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チノパン、Pコート、流行りのガウチョパンツも、実は作業着がルーツ⁉

私たちにとって身近なジーンズ。なくてはならいファッションアイテムのひとつですが、そんなジーンズは約150年前にゴールドラッシュにわくアメリカの鉱夫が作業着が着用していたことが、その発祥といわれています。

このエピソードはこちらの記事「ジーンズは、ゴールドラッシュの中で生まれた作業着だったでもご紹介していますが、それ以外にも作業着がルーツになっているファッションは、実は意外なところにあります。

今日、あなたが着用している洋服の中にもそうした歴史・由来をもつものがあるかもしれません。さあ、ファッションのルーツをひも解いてみましょう。

作業着がルーツの代表選手・チノパン

●チノパン

チノパン(chino pants)は、チノクロスと呼ばれる生地でつくられたパンツのこと。1890年代、英国軍の軍隊用パンツが発祥といわれています。当時の英国軍のパンツは白色でしたが、汚れやすく敵からも目立っため、カーキー色に染められました。その後、第一次世界大戦時には米国軍でもチノパンを採り入れるようになりました。

市民の普段着として普及したのは、第二次世界大戦が終わってから。1970年代から80年代にかけてアメリカの若者の間で流行しますが、これがいわゆる「アイビースタイル」と呼ばれるもの。アイビースタイルは、ハーバード大学やイェール大学など米国の伝統あるフットボール連盟である「アイビーリーグ」に所属する学生たちが好んだファッションで、チノパンはその代表的なアイテムに位置づけられていました。

チノパンの素材に話を戻すと、チノクロスは綿の綾織物(あやおりもの/交差する糸の織り目が斜めになっている織物)で上品な光沢が特徴です。実のところチノパンの語源の定義はあいまいで、ジーンズ生地以外の綿のパンツ全般をチノパンと呼んでいるようです。

再び流行し始めたオーバーオールもワークパンツ?

●オーバーオール

ガソリンスタンドの店員やメカニック(整備士)などが着用している上衣と下衣がつながった機能的な衣服は「オールインワン」と呼ばれます。ただしこのオールインワンは和製英なので、アメリカ人に言っても残念ながら通用しません。正式には次のように呼ばれます。

●アメリカ英語では「ジャンプスーツ」(jumpsuit)

●イギリス英語では「オーバーオール」(overall)

日本でオーバーオールといえば、胸当てがついたズボン型のつなぎのことを指すことが多いようですね。さらに、オーバーオールにデザインが似ている衣服としてサロペット(salopette)もありますが、これはフランス語の「salope」が語源。フランスではオーバーオールと同義で使われています。

あのガウチョパンツも、もとはワークパンツ?

以上にあげたチノパン、オーバーオールに代表されるワークパンツは普段着として世界中の人々に浸透しており、年配の方でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。

そのほかにも、もとは作業着だったパンツはまだまだたくさんありますので、早速ご紹介していきましょう。

●ガウチョパンツ

数年前から流行しているふくらはぎ丈のゆったりした着心地が特徴の「ガウチョパンツ」。「ガウチョ」(Gaucho)の言葉の由来は、南米の草原地帯やアンデス山脈に居住していた移民とされ、Gauchoの意味を「自由奔放な流浪者」と解釈する説もあります。

放牧に従事する彼らは、いわば拠点から新しい拠点へと常に移動する流浪者。家畜を追って傾斜地や岩場などを歩くことも多いうえ、乗馬に秀でていたことから、腰まわりがゆったりした丈が7分のワイドパンツを着用することが多かったそう。その理由は、移動する際に足に引っかからない、体を締めつけない、そして何より動きやすい利点があったから。つまり、放牧に従事する彼らが履いていたボトムスに着想を得て誕生したのが、今につながるガウチョパンツといわれているのです。ファッションアイテムの地位を確立したガウチョパンツは、脚長効果がありスタイルがよく見えるため、ご存じの通り女性の間で大流行していますね。

名前からどの職人が履いていたか、すぐわかるパンツ

●カーゴパンツ

通常のパンツと比較して、ポケットが太ももなどにもついたカーゴパンツ(cargo pants)は、「カーゴ=貨物」の言葉からも推測できるように、もともと貨物船で荷物の上げ下ろしをする人たちが履いていた作業着といわれています。素材は、ハードな肉体労働に従事する人が着用することから、厚手で丈夫な綿布でつくられることが多く、さらに、ひざ上左右についた大きなポケットが最大の特徴といえるでしょう。その理由は、作業に必要な工具や小物をすぐに出し入れがしやすいようにしていたため。のちに米国軍がパラトルーパー(落下傘兵)の制服として採用したことをきっかけに戦闘服として定着しますが、定番のカーゴパンツのポケットは6つが標準仕様。そのため「シックスポケット」とも呼ばれます。

●ペインターパンツ

こちらも「ペインター」の言葉からわかりますね。ペインターパンツ(painter pants)は、ペンキ職人が履いていたパンツのこと。カーゴパンツの場合、ポケットがついている点が特徴でしたが、こちらのペインターパンツには、金づち、ハンマー、刷毛、スパナなどの工具をパッと簡単に下げられるループや、仕事に必要な道具を入れる大きなポケットがついている点が特徴です。カーゴパンツ同様、デニムやヒッコリーなどの丈夫な生地でつくられており、ダボッとしたシルエットが人気です。

食品関係の人が履いていたワークパンツ

●シェフパンツ

その名の通り、シェフパンツ(chef pants)は厨房で働くコックさんが愛用するパンツ。こちらもウエストや腰まわりがゆったりとしたシルエットが特徴です。他のパンツと大きく異なる点は、ストライプ、チェック、ドットなど色柄が豊富な点になります。最近は部屋着などでそうした柄をよくみかけますが、デザイン性や色合いがおしゃれなものは、芸術家やクリエイターなどが好んで着用する傾向にありました。とくに最近は、そのデザイン性の斬新さや個性を演出する利点からおしゃれな若者の間でも流行。2018年くらいから街のあちこちでシェフパンツのアレンジバージョンを着用した人をみかけるようになりました。

●ベイカーパンツ

ベイカーパンツ(baker pants)はその名の通り、パン職人がはいていたパンツのこと。シルエットはゆるめで腰まわりに大きなポケットがついているのが特徴です。こうして見ていくと、作業着が由来のパンツは、いずれもゆったりとした体を締めつつけない点が共通していることがわかりますね。

アウターのルーツは、軍服が多い!?

いくつか作業着を由来にもつパンツをご紹介してきましたが、ボトムスにはいろいろな業界のアイテムが流入していることがわかりましたね。

そして次はトップスです。ここではアウターを中心に見ていきましょう。アウターには軍服がルーツになっているものが多いようです。

●ダッフルコート

北欧の漁師が着用していた防寒コートが由来とされます。その後、第二次世界大戦時に英国海軍で採用され、大戦後に軍の余剰在庫品が市場に大量に出まわったことで広く普及したといわれていますが、ダッフルコートにはPコートと同じような防寒機能が施されています。大きな特徴とされる点が「トルグ」と呼ばれる留め具。ダッフルコートの象徴ともいえる「トルグ」は、手袋をつけたままでも着脱ができる機能性を備えていました。名前のダッフル(duffle)はベルギーの地名で、ダッフル地方でつくられた生地を使用していることから、その名前がつけられたといわれています。 

●モッズコート

米国陸軍が着用していた防寒コート。モッズコートは呼称で、米国軍の規格「MIL規格」によれば「PARKA SHELL M-1951」が正式名称で、それを略して通称「M-51」と呼んでいるそう。その後の1960年代前半、イギリスの若い労働者の間で流行した文化の総称「モッズ(Mods)」を象徴するファッションアイテムとして地位を確立したことで、モッズコートと呼ばれるようになりました。

●トレンチコート

第一次世界大戦の際、英国陸軍が開発したレインコートがトレンチコートです。イギリスの被服メーカー・バーバーリーと、アクアスキュータムの製品が元祖といわれ、現在でもトレンチコートといえば、まずはバーバーリーが思い浮かぶほど。また、トレンチ(trench)とは、敵弾から身を隠して行動するために掘った塹壕(ざんごう)を意味します。機能美に優れたトレンチコートは民間人の間でも愛好され、1930年代には市場に広く普及。その時代を描いた映画を見ると、作中に登場する紳士のほとんどがトレンチコートを着用していますね。

おなじみのPコートも、作業着がルーツ?

●Pコート

英・米国海軍が着用していたコートですが、漁師など船乗りの防寒着として重宝されてきました。なぜならPコートには、海上の厳しい寒さから船乗りたちを守る機能がたくさん搭載されていたからです。その機能をご紹介すると……。

まずは素材ですが、毛織物を織り上げたメルトンウールで、寒さや風だけでなく、多少の雨も防ぐことができます。また、風向きによって左右どちらでも上前を変えることできるデザインや、手を冷たい風から守り、すぐに温められるように縦に切り込んだマフポケットなどがついている点も特徴です。ちなみに、PコートのPは錨(いかり)の爪(pea)を意味する説と、Pコートの素材である毛織物を表すオランダ語の「pij」からきている説があります。

●フライトジャケット

パイロットが着用するジャケット。さまざまなモデルがありますが、なかでも米国空軍が使用したMA-1は、1980年代に公開された映画やドラマで人気俳優が着用したことをきっかけに、若者たちの間で大流行しました。その後、長らく姿を消していたMA-1ですが、2017年頃から人気が再燃し、新たなファッションアイテムとして若者の間で人気を博しています。

形状が似ているタンカージャケットもここ最近、若者に人気だそう。ちなみに、ここでいうタンカーとは戦車のこと。タンカージャケットは米国軍の機甲部隊向けに開発されたアイテムです。※機甲部隊とは戦車部隊を中心にした歩兵部隊

●作務衣

最後に日本発の作業をご紹介しましょう。それは作務衣(さむえ)で、禅宗の僧が日々の雑務を行う際に着用していました。祭り衣装として人気の甚平と似ていますが、甚平はもともと江戸時代末期に庶民が着た袖なしの羽織で、作務衣とは着用する人も目的も異なります。最近はオシャレな作務衣が多く出まわるようになり、部屋着はもちろん、外出着として着用する人も増えていますね。

── 普段何気なく着ている衣類の中には、作業着から派生し、作業者の仕事を助ける便利なアイテムがたくさん搭載されていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。

よく考えてみると、機能性が高く、デザイン性、可動性、丈夫さに優れた作業着は、一般の人でも「着たい!」を思える魅力がつまっています。ジーンズやチノパンのように、今後定番のファッションアイテムになるのはどの業界の作業着でしょうか? ファッション性や機能性に注目して作業着を眺めてみるのもおもしろいかもしれません。

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