するのは、作業者の身体や衣服からホコリがゴミが放出されるのを防ぎ、クリーンルーム内の清浄度を保つことが目的です。また、異物の混入や静電気の発生を防ぐ目的でもクリーンウェアが着用されています。

クリーンウェアは清浄度クラスに合ったものを着用

クリーンウェアやキャップ、オーバーソックスなどは、清浄度クラスに合ったものを着用する必要があります。大まかに分けると、米国連邦規格の場合で「Class 1・Class 10」と「Class 100・Class 1,000」、「Class 10,000・Class 100,000」では、推奨されているクリーンウェアが異なります。

クリーンウェアの種類

クリーンウェアには種類があり、フードマスク一体型のつなぎ服はより発塵を抑えられます。

つなぎ服タイプとセパレートタイプの2種類

クリーンウェアには、つなぎ服タイプと上下に分かれたセパレートタイプがあります。、米国連邦規格でClass 1,000以上の洗浄度クラスの場合には、つなぎ服タイプが推奨されています。

セパレートタイプの場合、上着をめくると一般的な衣服が露出するため、上着をズボンの中にしまうのが望ましいです。

フードの種類

フードはクリーンウェアとの一体型と別になっているものに分かれます。

フードマスク一体型はフードだけではなく、口元を覆うマスク部分までがクリーンウェアと一体になっているタイプ。手首や首回りからのホコリの放出を防止するとともに、飛沫による汚染をより防ぐことが可能です。

フード一体型はフード部分とクリーンウェアが首からつながって一体になったタイプです。フード別はフードが分かれたタイプです。Class 1,000以上の場合は頭巾タイプのフードを用いるのが一般的です。

クリーンルームに入室するまでの流れ

クリーンルームへ入室するには一次更衣と二次更衣という2度の着替えを行ったうえで、入室の手前のエリアで、エアーシャワーや粘着マットによるホコリなどの除去を行います。

一次更衣と二次更衣を行う

クリーンルームへ入室する前には、一次更衣室と二次更衣室で2回作業服を着替えるのが基本です。

一次更衣室では外気に触れてホコリや花粉などが付着しているなど、汚染された私服から一般的な作業服などのユニフォームに着替えて上靴に履き替えます。そして、二次更衣室ではクリーンウェアに再度着替えて、クリーンシューズを履きます。二次更衣室ではユニフォームを着脱する場所と、クリーンウェアを着脱する場所を分けることで、わずかなホコリの付着を防止することができます。

一次更衣と二次更衣を行うのは、私服への付着物の多くを一次更衣室に置いてくるのが目的です。二次更衣を行うことによって私服からユニフォームに付着したわずかなゴミをクリーンルームに持ち込むことを防げます。

エアーシャワーや粘着マットを使用する

クリーンルームの手前のエリアにはエアーシャワーが設置されています。エアーシャワーを使用するのは、クリーンウェアに付着したホコリなどの除去が目的です。

また、エアーシャワーを設けることには、クリーンルーム内の清浄化された空気と外部の空気が混ざらないようにするという目的もあります。さらに、エアーシャワーの使用を通じて、作業者にクリーンルーム内に異物を持ち込まない意識を植え付ける効果も期待できます。

粘着マットは、靴底についたホコリなどをクリーンルームに持ち込むことを防ぐために使用します。粘着マットは通常、エアーシャワーの入り口や出口に設置されています。

工場のクリーンルームで働くメリット・デメリット

工場のクリーンルームは衛生的な環境で働けることがメリットですが、ルールが厳しいことがデメリットと捉える向きもあります。クリーンルームで働く場合には、クリーンルームが設置されている目的や特徴を理解することが大切です。

クリーンルームで働くメリット

クリーンルームでの作業は一般的な工場の製造の現場での仕事よりも、賃金水準がやや高めとなっていることがメリットです。

また、工場の現場での仕事は「3K」といわれることがありますが、クリーンルーム内は清浄度が一定に保たれているため、少なくとも「汚い」は該当しません。虫が侵入する心配もなく、温度も一定に保たれた環境で働けることが多いです。ただし、中には夏場には暑くなる工場もあるため、求人に応募する場合は面接の際などに確認しておきましょう。

クリーンルームで働くデメリット

クリーンルームでの勤務は、服装などに関する規定が一般的な製造の現場よりも厳しく、化粧品や整髪料の使用が禁止されているところもある点がデメリットです。また、一次更衣と二次更衣があるため、着替えに手間がかかります。トイレに行くためには着替えなくてはならないことから、作業をストップさせてしまうこともあるなど、気を使うこともデメリットといえます。

さらにクリーンルームは24時間稼働しているケースが少なくなく、夜勤を伴う勤務の場合は生活リズムの乱れから体調を崩しやすいこともデメリットです。

まとめ

クリーンルームはホコリや細菌などの製品への付着を防ぐため、高い清浄度で保たれた空間です。クリーンルーム内での作業では、服装規定や作業手順などを守り、ホコリや細菌を持ち込まないことが求められます。清浄度が保たれなければ、製品不良などのトラブルに発展する恐れがあるため、決められたルールを守ることが大切です。

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